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どうしてこうなったのか?きっと俺がクズだから
泣きじゃくりながら俺は腰を振っていた。
そうしなければ解放されない。
解放されるためには動かないとならない。
そう、俺は俺のために腰を振ってるわけじゃない。
気持ちが透けていたのか抱きしめられて動けなくなった。
「……やっ、やだぁ、やだやだ」
「駄々っ子? かわいい~」
俺が腰を上げ下げするのをとめた男が薄く笑う。
格好良くて自信にあふれた顔。ムカつく。殴りつけたやりたい。きっとそうしたら、そうしたでコイツは喜ぶ。
俺からのどんな反応でも愛おしいと薄っぺらな言葉を口にするのだ。
浅利 俊作 というこの男は一つ年上で俺のストーカーだった。
中学の頃からよくないタイプの人間を仲間にして遊んでいた。
金をバラまくことで力のある人間を従えていた。
見た目が良かったこともあり俺は男でも女でもよりどりみどり手を出し放題だ。
誰でも喜んで体を開いて俺に奉仕したがった。
それで俺の後ろ盾とか金が手に入ると思ったんだろう。
俺の前に敵はいないなんて思って好き放題していた。
その調子に乗っていた時代の一番の犠牲者がこの浅利俊作。
小動物気取りの低身長でかわいいと思い込んで男を誘惑しようとする男。
気持ちが悪かった。
ダサいから近づくなと言ったら眼鏡をやめて髪型を整えた。
服装も俺の横に居ても平気なぐらいに着飾ると周りは醜いあひるの子が白鳥になったと笑っていた。
俺に好かれようと、取り入るように愛想を振りまく浅利俊作。
どうしようもなくムカついてた。
お前の顔なんか見たくないと暴力を振るったのは数えきれないぐらいにある。
浅利俊作への嫌悪感が抑えきれずにいた。
いつでも笑顔でいた浅利俊作に腹を立てて俺は自分のチンコを浅利俊作の喉につきたてたり小便を飲ませたりした。
さすがに俺から離れるだろう、俺を好きだなんて馬鹿なことを言うのはやめるだろうと思ったが、それでもまだ浅利俊作は俺の前に現れた。自分でも引くような行動すら浅利俊作は俺からのものなら受け入れると笑うのだ。狂気を感じた。
恥じらった少女のような顔で俺になら抱かれてもいいなんて口にする気持ちの悪い浅利俊作を友人未満の数人に渡した。どうなるのかなど分かり切っている。ボロボロにされて俺の前に現れなければいい、そう思った。
すごく反抗してきたと後から聞いた。俺じゃないと嫌だと浅利俊作は訴え続けたらしい。それを聞いても俺は罪悪感など覚えなかった。
数日間、姿を見ていなかったので俺のことを諦めたのだと思った。さすがに自分を陥れた人間を好きだなんて言えるわけがない。それでもまだ浅利俊作はかわいらしい顔にアザを作った姿のままで俺を好きだと言ってくる。
本格的に俺は恐怖した。
浅利俊作は頭がおかしい。
ストーカーとして俺につきまとっていたのだから最初からおかしかった。
コンタクトなんてとるべきじゃなかった。
話しかけてはならない相手だ。
俺には浅利俊作の口にする愛が恐怖にしかならなかった。
人間としての尊厳を、男としての尊厳を壊した、汚した相手を好きなんてありえない。あっちゃいけない。
ちょうど中学での夜遊びを怒られていたこともあって俺は親に高校から全寮制の学園に入れられた。
幼く小さく愛らしいとはいえ年上である浅利俊作とはもう会う機会はない。
それでいいと思っていた。
高校はつまらないなりに生徒会役員として特権階級で生きてきた。
浅利俊作のような狂人と会わないように人との付き合いは必要最低限にしたため冷たい会長様と言われることも多かったが女に受けがいいように生徒たちにも俺の顔は人気があった。
