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第8話

「…っく…亜嵐っ…ねぇ?…んはっ…っちょ、聞きたいこと…ある…」 甘ったるい香りに包まれて、身体には力が入らないのに… 俺の足の間だけは酷く固くなっている… 亜嵐は何時ものように長い指や濡れた唇で誘い、ソレは今にもはち切れそうだった… 「…んくっ…二琥待って…今いいとこ…」 亜嵐は俺のソレを愛しそうに眺めると、妖しい笑みを浮かべてから根元までを咥える… 亜嵐の唾液に浸されて吸い上げられると、堪えきれずにまた呆気なく果てた… 「んはぁっ…ごちそうさまっ♪ありがとう♪二琥。…んで?何が聞きたかったの?」 「っはぁ…はぁ…ちょい…待って?…」 「ふふっ…良いよ?ゆっくりで…」 収まりきらない快感の波が落ち着くまでの間 亜嵐は俺を優しく撫でていた… ……… …… 「亜嵐の…仕事の事なんだけど…」 あれからずっと気になっていたのに、何だか亜嵐に聞き難かった。 さっき勢いに任せて聞こうと思っていたけど… 何時ものように快感に抗えず、俺は勢いを無くしていた… 「仕事?…何が聞きたいの?」 隣で寝転ぶ亜嵐は僅かに身体をこちらに向かせ、俺の話を聞こうとしている… 「…っその…仕事の時って…こういう事して…その…亜嵐のを…」 「ん?俺のを?」 言葉に出し始めると恥ずかしい。何が聞きたいのかも良く分からなくなってきた… 「つまり、俺にすんのと同じ事してんのか? ……って事……」 「んくくっ…二琥は俺が客とどんな事してるか気になるの?」 「ま、まぁ…」 「ふ~ん…あっちは二琥と違って、金積んででも俺が欲しくて堪んないだからね?…二琥とする時みたいに、俺は一切奉仕しないよ?」 「…奉仕って…」 「愛があるのは二琥だけだから♪それに、二琥には入れてないし…」 「入れてっ…!」 「飲ませたって、入れたって客相手には大差無いけど…客とは2回も3回もしてやんねーから…あっちだって自分も気持ち良くなりたいんだろ?」 「…相手って女もいるってこと?」 「いんや…俺らの客は男だけ。二琥と出来なかった時は精液だって貰わなきゃいけなかったし…」 「…男って入れられて気持ち良いもんなの?」 「なになに?…二琥ってば興味ある?」 「いやっ…そんなっ…」 亜嵐と初めていたした後、俺はこっそり知識を得ようと試みていた… たまたまスマホで一巻無料の漫画を見つけ読み始めたものの、開始数ページで心が折れた。 いきなり男が襲われている場面から始まったその漫画では、次のページですっかり受け入れ悦び出している… それに描写が何だかリアルで、自分と亜嵐を重ねそうになったのだ… 「二琥さえ良ければいつでも♪…それに…」 「いや!遠慮しておく。」 亜嵐は何か言いかけていたが… 俺は亜嵐がその気にならないうちに、素早く断りをいれる… 「くくっ…自分から聞いておいて、二琥慌てすぎ…」 …… 「二琥…俺が仕事行くの…嫌?」 「…っえ?」 亜嵐に問われて俺ははっとした… (…そういえば、理事長から亜嵐の事聞いて…モヤモヤってか…何かザワザワしてたな…?) 「二琥が意外とヤキモチ妬いてくれて、俺は嬉しーけど?…二琥が嫌なら仕事辞めてもいいよ?」 「えっ?そっか…亜嵐がその仕事辞めたって、俺が働けば良いんだし!…なんで今まで気が付かなかったんだ…」 亜嵐の言葉に甘えて大学まで通わせて貰ってる自分が、急に恥ずかしくなる。 「だからぁ…二琥は働かなくても大丈夫!…こっちで普通に一生暮らせる位は有るんだよね…実は…」 「何が?」 「貯え♪…かなり稼いでたし、二琥を養う為に色々準備万端♪」 「そんな…あっ!でも、結婚してからも亜嵐仕事行ってただろ?」 「…っそれは……伝があると色々便利じゃん?…二琥の大学だって…」 亜嵐は言いかけた言葉を飲み込んだ。まだ、理事長が俺を襲ってきた事を気にしているのだ… 「あれは亜嵐のせいじゃねーし、何事も無かったみたく大学通わせてもらってるんだ…それに勉強楽しいよ!本当感謝してる」 「ん、二琥がそう言ってくれるなら…」 「でもさぁ…大丈夫なら辞めれば?…仕事」 自分から出た言葉で、やっと自分の気持ちがわかるなんて… (俺…完全…) 亜嵐が甘い香りを立ち上らせて、あの妖艶な姿を他の誰かに見せている事にイライラする… 思いが通じて実った様な関係でも無かったはずなのに… (亜嵐に惚れたな…) (これじゃあ立派なヤキモチか…ってか俺こんなに嫉妬深いの?) 亜嵐への気持ちを認めたら少し楽になったのと同時に、二人共裸で寝そべるこの状況が無性に恥ずかしくなってきた… 「っそ、そう言うわけだから!…そろそろ服着て…」 亜嵐の唇で俺の提案は遮られた… それは幼い頃からよく知る普段の亜嵐の姿そのままで、今までの何れより軽いキスだった… 「ねぇ二琥?…今…気持ちが通じあった気がしたのは俺だけ?」 「…っ…じゃねーよ」 「……」 「俺…亜嵐に惚れたっぽい…」 「うわ…二琥ヤバい…俺、何かすげー嬉しくて…」 亜嵐はベッドに手つき俺を閉じ込めると… 額に優しく唇を落とす… 少しだけ亜嵐の重みを感じると、重なった唇から伝わる要求に俺は応えた… ……… …… 「二琥ってさ、実は束縛すごいとか?」 「…わかんねぇ…こんな気持ち、知らないし…」 「二琥…本当…あんま煽んないで…?」 「は?」 「俺、こんなに二琥の気持ちが向いてくれるとか…全然期待して無かったし…」 「……」 「好きな人と気持ちが通じたのは、俺も二琥が初めてだよ…」 「…その感じも、何かイヤ…」 「なんでだよ?俺何年二琥に片思いしてたと思ってんの?…良いじゃん!浸らせろよ!」 「ふはっ…ごめん…」 何だか俺の中が、穏やかな気持ちで満たされていくのを感じていた… 「…やば…今かなり世の中の新婚さんの気持ちがわかるかも?」 「くくっ…二琥どうしたの?急に?」 「なんか、亜嵐に美味しいご飯食べさせたいなぁとか…くだらない話をしてる間に、歳とっていくのかな…?とか、今めっちゃ想像しちゃった!」 「ふはっ!…くくっ…二琥はすっかり嫁だね♪…それにっ…想像力っすごっ…」 「あんま笑うなし!…俺なりに幸せ感じてんだから…」 「っはぁ…二琥って、本当可愛いね…俺も幸せ♪…でも、俺が淫魔なのは忘れないでよ?」 「…え?」 「俺は二琥と気持ちイイコトして、二琥が悦んで鳴くのもめっちゃ幸せ…」 「すぐそうやって…」 「これでも俺なりには制御してるんだよ?」 「…っ!」 「でもこれから、だんだん歯止めが聞かなくなってくるかも…?」 俺が一抹の不安を感じだした時にはもう… 甘ったるい香りに包まれていた…

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