12 / 74
第12話
「すみません・・・僕が泣いちゃって・・・」
貴方の首筋に顔を埋めて呟くと
ゆっくりと体が離された。
「びっくりしたよな?ごめんな・・・」
至近距離で絡む視線。
僕が写る瞳を見つめる。
「何がごめんなんです?」
ちょっと意地悪く聞き返すと長い睫毛を揺らして瞳が細められた。
「びっくりさせたから?」
「僕より・・・貴方が驚いたでしょ?」
「確かに。でも・・・・・・・・・あんまり実感もないんだよなぁ。」
そう暢気に呟きながら僕の唇を指で撫でる。
気付いてますか?
キスする前の貴方の癖。
ゆっくり瞼を閉じると重なる唇。
現実逃避してるのは分かってる。
でも今は貴方の温もりを感じてたい。
首に腕を回してソファーに倒れ込んだ。
ともだちにシェアしよう!