浅利俊作のようなかわいらしい生徒たちが俺を見て頬を染めていた。
大学でも俺の顔は人気があった。
誰もが格好いいと口にする。
金もあるので冷たいけど頼りがいがあるとか怖いけど素敵なんて言われていた。
中学の頃に夜に集まっていた仲間に声をかけられて飲み歩くことが増えた。
寮生活で途切れた絆を再び取り戻すような時間に心の底で少し喜んでいたのは秘密だ。
そんな中で俺はまた浅利俊作と出会った。
はじめは全く気が付かなかった。
遊び仲間の知り合いだと思って話していたら違和感があり浅利俊作が名乗ってきた。
浅利俊作の見た目はあまりに違っていた。
俺の中で浅利俊作は小動物的な言動と見た目で周りから健気でかわいい、一途すぎるなんて言われて照れてはにかむムカつく奴。
浅利俊作の尻を狙っていた奴は俺の仲間や知り合いにも多かった。でも、俺のモノだと思って手を出さずにいた。俺の仲間内でお姫様扱いを受ける気持ちの悪い男。それが俺にとっての浅利俊作だった。
そういえば、中学の頃の仲間と大学になって顔を合わせるようになったといっても浅利俊作を襲っただろう奴らを見ない。浅利俊作は平気な顔をしているが気まずいのかもしれない。
浅利俊作は俺と会わずにいた期間に遅い成長期が来たようだ。以前は見下ろしていた低身長が今では俺と同じぐらいの目線。かわいらしくて少女のような顔立ちはグッと大人っぽくなって俺とは種類の違う男前な美形に変わっていた。
ふわふわとした細い猫っ毛。まつげも長いが少し外国人っぽい青年ってぐらいで以前のように少女と勘違いすることはない見た目。
鍛えたのか筋肉もしっかりついていると服をめくって腹筋を見せられた。
予想以上にたくましい体になっていた。
俺の知っているかわいらしい浅利俊作は消えていた。
それと一緒に俺への異常な愛も消えたのか適切な距離で接してくる。
以前のように何をされてもいいからくっついていたい。どんなことをされても好きだというオーラはない。
それが正しいとは思っても俺の中に後悔が芽吹いていく。
自分のしたことに対する反省や罪悪感じゃない。
けれど、過去を消したいという気持ちは後悔という言葉以外にない。
一度徹底的に俺から浅利俊作を捨てたんだから浅利俊作が俺のことを好きではないのは当たり前だ。
俺のしたどれをとっても好きで居続けられるわけがないし、復讐されなかっただけマシだ。
過去の自分の所業を忘れて友人同士のように浅利俊作と関わった。
酔った勢いで俺から抱き着いたりキスをしても何もない。
俺を陥れようとすることもなく隣で俺の行動のフォローをする浅利俊作。
眼鏡をつけろと言えばつけたし、おそろいのピアスだと言って渡せば喜んだ。
昔とは違うはずなのに昔と同じように俺が望めば浅利俊作は何でも従った。
浅利俊作が何をどう思っているのか分からない。
本当はまだ以前のように俺のことを好きなんじゃないのかと疑う気持ちはある。
けれど、言い出せなかった。
自分のしたことや手のひらを返すような行動が見苦しいと思ったからだ。
俺は浅利俊作からのアクションを待っていた。
浅利俊作の反応を試すように女と寝たり男を弄んだ。
どうも浅利俊作じゃなくても男を抱くという行為には抵抗がある。
自分がゲイではないからだろう。
昔に嫌悪していたかわいらしい容姿じゃなくなった浅利俊作でも俺は抱いてやろうなんて気分にはならない。
中学の頃からずっとクズだゲスだと言われていても俺は女を切らしたことがない。
女の一部は金や顔で寄ってくるがそうじゃない女もいる。それでも長くは続かない。
今まで女に対して浅利俊作にしたように暴力的に振る舞ったり誰かに輪姦させたりはしなかった。女には優しくしてやりたくなる。だから俺は女が好きで男が嫌いなんだろう。男が嫌いだから浅利俊作が成長して不快な見た目じゃなくなっても受け入れられない。
