22 / 74

第22話

窓辺の床に大きなクッションを持って行って 午後の柔らかな日溜まりの中で青く澄んだ空を見上げる。 「冬の空って綺麗だよな?」 ソファーで長い足を優雅に組んで本を読む君に 四角い窓から見える空を眺めながら呟く。 「空気が清んでるんでしょうね。夜空なんか・・・・・・・・・そうだ。今夜は星を見に行きませんか?」 君の弾んだ声に首だけで振り返ると 眼鏡越しの瞳が輝いてた。 俺の目が見えなくなると宣告されて数日。 何かと言っては俺を外に連れ出そうとしてくれる。 『どうして?』 って聞いたら 『貴方の見た風景を僕も目に焼き付けておきたいんです。』 なんて臭いセリフを君はサラッと吐いた。

ともだちにシェアしよう!