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第7話 僕の家族
僕のお父さんは俳優だ。
中でも、アクションをやらせると、
お父さんの右に出る者は居ないらしい。
だが、アクションだけに留まらず、
色んな役が出来る事から、
芸能界では引っ張りだこらしい。
確かに、役毎に雰囲気が変わり、
同じ人が演じているとは到底思えない処がある。
最近は渋みも出てきて、
若人から年配まで、
かなりの年齢層に人気がある。
身長は186cmと日本人として長身。
短く刈った黒髪とシャープな顔付きは、
息子の僕から見てもかなりの男前だと思う。
サッパリとした性格をしていて、
僕にはとても甘々な所がある。
時々本当に、
この人の精子から自分は出来たんだろうか?
と思う事がある。
それくらい僕のお父さんはカッコイイ。
それに僕のお母さんを、
とても、とても愛している。
それとは裏腹に、お母さんは華奢で、
中性的な形をしている。
パッとみると、本当に男の人か分からない。
多分先祖の何処かに北欧の血が入っていると思う。
お母さんはその血が
先祖帰りとして、濃く出た様だ。
色素の薄い髪に、目の色、
肌は雪の様に白く、儚さを身に纏っている。
お父さんとは同い年なはずなのに、
僕と同級生と言っても過言ではない。
身長もそこまで高くは無いが、
やはり女性に比べると175cmというのは高い。
長いサラサラの髪をポニーテールにし、
見た目の割には結構豪快だ。
バイオリニストであるお母さんは、
良く海外を飛び回っている。
音楽界に置いては、
かなりの有名なバイオリニストらしい。
僕は音楽の方は才能を受け継がなかったので、
音楽界の方はサッパリだ。
でもお父さんと同様、
お母さんも僕をこれでもか、
というくらい愛してくれる。
だから、海外公演で留守にする事は多くても、
あまり寂しいと思った事はほとんどない。
そんなお母さんも、
お父さんの事をとても愛している。
本当に片方が死んでしまえば、
もう片方も生きて行けないんでは無いか?
と言うくらい結び付きが強い。
そんな二人に僕は凄く憧れている。
僕はそんなお母さんの血を濃く受け継いだのか、
僕も年相応に見られた事はない。
僕はお母さん程色素は薄くは無いが、
少し日本人離れした顔付きをしている。
身長も未だに、お母さんを
超える事は出来ないでいる。
でもあと少しなので、高校を卒業する頃には
追い付くだろうと期待している。
そうすると、多分、女の子に
間違われる事も少なくなるだろう。
自分では男の子を意識して、
ファッションには気を使っているのだけど、
フワフワとした色素の薄い髪のせいか、
良くボーイッシュな女の子と思われてしまう。
変声期は来たはずなのに、
ボーイソプラノとまでは行かなくても、
成人男性の様な声とも違い、
少しハスキーが入っている。
そして僕もお母さんと同様、
Ωである。
Ωには動物の様に、年に何度か発情期が訪れる。
発情中のΩは、フェロモンを発するらしく、
その香りに誘われたアルファは、
自我を無くす者も居るらしい。
それにより、望まない番を
結んでしまう場合も有るらしい。
それ故にΩが敬遠される訳だが、
僕にはまだ発情期が来ていない。
初恋もまだなので、恐らくそういうのも
関係していると思うが、余り心配はしていない。
きっとその時がくれば、
自然と訪れてくれると思う。
あと、僕達の事を知っているのは
父方の祖父である、芸能プロダクションの社長と、
父の姉である父のマネージャーと、
母のマネージャーである父の弟だ。
母も音楽家ではあるが、
祖父の芸能プロダクションに所属している。
母のマネージャーである父の弟は、
いずれ祖父のプロダクションを
受け継ぐ予定になっており、
音楽方面への繋がりを開拓中である為、
母のマネージャーを買って出てくれた。
二人共其々に、
αとΩの異性の伴侶を得ている。
従兄弟達はまだ小さいけれど、
五人とも皆αで、
僕の事を一生懸命守ってくれる。
そんな従兄弟達が僕は大好きだ。
彼らは運命の番とまではいかなくても、
とても愛のある家族だ。
僕のお母さんは一人っ子だったので
母方にとって僕は初孫であり、オンリー。
凄く凄く両親に負けずと僕に甘々だ。
α家系である父方は皆αであるのに対し、
母方はβの両親から生まれたΩであった為、
色々と苦労もした様だ。
それは、Ω故に家族に
蔑まされたと言うのではなく、
家族にΩのいない母方は
Ωをどう育ててい
けば良いか分からなかったらしい。
それでも母は愛情たっぷり受けて育てられた。
そんな母はΩである僕に、
これでもかというくらいの愛情を注いでくれる。
勿論、父も父方の家族も、
沢山の愛情を僕に注いでくれる。
僕は僕の家族と両親が大好きだ。
いつか両親の様に
僕だけの人に巡り会える事を夢みていた。
そんな両親が出会ったクレイバーグ学園に入れた事は、
僕にとって、その一歩を踏み出した様な気に
なっていた。
そう...あの夏の教室までは。
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