『……もう会えない? なんで?』
俺は浅利俊作を解放するべきなんだ。やっと俺は決意した。
どうしてコイツが俺を好きなのかは知らないが俺は男が好きになれない人種だから浅利俊作を大切に出来ない。
一緒にいる時間を心地よく感じはじめても浅利俊作の真意がわからず気持ちの置き所がない。そのままでいるのは嫌だった。
だから、ベタだが結婚を理由に縁を切ることにした。
相手を妊娠させたから責任をとると口にすれば男である浅利俊作は引くしかなくなる。
そう思ったが事態は急展開を見せた。
急に俺を縛りあげて俺の腹を撫でる。
ここに子供がいるのかと訳の分からないことを口にしたと思ったらワインを水で薄めて俺の尻の中に入れ出した。
洗面器はともかく浣腸をするような器具が俺の部屋にあるのが気になった。そんなものを購入した覚えはない。
話をしたのは俺の部屋だが浅利俊作が半同棲状態で居座っている。
部屋は空いていたし、食事も洗濯も掃除も家事は全部やってもらっていた。
俺のスケジュールも把握して起こしてくれたり服を用意してくれる。
復讐されても仕方がないような相手に隙を見せすぎだったが浅利俊作は成長して体格は変わっても昔と同じで俺に対して全力で尽くしてくる。
この健気さが以前は媚びを売られているようで気分が悪かった。見返りを求めているのが伝わってきて吐き気がしたが今は違う。俺が何も与えなくても浅利俊作が俺のために動くのを知っている。
だからこそ、俺は浅利俊作のためにも浅利俊作と縁を切るべきだ。
浅利俊作に甘えきった生活から抜け出さないとならない。
『人の彼氏に手を出す浮気女にはアフターピル飲ませてたし、子宮殴っておいたし、……それにリオンちゃんはいつもゴムつけてたじゃん。孕んだとかウソに決まってる。リオンちゃん以外の汚い男の精液で孕んだ汚い子供だから責任なんてとる必要ないよ。真面目なリオンちゃんを自分のモノにしたい女の嘘だ。……でも、本当にリオンちゃんの子供ならふたりの子供だと思って一緒に育ててもいいよ。リオンちゃんは子供好きだもんね?』
薄めたワインを入れた俺の尻をいじりながら浅利俊作がべらべらとしゃべる。
いつもならリオンと呼ぶなと怒鳴るところだ。
今の浅利俊作を嫌いなところは俺の名前を口にすることだ。
見た目は変わったが未だに昔からの癖が抜けていない浅利俊作。
リオンというのは格好いいと言われる俺の見た目にそぐわない、かわいい響きだ。リオンちゃんなんて連呼されると馬鹿にされている気がして嫌だった。
だから周りにはリオと呼ばせている。
少しの違いで凛々しさが違う気がする。
俺のことはリオと呼ぶ、それは暗黙の了解として俺の周りに広がっていた。
それなのにコイツは中学のかわいい見た目の頃からずっと「リオンちゃん、リオンちゃん」とためらうこともなく口にする。
呼ばれるたびに殴ったり蹴ったり裸にして馬鹿にしたりしたのにこりもせずに「リオンちゃん、リオンちゃん」と呼び続ける。切れた俺に強制的に黙らせられることも多いがやめろと言えば浅利俊作は謝って口を閉ざす。
だが、興奮するとすぐにまた俺への呼びかけが「リオンちゃん、リオンちゃん」になっている。
『リオンちゃんのおまんこトロトロになっちゃったね。あつあつだよ? ここに汚い男の精子入れた? ねえ、孕んじゃった? リオンちゃんのお腹の中に浮気相手の子供がいるの??』
俺は正真正銘、間違いなく男だ。
名前はすこし女の子っぽいかわいい響きだが美形で男前で格好いいしか言われたことはない。
孕むはずがない。
『かわいいからリオンちゃん犯されちゃった? 知らない男におまんこずこずこされちゃった?』
