1 / 1

夢と現実の彼

真夏に壊れてしまったクーラーを恨めしそうに見た後、リモコンをテーブルの上に起き、窓を開けてベッドに横たわった。 「外の方が涼しいな、こりゃ」 心地よい風を招き入れ、今日はぐっすり寝られる筈だと思った。 最近、起きた時に体がだるい。原因は分かっている。夢のせいだ。 隣に黒髪の、片耳へピアスを付けた男が引っ越してきてから夢は始まった。帰り道に鉢合わせしたら軽く挨拶するだけだが、どこか惹かれてしまっている。 「隣に引っ越してきた天城です。三河さん、これ」 引っ越ししてきた日に貰ったタオル(テレビで人気だと紹介されていた)をベッドの近くに置いて寝ているからあんな夢を見てしまうのだろうか。それとも、彼を気にしすぎているからか。 ★★★★★ 「三河くん、力まないで」 「でも、なんか変で」 「大丈夫。今日も気持ちよくするから」 「ん、あっ、ゆ、指が」 「違和感は最初だけで、奥に入れるといつも気持ちよさそうだけど」 天城は優しくて時々強引に身体をいじってくれる。 最初は何故天城がなんて思ったが、何度も後ろに指を入れられたり、お仕置きとしてバイブを入れられれば後は快楽に身を委ねてしまう。バイブの時はナカの振動だけでイケるように、より感じられるよう前立腺をいじられたりした。 「三河くんは覚えが早くていいね」 「ヤンキーみたいに見えるのに?」 「気にしてるの?可愛いね」 天城はお腹にキスした後、へそに舌を入れ奥をつついた。少し身震いすると不敵に笑う。相変わらず不思議な雰囲気の人だ。 「今日はナカに動く玩具を入れてみようか」 後ろから抱きしめられるような体勢に鼓動が早くなる。天城は先程三河の中に新しい玩具を挿入していた。 「指じゃなくてごめん。でも、これも気持ちいいから」 天城がボタンを押すと蛇のような緑の細長いバイブが奥へと進んでいく。 「入り過ぎないよう時々出してあげるから見てごらん」 股から出ている尻尾が横に揺れている。天城が尻尾を引っ張ると、ナカに入っている丸いアタマの部分が波打つように擦っていき、もうすぐ出ると思った瞬間再び奥へ進む。 「暗くて狭まった所に一直線へ進むなんて、確か鰻の特徴だったかな?これは緑だから蛇っぽいけど」 「ふっ、ああっ、待っ、あああ⁈」 「腰が揺れてる。じっとしていないと噛みつかれるかも」 天城が三河を壁にもたれかけるようにし、尻尾を自分で持つよう三河の手を握らせた。 「尻尾の先のリングが入りそうになったら抜くんだよ」 「ふぁ、そんな」 「ここも触ってほしいだろ?」 胸の飾りを摘まれ強く引っ張られる。 「少し痛いのが好きなの、知ってるよ。自分でもやったことある?」 首を横に振ると、捏ねられ押しつぶしては引っ張られる。 「天城、さん」 「まだ俺のは入れないよ。調教が済めばね」 「分かった、よ、ひゃっ」 「キスならしてあげるからさ。愛してる、三河くん」 ★★★★★ 夜風は涼しく、クーラー要らずな夜だった。 「今日も寝てるのにいやらしい顔してる」 窓から侵入し三河の下着を脱がすまで時間はかからなかった。前にあげたタオルで目隠しをした後慣れた手つきで足を広げ、ベッドの下に隠していたローションを垂らす。 天城の長い指が肉質のあるナカへ簡単に入った。毎日ほぐしているかいがある。ボディバッグから卓球のボールサイズの球を繋げた玩具を取り出し入れていった。 「挨拶した時奥が疼いてナカしまったよな。昨日ボールをわざと一個残したんだけど、体に力入ってたのが一瞬違う感じになってさ。いいところに当たったんだよね」 玩具の輪っかに指を入れ出し入れする。