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お金がないので、愛の援助をお願いします!

 今年、田舎から上京したおれはとにかくお金がなかった。  学費は親が出してくれてるけど、仕送りはなし。奨学金は借りてるけど、それで家賃、光熱費、食費をなんとか節約してまかなえても、お小遣いはもちろん、バイクのガソリン代や携帯代までは届かない。苦学生よろしく、バイトは連日、まじめにいっていたけども、つねにかつかつで、しかも、先月は学校の実習がたてこんでいたから、バイトにあんまりいけずに、でも疲労もピークで、とにかく、おれは頭が働かなくて、そんでお金がなかった。 「だから、俺の処女、高値で買ってください!」  目の前のバイトの上司は口をあんぐりとさせていた。  おれ、甲田広峰の一日は、朝起きて、学校行って、バイト行って、帰って寝るのルーチンワークを毎日繰り返している。今年、専門学校に入ってカリキュラムの忙しさにもやっとなれ、バイトにもやっと慣れてきたと思ったら、専門学校の初めての実習に入って、問題を起こしてしまった。  問題を起こしても起こさなくてもバイトのシフトは覆らない。頭にはお金お金と諭吉が悪魔の顔をしているのをかかえこみながらバイト先に向かった。  おれのバイト先は比較的大きくて流行っているスーパーで、夕方の時間帯の品出しをしていた。ひたすらバックから品をとって補充し、期限のものを間引いて値下げの札を張る。たんたんとした作業は好きだ。なにもかもをわすれられる気がする。  でも、そうそれはただ単に忘れることでしかないわけで。 「お疲れ、甲田。やっと実習終わったのか?」  バイトが終わって、男子更衣室でエプロンを脱いでいると、チーフの加藤さんが入ってきた。 「加藤さん、お疲れ様っす。今日忙しかったすね」 「あー、ポイントと百円均一かぶったしな、パートのおばちゃんらが忙しいって怒りながら、帰りはものすごい買い物してるの見かけたわ」 「あー、元気ですよねー。加藤さんおばちゃんから好かれてますよね」 「なめられてんだよ」  加藤さんはそう笑って、エプロンを鞄につっこんだ。  加藤さんは日配担当のチーフでおばちゃんたちから人気だ。もう30過ぎだけど、二三年留年した同級生ぐらいなかんじで見た目が若い。若いというよりもおぼこい。太いわけじゃないけど、丸顔で黒の太縁メガネがトレードマークだ。ふだんはあんまり笑わないけど、話しかけると優しくて温和な人だとすぐわかる。真面目で仕事出来るけど、話し上手で聞き上手だから、偉い人にもバイトやパートのしったぱからも信頼されてる。 「お前は元気なさそうだけど、どうした? そんなに実習疲れたか?」 「加藤さん……」 「まじで、どうした。夕飯おごってやろうか?」  加藤さんは心配そうにおれを見ている。おれにお金がないのを知ってる加藤さんは時々夕飯をおごってくれる。 「聞いてほしいことがあるんですけど」 「そっか、そっか、聞いてやる聞いてやるから一緒にかえろうぜ」  加藤さんはおれの肩を二度、痛くはないけど、優しくもない勢いで叩いた。  スーパーから近くのファミレスに移動した。そこで、ご飯を食べて、あたりさわりのない話をしてると、加藤さんが、うち来るか、と言ってくれた。加藤さんはおれが未成年だから外で飲むことは絶対にしないけど、加藤さんの家でなら許可してくれた。そうなると、おれはバイクだから完全にお泊りのコースだ。  泊まることは今までに何度もあったわけじゃないけど、その流れがなんとなく当たり前だという感じにはなっていた。  加藤さんは車なので、その後ろをバイクで追っかける、もう何度か行ってるから離されても大丈夫だけど、加藤さんはいかにもゴールドですっという走りをするので、めちゃくちゃ離されることはない。  