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プロローグ
彼に初めてあったのは怪しげな満月の夜だった。月光を全身に浴び妖艶に浮かび上がった彼の後ろ姿を今でも忘れることが出来ない。セミロングの髪をなびかせ、まるで水彩画を仕上げるかのような優雅な手つきで目の前の標的を射止めた。
「ふふふ……」
飛び散った血液を見つめながら笑みを浮かべる彼の姿に思わず背筋が凍った。
「…もしかして…君の:標的(ターゲット)だった?」
唐突に彼は口を開いた。
ゆっくりとこちらの方に顔を向ける。予想を裏切ることの無い整った顔立ちに目を奪われ先程の恐怖の感情などどこかえ消えてしまった。白い肌を引き立たせるような返り血と水晶のような碧眼。そして、妖しげに微笑みを浮かべる姿…その姿は‘sourire(微笑み) ’そのものだった……
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