俺の尻をいじる指が増えていく。見えないがローションを追加してるようで、くちゅくちゅ、ぬぷぬぷ聞こえる水音の勢いが増す。完全に勃起して酔いが回ったのか身体が熱い。長くてしっかりとしたタオルで縛られているのは腕だけだ。足は閉じられる。
浅利俊作を蹴り飛ばして逃げればいい。それなのにできない。されるがままだった。
『リオンちゃんのかわいいイキ顔を見せちゃったの? 俺だけのリオンちゃんを触らせちゃった??』
異様なテンションで目を血走らせて詰め寄ってくる浅利俊作。
恐怖に泣きだすと「リオンちゃん、怒らないからちゃんと答えてね」と微笑まれた。
やわらかな雰囲気のお兄さんな見た目を捨てるように異様な熱量を発する浅利俊作に俺は「うそついた」と口にするのがやっとだった。
少なすぎる言葉だが妊娠させたらか結婚をするという俺の話が嘘だと浅利俊作はちゃんと読み取ってくれた。昔から俺が全部を言葉にしなくても浅利俊作は分かってくれる奴だった。
『俺の愛を疑ったの? リオンちゃんは昔からそうだね。小悪魔だ。俺が本当に自分を好きなのか試すことに余念がない。俺は分かってるんだ。リオンちゃんが俺のことを大好きなのはちゃんとわかってる。俺がすぐにリオンちゃんの孤独に気づかなかったのを、リオンちゃんとエッチしなかったのをすねてるんだよね。わかってる、わかってるんだよ。リオンちゃんはかわいいよねぇ』
かわいい、かわいい言いながら浅利俊作は俺の内太ももにキスをする。
頭が回らなくなっていく。酒以外にも何かされているのかもしれない。
動けないのはそのせいだ。そうに違いない。
『リオンちゃんが俺と別れたいだなんて、そんなことないとは思ったけど、気が動転しちゃった。……リオンちゃんを気持ち良くする準備をしながら知り合いに連絡しちゃった』
なんのことか分からないでいたら浅利俊作は俺の頭を撫でてきた。
『リオンちゃんの子供がどの腹にあるか分からないから思い浮かんだ女を知り合いに集めてもらってるんだけど……どうしよう。中身ないなら捨てちゃっていいかな? 一度でもリオンちゃんに触れてもらったんだから彼女たちは十分すぎるほど幸せだよね。命も何もかも、別にいらないよね』
俺の嘘のせいで今まで俺と関係のあった女の子が酷い目にあうと言っている。
ゾッとしていると俺の腹を撫でながら「リオンちゃんのお腹にはもちろん何もいないよね?」と口にする。
怖くて涙の量が増えていった。
昔、自分が浅利俊作の腹を殴りまくったり油性マジックで卑猥な言葉を書いたりしたことを思い出す。
俺は浅利俊作からどんな扱いを受けても仕方がないことを過去にしている。最低の自分を分かっていながら大学で友達気分で隣に居たのが間違っていた。
きちんとした謝罪なんか一度もしたことがない。
俺は俺の過ちを理解しながら謝ることもなかった。
最低の人間だ。
『ごめ、ごめんなさい』
『リオンちゃん? リオンちゃん、どうしたの』
『ごめんなさい、ゆるして、ゆるしてください』
『大丈夫! 大丈夫だよ。俺はリオンちゃんの嘘ぐらいでリオンちゃんを嫌いになったりしないから!! むしろ、俺のことを思って嘘を吐いてくれたリオンちゃんの愛に感動したぐらいだ。怒ってないから、よしよし』
年上の顔で浅利俊作が俺をあやす。
たった一歳の差で俺を下に見る口のきき方はいつもなら不快感を覚えるところだが、今は安心した。
『でも、リオンちゃんの淫乱おまんこは俺専用だってちゃんと分からせておかないとねー。リオンちゃんはドMセックス大好きだから悪い虫に寄ってっちゃう悪い子だもん』
『そんなこ、と……ない』
『俺を嫉妬させてお仕置きセックスしたかったんでしょ。リオンちゃん淫乱マゾだもんね』
『ちがう、そんな、ことない』
『震えてるリオンちゃん、かわいい~』
