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第26話

「峰松くん、よかったら夜まで居られる?」 「渡さんのお宅に、ですか?」  うん、とうなずく和哉だが、夜の8時くらいに見せたいものがある、と言う。 (お泊りのお誘いじゃないんだ……)  昨夜の情事を思い出し、耳を火照らせた自分が恥ずかしい。 (渡さん、いや、和哉さん。すごく優しくて、素敵だったな)  またこの人に抱かれたい、と思える相手に出会うのは初めてだった。 「どうしよう。会社に車取りに行こうかな」  昨夜は翼と飲んだため、社に置きっぱなしにしてあるマイカーを、和哉は考えていた。  妄想に耽っていた翼は、その言葉に我に返った。 「い、行きましょうか。雨も上がりましたし」 「峰松くんも、来る?」  一も二もなく、はい、と答えた翼だ。  今日は一日、和哉の傍に居たかった。 「ここで留守番して、昼寝しててもいいんだけど」 「いえ、一緒に行かせてください」 「休みの日に会社に行きたがるなんて、変わってるなぁ」  笑う和哉の眼差しは、優しかった。  その笑顔に、どんどん翼は惹かれて行った。

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