ひとつのマンションに入ってフロントで待ち合わせて、加藤さんの家まで同行した。  広めのワンルームの加藤さんの部屋は洗濯物が積んであったりパソコン机の上が乱雑だったりするけど、基本的にはきれいで片付いている。  いつ行っても、日本酒と焼酎と缶ビールが常備されているから飲むにはもってこいだ。 「自由にしてて、おれ先に風呂入ってくる」  加藤さんは冷蔵庫から発泡酒と開いてるハムやソーセージのオードブルを出して、風呂場に向った。これもいつもで、だいたい酒飲んでぎりぎりまで寝て、朝風呂に入りのがすと食べ物扱ってる客商売するのは嫌だからと先に入ってしまう。家主が一番に風呂に行って不用心だなと思ったけど加藤さんらしい納得できる内容だと思った。  それでも、そわそわしてしまうのはおれがいつもと違う心持だからだ。  冷えた缶ビールを開けた。出してもらったし、先に頂く。ビールの苦さを体に入れるとなんだか強くなる気がする。  正座でビールを飲んでると、加藤さんが出てきた。Tシャツに黒のジャージにいつもの黒のメガネで地味だ。そしてリーマンルックじゃないとさらに若さが目立つ。 「今日、甲田、やっぱおかしいね。ほんとにどうしたよ」 加藤さんはビールと、焼酎を持ってきて、俺と少し離れて横に座った。向かいにあるテレビをつけようとして、やっぱりやめる。 「つけないほうがいいか? 真剣な話?」 「いや、別に」 「なんだー。あー、あれか、彼女と別れたとか?」  加藤さんはグラスに焼酎を注ぐ。俺が麦が好きと言ったから、加藤さんはおれと飲むときは麦をだす。実は加藤さんは芋のほうが好きで、なのに、家に一本づつある焼酎は麦の方が高いことをおれは知ってる。 「まぁ、別れたのは、別れたんですけど」 「高校から続いてるんだよな。そらぁ、寂しいよな」  加藤さんは勝手に感情移入して悲しそうな顔をしている。けど、本題はそこじゃない。いや、彼女と別れたのは本当で、それはそれでとても悲しかったけど、進学で遠恋でもともと続かないかもしれないと思ってたからしかたない。ただ先々月、誕生日で送ったプレゼントのクレジットの返済が遅れてもうすぐで、こんなことならもうちょっと早く別れてればって思ってしまった。自分の薄情さにはとてつもなく落ち込んだし、お金もない。そうお金がないのだ。  肝心の話には、なかなかいけずに彼女の話をだらだらと続けた。その間、加藤さんは相槌を真摯にうってくれる。ぜったいバカにしたり、途中であたりまえの助言をはさんだりしない。こういうところも会社で好かれる理由だと思う。 「まぁ、それはしかたないんでいいんです。おれは仕事に生きるって決めたんで、そもそもそんな悩んでる暇ないぐらい忙しくて、別れてすぐに実習あって」 「あぁ、どうだった実習? 最初は楽しみにしてたよな」  加藤さんはおれの話をちゃんと覚えててくれたみたいで続きを促した。おれはそこで酒臭い息をはいて、何本目かのビールを開けた。  俺は介護士の免許を取るためにそういう専門学校に行ってる。もともとおばあちゃん子だったし、これから需要のある職業だと思ってるから、学校については多少しんどくても文句はないし、実際に老人ホームに出向く実習も楽しみにしていた。行ってみるとしんどいこともいっぱいあったけど、充実していたと思う。ただおれは途中でとんでもない失敗をしてしまった。 「しんどいけど、楽しかったんですけどね、途中までは……」  ほんとにもう、なんであの時、注意しなかったんだろう。  終盤のある日、老人ホームに住むんじゃなくて日中お預かりのおじいさんおばあさんを迎えに行っている時の事だった。