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第24話
和哉の家は、標高500m程度の山の裾にあった。
付近は宅地開発されてはいるが、まだまだ自然の多い土地柄だ。
家の裏には林があり、三面張りで護岸されてはいるが小川もあった。
「一戸建て、ですか!?」
まだ新しい大きな家に、翼は驚いた。
「いや、これは両親が建てた家。俺は、そこを継いだだけだよ」
と、言うことは……。
「まさか、渡さんのご両親は」
「うん。3年ほど前に亡くなった。交通事故でね、二人一緒に」
翼は、郷里の両親を思った。
小さな言い争いばかりしているが、仲のいい夫婦だ。
まだ40代で、死の影を考えたことも無かった。
「峰松くん、親孝行はできるうちにやっといた方がいいよ」
「はい」
はい、としか返事が出来なかった。
こんな大きな家に、一人暮らし。
和哉の孤独を、ひしひしと感じていた。
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