そして、浅利俊作は女の子たちを人質に取って俺に騎乗位になることを命じた。
浅利俊作のチンコはまったく違和感なく俺の中に入っていく。
まるで慣れ親しんでいるかのような感覚に不思議になった。
騎乗位でチンコを入れきって圧迫感に俺は思わず漏らした。浅利俊作はそんなこと気にしないどころか興奮した。飲みたかったと残念そうに言いがならお酒が入るとゆるくなるねといつものことのように笑う。
それがついさっきまでの話で泣きじゃくりながら俺は腰を振っていた。
そうしなければ女の子たちは解放されない。
「……やっ、やだぁ、やだやだ」
「駄々っ子? かわいい~」
騎乗位の体勢から上半身を起こして抱きしめられる。
そうすると俺は動けなくされり、体の熱が外に出ていかずに頭をおかしくしてくる。
「きもちい、い、……きもちよくて、へ、へんになるっ」
「リオンちゃんは変じゃないよ。おまんこはおちんちんで気持ちよくなるものだよ」
「……あっ、あ、あぁ、あんっ。うごきたいっ、おちんちんできもちのいいところ、こすりたいっ」
「リオンちゃんの淫乱おまんこは堪え性がないね」
「淫乱だからっ、りおん、淫乱でごめんなさいっ……おとこのひとに犯されるの大好きっ」
「誰でもいいの? シュン君のおちんちんだけだよね?」
「……うんっ、シュンくんだけぇ、シュンくんとしかえっちしないのぉ」
甘えた声を出して俺は浅利俊作にすがりつく。上半身を起こして対面座位な状態になっているので勃起した乳首とチンコを浅利俊作に抱き着くことでこすりつけてよがる。浅利俊作の体を使ったオナニーに夢中になった。
「あ、あん、あっ……アっ、しゅんくんの、みるく欲しくて、がまんできない」
頭がおかしくなったようにみるくみるくと俺は繰り返し口にする。
浅利俊作がイッてからじゃないと俺はイカせてもらえない。
そう指示されたから守らないといけない。
我慢するのが気持ちがいいから指示に従っているわけじゃない。
女の子たちを守るために俺は耐えている。
そう思っていたはずなのに彼女たちの名前も顔も思い出せない。
そもそも本当に彼女たちが捕えられているのかもわからない。
どうでもいいような気がしてくる。
我慢しているとずっと気持ちが良くて口の端からよだれを流して喘ぐようなはしたない姿でいないといけない。
上手に頼んで浅利俊作にイッてもらわないと俺はずっと快楽地獄だ。
浅利俊作に自分のものとは思えない声でねだる。
「りおん、は、……しゅんくんのぉ、みるくタンクになりたい……からぁ、りおんの中にみるくちょうだい? みるくぴゅーぴゅーして?」
もう、限界だった。射精したい。射精したい。
頭の中はそればかりで女の子たちのことは完全に忘れた。
そして、この快楽やチンコの感触を知っていると思って記憶がわずかに甦ってきた。
俺がこんな状態になるのは今日が初めてじゃない。
俺はどうもワインで悪い酔いをするらしい。
日本酒はいくらでも飲めるのにワインなんか一杯でアウト。
浅利俊作がパスタを食べる時にワインを出してきたことがある。
俺は何も考えずに飲んでキスをしてアイツのチンコをいじったり自分のチンコを舐めさせたり小便を飲ませたり尻の穴を舐めさせた。まるで女王様のように浅利俊作を従えるのは楽しかった。浅利俊作は俺が望むなら何でもする。馬鹿みたいに昔からずっと俺のことを好きなかわいそうな奴だ。
「リオンちゃんはシュン君好き?」
「しゅんくん……だいすきっ。いつも素直になれないりおんは悪い子なの……きらいになっちゃう?」
「ツンデレリオンちゃんかわいいよ」
「むかしのしゅ、んくん……かわいくてヤだった。りおんは一番じゃないのイヤ」
「俺はリオンちゃんしか見てないよ。リオンちゃんより俺の方がいいなんて思ってた奴らはちゃんと潰しておいたから大丈夫。リオンちゃんはずっといつだって一番だよ。一番かわいくて綺麗でいやらしいね」