おばあさんを車に乗せて俺は折りたたんだ車いすを持っていた。その家は車道に建っているわりには、車が通らなくておれは完全に油断をしていた。 「おばあさんに話しかけられて、おれ、話ながらドア閉めたんですよね。そんで……、」  開きっぱなしだったバックドアを閉めようとしたときに、結構なスピードで車が走ってきた。おれは急いでよけようとして、でも意外に車いすが重く、おもいっきりつまづいて、車いすを近くに電柱に勢いよくぶつけてしまった。  今思い出しても、顔が青くなる。車いす自体の損傷は一目、見ただけではわからず、胸をなで下ろしたのも束の間、折りたたんだ車いすは開かなくなった。電動だったのも、機械の部分が故障していた。 「それで……?」 加藤さんまで、酒を飲む手を止めて青くなっている。 「そこの家の人がわりと温和で、介護車が止まってるのに通った車もスピード出しすぎだったしで、あんまり怒られなかったんですけど、車いすは弁償ってことで」 「あー」  行った老人ホームの人にはめちゃくちゃ怒られたけど、そこまでまじめに働いてたからか、最終的な評価はそこまで悪くはなかった。そう、だから、問題はその車いすを弁償したことだ。その実習とそのための演習のせいでろくにバイトに行けないと思っていたので、コツコツと貯めていた貯金が全部、吹っ飛んだ。もともとかつかつだったのに貯金はないし、入るお金もない。それなのに明日は、さまざまなお金の引き落とし日だ。家賃と光熱費、携帯代、間が悪いことに、彼女へのプレゼント代と、先月治したバイクの修理代っもいっきに引き落とされる。今現在、通帳の残高は四捨五入で捨てられる値の3ケタだ。  奨学金の振り込みの来月の半ばでどうあがいても間に合わない。そう、今現在、まじでやばい状況だ。  おれは缶に残ってたビールを一気に飲んだ。 「おれ、まじで、今、お金やばいんです。加藤さん」  少し離れて横に座る加藤さんに詰め寄った。ひるむ加藤さんの頬にわずかに赤みがさすのはお酒のせいだけじゃないはずだ。 「おう、聞いたよ。そんなにやばいなら、貸すよ?」  正直、たぶんつめよれば貸してくれるだろうとは思ってた。でも、おれは目下1年半は貧乏なままで、お金を返す当てなんてない。普段から夕飯を加藤さんにたかってるおれは毎月毎月少しづつ返していくことさえも難しい。 「嬉しいです。加藤さんの優しさ、本当に身に沁みます。でも、おれ本当にお金ないんで」  こっちに来てから友達も疎遠になって、親しい友達はまだできてない。親も裕福なわけではないし頼りたくない。 「だから加藤さん。俺の処女、高値で買ってください!」  酒の力を借りた。やけになっているのは自分でもわかってる。でもこうする意外に思いつかなかった。  加藤さんは本当にびっくりしていると、口を半開きでおれをみあげている。 「えっ、ちょっと、いみわかんないんだけど」 「おれ、お金ないんです。本当は返したいんですけど、返せる気が全くしません。本当に返せる頃にはおれ、バイトやめてますし」  そう言って、おれは着ていたロンTをアンダーこと脱ぐ。どきどきしている。はんぱない。でも既成事実をつくってしまえば、こっちのもんだ。最低な行為だけど、おれもあたまが完全に沸いていた。  おれは別にほもじゃないし、男に欲情したりしない。だけど、今はお金のためならしかたないという夜の蝶達に今なら全力で同意できる。おれは知らないおっさんじゃなくて、優しい上司だという点で何倍もマシだ。俺の下で呆然とする加藤さんもなんだか酒の力か、かわいいと思える。それは愛情でなくて子供に感じるようなかわいいだけど、思えるだけいい。 「えっ、ちょっと、ほんとに、どうしたの」 「だって、おれほんとにやばいんです。