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第22話

「勝手にキッチン使って悪かったけど、腹が減っちゃったから。ごめんね」 「いえ、いいんです。でも、あの、その……」 「シャワー、浴びて来るといいよ。峰松くんの分まで、朝食用意しとくから」 「すみません」 (渡さん、いつもの渡さんだ)  シャワーを浴びながら、翼は考えていた。  昨夜は『翼』って、呼んでくれたのに。 「いや、それでいいんだ。僕と渡さんは、恋人でも何でもないんだから!」  一夜限りの、契り。  しかし、そう思うと胸が疼く。  これでお終いにして、月曜日からは何事も無かったかのように会社で顔を合わせるには、情が深すぎた。 「どうしたんだろ、僕」  もしかして、渡さんのことが好きに……? 「いや、駄目。失恋したばっかりなのに、もう好きになったとかありえない」  翼はシャワーの栓を閉めると、バスルームから出ていった。  荒っぽく体を拭きそして服を着ると、和哉の待つキッチンへと向かった。

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