ぐるぐると頭が回る。
変な酔い方をしてる。
吐いて楽になりたいのに吐けない。
「リオンちゃんが俺の子供を孕むまでずっと中出しセックスしようね。うれしいよね」
男だから孕むことはない。
だから延々と行為は続く。
夜が明けるまで終わらない。
そして、たぶん俺はこのことを朝に忘れている。
いつものことだ。
酒を飲んで酔っ払ったという記憶だけを残して浅利俊作との関係なんか覚えていない。
浅利俊作の異常性だって覚えていない。
また朝にはいつもの俺になって浅利俊作を疑いながら惹かれ出す。
浅利俊作を自分から解放しようなんて独りよがりな優しさで別れを口にして失敗する。
滅茶苦茶に犯されて変なことばかり言われたり口にしないといけないのに逃げられない。
「――リオンちゃん、俺はずっとリオンちゃんを愛しているよ」
かわいいかわいいリオンちゃんと言われることに嫌悪がない。
満たされた気持ちにすらなる。
本当はずっとかわいがられたかった。
中学の頃も浅利俊作ではなく自分がかわいがられたかった。
自分がタチではなくネコになりたがっていたなんて知らなかった。
自身の願望を自覚していなかった。
男は抱けない。
男に自分が抱かれたかったから。
浅利俊作はそれを知っているからこうしてくれている。
俺が素直に抱かれるわけもないから酒を使っている。
きっとそういうことなんだろう。
俺よりも俺を理解する馬鹿な男だからきっと全部、俺のためだ。
どうしてこうなったのかといえば、きっと俺がクズだから。
真っ当な人間なら浅利俊作だってわざわざこんなことをせずに俺を繋ぎとめたはずだ。
告白して両思いになってそれで幸せになれる。
普通の恋人同士になれないのは全部俺のせい。
昔に好意をないがしろにした罪悪感から素直に好きだと言えない。
俺が浅利俊作に向けていたのは愛憎だ。
本当に心から嫌いなら浅利俊作が近くにいることを許さなかった。
目障りだからと言って知り合いに襲わせたりしないし全寮制の高校に逃げるように入学したりしない。
見た目で人を判断する人間を俺は軽蔑していた。
格好いいと言われることは苦痛だった。
自分はそんな風に思われる人間じゃないと葛藤が消えない。
それなのに浅利俊作に対して俺こそが見た目で判断していた。
身長が低く少女のようなかわいらしい容姿だから心もまた壊れやすいガラス細工のようだと思っていた。
浅利俊作がガラスだというのなら防弾ガラスだろう。
俺からの攻撃にめげることなく未だに好きでいてくれる。
それを有り難いと思ってあたらしい関係になろうという前向きな精神が持てない。
クズだからだ。
楽な方に流されて生きていく。
でも、成長した浅利俊作の顔も体もチンコも全部好みなんだから離れがたい。
こういう男らしい筋肉質な身体に抱かれたい願望を俺はずっと持っていた。
認めることはまだ素面の俺は無理だろう。気持ちが悪いと否定して逃げるに決まっている。
浅利俊作の中学の頃の容姿が羨ましくて憎かった。
そのことすら俺はまだ認めていない。
ただ育った姿がこんなに好みと知っていたら最初から優しくしたのにと思いながらキスをする。
間違いなくクズだろう。
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※中学→高校(空白)→大学な、何気に長期的な付き合いのふたり。
酒が入ったリオンちゃんはわがまま淫乱Mっ子。
いつもの男前美形を演じてて(?)抑圧されているからネコ願望爆発みたいなところがある。
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