お金なくて食料も家に調味量しか残ってないのに、明日一気にいろいろ引き落としされるんです」 声が完全に涙声だ。何滴かはもうこぼれてるかもしれない。 「一回ぐらい引き落としの日に間に合わなくても大丈夫だろ。ちょっと落ち着けよ」  加藤さんは覆いかぶさる勢いのおれの肩を両方の手でつかんで戻す。強制的に少し離れてもとの位置関係に戻った。 「別に貸すし、返せなくてもお前が返せるまでいくらでも待つし」 「でも、俺も卒業するし、加藤さんもいつ転勤するかわからないし。借りといて返さないのは世話になってんのに不義理すぎるだろと思うし」 「だからって、おまえ」 加藤さんはおれの裸体から目をそらした。自慢じゃないけど、陸上やってたし良い体の細マッチョだと思う。それに介護職はなにかと力仕事だから力はあった方がいい。  微妙な間が開いた。 「加藤さん、おれのこと好きでしょ」 ぽろりと口からこぼれた。  指摘された加藤さんの指に力が入っていく。 「まぁ、そうだけど」  加藤さんは顔はおぼこいけど、実際は30過ぎの男で、あんまりとりみださない、できる大人だと思う。毎日起こるさまざまなアクシデントにも冷静に対応できる。そんな加藤さんも今の状況の対処の仕方はわからないみたいだ。 「じゃないと、こんな意味わからないことしようと思いませんよ」 「いつから、知ってた……?」 「ちょっと前ですけど」  きっかけは、加藤さんというよりも、加藤さんの同期だという最近日用品で入ってきた社員さんの話だった。たまたま食堂でその社員さんが加藤さんと入れ違いで入ってきて、流れで加藤さんの話を社員さんからパートのおばちゃんと聞いていた。他店でもたまたまかぶったらしくふたりは仲がいいそうだ。話は加藤さんの結婚の話になって、社員さんは今まであまり加藤さんの色恋の話を聞いたことがないと話した。相手がいたそぶりがある時もあったそうだけど、さらっとそういう話はそらすみたいだ。もしかしたらホモかもと、その社員が言って、パートの人がうけていた。それは本当に冗談で、おれも冗談だと流してたけど、その日、おれは加藤さんの家に泊まる流れになって、その話をたまたま思い出して。 「なんとなくそうかもなって思いました」 「なんとなくで、そんな奇行までいけたな」  加藤さん照れてるのにあきれてるという複雑な態度をとっている。  実際、確信したのは朝、加藤さんが出た後、興味本位で覗いたパソコンのデータフォルダとは言えない。あの時は、人の秘密を勝手に探っときながら、きもちわるいとか思っていた。それから仕事でもやんわりさけたりもしたけど、日がたつにつれ加藤さんはいつもとかわらないし、結局、夕飯もおごってもらったりした。もしかしたら、好意は自分に向けられてるのかもしれないと気づいたころには、加藤さんのことを気持ち悪いとは思わなくなっていた。好きだとも思わないけど、性的志向が少し普通じゃないだけで、優しく頼れる上司だ。惚れられてるならそれを利用してどんどんおごらせようとも思ったりした。ふりかえると、最初から最後までおれは最低である。 「で、いくら。いくらいるの」  加藤さんはため息をついて財布を握った。 「10万はほしいです」 「10万」 「無理ですか。おれいくらでも体で払いますし、何回でもしますから」 「10万あったらさっき言ってたやつ、全部払えんの?」 「ぎりぎり払えます」 「ぎりぎりかー」 よっこいせと、おやじみたいなことを言って加藤さんは立ち上がった。 「タバコ買ってくる」  財布を持って加藤さんは出ていった。  いつのまにか涙はひいていた。  このマンションは一階がコンビニなので加藤さんはすぐに戻ってきた。ワンカートンの煙草はベッドに投げて、書類まみれのパソコン机から一枚の紙と封筒を出す。  