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おねがい!ビッチ先輩

 退屈だった卒業式が終わり、僕は桜の花びらの雨の中を走り抜けてある場所へと向かった。  校舎裏の古びた体育倉庫。既に立ち壊しが決まっているこの倉庫には、一緒に産廃をする汚い体育用具だけが置いてある。そんなゴミ箱状態の倉庫に誰も近寄るはずもなく、今は忘れ去られた場所となっている。  ――ある一部の人間を除いて。    実は、あまり知られていないのだがあの倉庫には1人の妖精が住んでいる。 その妖精の名は…… 「ビッチ先輩!」  勢いよく倉庫の扉を開け、僕は先輩の名を呼ぶ。 「おう、来たか。少年」  目線の先には、制服も着ず下着1枚で汚れたマットの上に寝そべる先輩の姿があった。 「ビッチ先輩、さっきまで卒業式だったのにもう服脱いでる」  先輩は3年生で、先程まで行われていた卒業式の主役だ。しかし、時間はそこまで経っていないのにも関わらず既に制服を脱いで横になってたという事は、おそらく先輩は卒業式に参加しなかったのだろう。 「最初は出ようと思ったんだけど、ダルくなってきちゃってな」  先輩は笑いながら、身体を起こした。そして、当たり前のように僕の近くまで来ると、強引にネクタイを引っ張られ口づけを交わされる。 「……っ」  強引に開けられた口から舌を絡められ、くちゅくちゅと音をたてる。 「先輩……今日は何がしたい?僕たちの関係は今日で最後だよ」  実のところ、僕と先輩は、挿入なしの前戯だけを楽しむ関係である。互いの本名も知らなければ、学年もブレザーのネクタイの色から1年生と3年生であるという事しか知らない。偶然、体育倉庫に間違えて来た時に先輩が1人でマスターベーションをしていたのを見てしまっただけの薄っぺらい関係だ。しかし、それをきっかけに僕はこのように頻繁に先輩のマスターベーションを手伝っている。やる事がビッチっぽいから「ビッチ先輩」と僕は呼んでいる。  僕からの問いに考え込んだ末、先輩は「69」と答えた。何とも先輩らしい返事だ。 僕は静かに頷くと、先輩にマットの上に倒され再度唇を重ね合わせる。気が付けば、ズボンも下着も脱がされており陰部が露わになっているではないか。 「相変わらず、お前はでけぇなぁ」  先輩はうっとりとした目で僕の陰部を見つめた。そのまま無数に生えた繁みをかきわけ、口へと吸い込まれる。生ぬるい温度で優しく舐められ、陰部が喜んでいる。負けじと先輩の足を引っ張り、先輩の下半身を口元へ持ってくる。じんわり濡れた下着からは、早く舐めてくれと興奮した先輩のモノが膨れ上がっていた。 「先輩、これ凄い」  湿った下着をはぎとり、先輩のモノを口に銜える。音をたて丁寧に舐めまわす。場所によって甘いようなしょっぱいような独特な味が口の中に広がる。 「あっ……んっ」  先端を舐めた時、先輩の動きが止まった。そろそろだろうか。口の中含みながら、先輩のモノをしごいていく。 「あっ、あっ」  声を出し僕の足にしがみつく。どうやら相当気持ちが良いらしい。 「先輩、すごく気持ちよさそうだね」  真っ白な尻の間にもう片方の手を伸ばし、先輩の中へ指を入れていく。滑りが悪かったが、指をかきまわしているとぬるぬると体液が絡み始める。 「……んっ、指だけだからな」  喘ぎ声を我慢し、先輩は僕に言った。 「分かってるよ」  止めていた手を再度動かし、先輩の陰部にキスを落とす。先端からは汁が出始め、先輩が絶頂を迎えるのも時間の問題だ。    ――あぁ、先輩。僕たちの関係はこの行為が終わったら全部無くなっちゃうのかな。    そう考えると何故が、泣きたくなった。  気持ちよさそうにしている顔を見る事が大好きだったのに、今はとても辛い。終わらないでほしいとすら思っている。 「んっ、少年……どうした?手が止まってる」 「いや……ごめん、気持ちよく無くなっちったかな」  この時間を終らせたくないばかりに、先輩への奉仕がおざなりになってしまう。気づいた先輩は心配そうに僕に言った。 「なんかあったか?」  体制を変え、僕の頬に手を添える。    ――なんでこんな関係から初めてしまったんだろう。  あの時、間違えて使われていない体育倉庫なんかに来なければ。先輩の一人行為なんて見つけなければ。違う出会いがあったのではないか。 「おい、お前なんで泣いてるんだよ」  そんなの知るか。僕は、あんたと出会い方を間違えて後悔してるんだよ。 「先輩、最後だから言います」  頬に当てられた手を取り、先輩の目を見つめる。萎えきったお互いの陰部は、また後で可愛がればいい。だから僕は言う。 「この行為が終わったら、今までの事は忘れて下さい」 「えっ……」  一瞬戸惑った顔をしたが、その後すぐに先輩は悲しそうに言った。 「……分かった。元々は、俺の恥ずかしいところ見られて始まった関係だし、別に記憶にいてもいなくても変わらない存在だもんな。俺はお前にとって……」  話を続けようとする先輩の口に人差し指を当てる。 「先輩違うよ。最後まで聞いて。この行為が終わったら、僕はあなたとの今までの関係を全て忘れる。そして、この体育倉庫を出た後、校庭に咲いている桜の木の下で待ってるから、どうか来てほしい」  そして今度は―― 「まずは先輩の名前から教えて。好きな食べものや、好きなことも教えてほしい。そこからまた関係を始めてくれませんか」  先輩は僕の手を振りほどくと、脱ぎ捨てていたシャツで自身の顔を隠した。 「どうしたの、先輩」 「別に」  ゆっくりと、シャツをおろしていく。そして、「馬鹿だなぁ」と真っ赤な顔を僕に見せて小さく笑った。

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