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第26話 狩り
「ほら、ちゃんと狙い定めて。もっと下だな」
鬱蒼とした茂みの中、僕は身を潜めて、火炎トカゲを弓で狙っていた。
隣ではレンが僕の指導をしてくれている。
ぱっと見、真っ赤なイグアナみたいな火炎トカゲは、地面から生えているサボテン風の植物を美味しそうに食べていた。
大人しいモンスターだけど、敵に気づくと口から火を吹くので、死角から弓矢で一発で仕留めなきゃいけない。
僕は息を詰めて、弓を引き絞った。
しっかり狙って、矢を放つ。
ビュン、と音を立てて飛んだ矢は、ボスッという音を立てて、火炎トカゲの喉を突き刺した。
レンがよし、と拳を握る。
火炎トカゲは身体中から白い蒸気を吹き出しながら、仰向けに倒れた。
僕はふーと息をつく。
火炎トカゲを仕留めるのは数度目だけれど、何度やっても緊張する。
僕がこの異世界に転生してきてから、すでに一週間がたっていた。
だいぶこの世界での生活にも慣れてきた。
レンと僕は茂みからはいでた。熱い蒸気を吹き出し続ける火炎トカゲに、レンは水筒の水をぶっかけた。
蒸気がおさまったトカゲのそばに身をかがめ、その腹にナイフをつきたて手際よく開く。
「あちち」とか言いながら。
耐熱系の手袋をはめて、レンは腹の中からいくつかの赤い石を取り出し、耐熱系のバッグの中にしまう。
「よし、湯沸かし石ゲット」
僕は笑う。
「火炎石でしょ!」
「そうだっけ。……ってちょっと待て、やった、ルビー入りだ」
「る、ルビー!?」
ほら、と得意げにレンは手にした石を僕に見せる。
透き通るその赤い石は、確かに火炎石とは違う。火炎石は赤黒くてゴツゴツして不透明。
でもそれは確かに、宝石の輝きを持っていた。
「わあ、綺麗……」
「これ街で売ったら相当な値になるぞ」
「街、行きたい!行こう!」
この一週間、既に三回ほどは街に行っていた。付け耳の威力は絶大で、まったく疑われることなく僕らは街中に溶け込むことができた。
森でモンスター狩りもいいけど、街の雰囲気も僕は好きだった。
レンが呆れたように笑いながら、
「お前は本当に街好きだな。分かった、じゃあ今から売りに行くか」
「うん!」
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