いつもの横に座ろうとした加藤さんは出した足を戻して向かいに座った。そこで膨らんだ財布から万札の束を取り出した。 「とりあえず15万おろしてきた」 「いいんですか?」 「ぎりぎり払えますって、おまえ明日から何食って生きるんだよ。あと、あげるんじゃなくて貸しだから」 そう言って、加藤さんはお金をおれに見せながらお札を数えて、きっちり15万円を封筒に入れた。  白い紙に借用書と書く。かきかたわかんねぇとこぼしながら、今日の日付と15万円を加藤友哉に借りました。と普段の加藤さんからは考えられないようなあまりにも雑な書類をつくった。俺はいわれるままにサインををして、拇印を朱肉で押した。加藤さんは手早くプリンターでコピーをとってそれも封筒に入れた。 「別に期限は決めてないから、返せるときでいい。それが10年後でも別にいい。結果、返せなかったとしても文句は言わないから。返したい気持ちはうけとっとくよ」  そこでおれが腰を浮かせて前のめりになったところで、加藤さんはおれに止まれと言うジェスチャーをした。 「身体もいらない。30過ぎのインドアの独り身だし、結婚の予定もないし、べつに金を持ってるわけじゃないけど、困ってもないから」 「じゃあ、おれのこの罪悪感をどうすればいいんですか!」 「そんなん知るか、返すまで持ってろよ。それか早く返せばいいだろ」 「返せるなら……、返したいですよ」  自分でもわかるぐらい申し訳なさそうな声が出た。  本当にここに来るまでいろいろ考えたのだ。それで出た結論が返せないでこうなったのだ。 「おまえと寝たら、それこそ俺が罪悪感だろ。 なんでおまえそんなに性にアクティブなんだよ。男だぜ? しかも、おまえまだ十代だろ、ティーンじゃねえか! 俺もう若く見えても30過ぎてんだよ。犯罪だろ! というか金もらったら本当に犯罪だ、犯罪!」  いつもにこにことしてる加藤さんが動揺かテレなのかあきれなのか声を荒げている。とてもめずらしい光景であっけにとられるおれを見て、加藤さんは、あぁ! と苛立って叫んだ。 「いや、俺も正直、最初加藤さんがほもって知った時普通にキモイなと思ったんですけど、なんか時がたつと偏見もなくなって、お金がないって焦った時に加藤さんの顔を思い出して、いけるなって思って。年は最初から関係ないと思ってましたし。おれ、別に本当に抱かれていいと思ったんで、調べて、見様見真似でケツ洗ってきたんですよ!」 「もういい! もうおまえしゃべんな!」 加藤さんは崩れるように机の上に突っ伏した。 「お金うれしいですけど、加藤さん、いいことないじゃないですか」  本当に、抱かれてもいいと思っていた。べつに女じゃないし、それで大金が借りれるものなら全然かまわない。むしろ相当意気込んできたのでかなりやる気だ。それが、お金だけ、しかも余分に貰えて、その上返さなくても最悪構わないなんて、いっそひどい男だ。 「好きなやつにいいとこ見せれるんだから、いいことはあった」 突っ伏した加藤さんはおれをちらりと見て、そう小声で話した。  言ってから恥ずかしくなったのか、加藤さんは無言で立ち上がるとベッドに入った。 「加藤さん?」 「明日も早いし、俺もう寝るから、お前も勝手に風呂入って寝ろ」  背を向けて、もうなにもうけつけない態度をとった加藤さんにおれまで恥ずかしくなった。  加藤さんのシフトは確認済みだけど、明日は遅番で昼からだ。 「加藤さん。おれ、なんか別にお金とか関係なく、別に加藤さんに抱かれてもいいと思いました。いや、抱くのもありです」  加藤さんの布団から出てる頭はこっちを向くことはないけど、髪から出てる耳は真っ赤だった。 end

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