三河を自分にもたれさせ出し入れする様は、音楽家がチェロを弾くようだった。 「あっ、んあっ、ぁああ」 「いい声だ。擦られて気持ちよくなったんだって分かるよ」 天城も時々捻りながら動かし、もう片方の手で胸をいじっていた。 「指と指で摘んで捏ねられるのが好きなのは分かってるよ。少し痛くしたら起きるかな。でも、三河くんって全然起きないんだよね、フフ」 天城は三河が自分に気があると勘付いていた。焦がすような目、緊張している体、物欲しそうな口。 今まで天城に恋する者たちと同じような特徴だった。しかし、彼らは天城の好みではなかった。 金髪で、少しキツイ目、だけどヤンキーとまではいかず根が優しい三河。 天城は三河を観察するうちに手に入れたくなった。どんな顔で誘うのだろう。どんな声で鳴くのだろう。 「最初は小鳥の囀りみたいだったのに、三河くん、気持ちよすぎてイっちゃった」 三河の腹にかかった液体をそのままにしておく。きっと夢精したと思うだろう。 「ねえ、知ってる?口の中も弄られると気持ちいいんだよ。早く俺のしゃぶってほしいけど結ばれるまで我慢」 三河を寝かし、ベッドの脇に座って煙草を吸った。そしてキスをする。唇を緩く噛み、開いている口を塞いだ。 噛んだらお仕置き。噛まなかったら気持ちよくしてあげる。 「んっ」 呼吸が苦しくならないよう適度に離れては再び合わせる。歯を、そして上顎を舌でなぞっていく。 一通りしたら、最後は三河の手で自分のを擦ってもらい腹にかけてやった。 目隠しを外した後、何事も無かったように天城の調教時間は終わり、窓から帰る。 「愛してるよ、三河くん」 ★★★★★ 「天城、今日は」 「泊まっていくよ、勿論」 にやりと笑う天城だが、三河は嬉しくて心臓がバクバクしていた。 ただのご近所さんな関係から、天城が話しかけてきたことで、ただならぬ関係になってしまった。 天城に抱かれる夢を見過ぎて身体が疼くようになって数日後。 電車を待っていたら偶然天城と会い声をかけられた。行き先が同じで、満員電車の中揺られながら向かい合う天城くんの顔が見れず少し俯いていると大きな揺れでドアに押し付けられる形となった。勿論、天城の身体が密着して。 『ごめん』 『いや、いいって』 胸が擦れるし、耳元で天城の声が聞こえた。奥なんて知らない筈なのにキュッとなった感じもして、一番危ないのは下半身だ。 (バレてしまう。こんなこと知られたら気持ち悪がられる)三河の気持ちとは裏腹に勃ちあがり、ただ到着地を待つしかなかった。 しかし、天城は気にせず、到着すると手を引いてトイレに連れてきてくれた。 『生理現象だから気にすることないよ』 実は天城が擦られて射精するよう毎晩仕込んでいたことなど露知らず、三河は今迄以上に天城に夢中になっていた。 「もう遅いし寝ようか」 天城からの告白で恋人同士になったわけだが、男性同士の性行為は初めてだった。しかし、初夜は調べていたよりも痛みはなく、気持ちよさが勝った。 結局、天城が上手だからかもしれないと思うことにしたのだが。 「明日早いから抱いてあげられないけど、来週なら」 「気にしてないよ。こうやって二人で一緒に寝れる、だけで」 三河は天城に抱きしめられながら眠りについた。 ★★★★★ 天城はタオルを鞄から取り出し、三河に目隠しする。鞄の奥に睡眠薬の瓶を入れて。 「さすがに付き合いだして、いきなりハードな抱き方は出来ないから仕方ないか」 天城は三河をうつ伏せにし下着ごと一気に下げ、ローションで軽く濡らした後すぐさま挿入した。 「ん」 「ナカ、気持ちいいっ」 腰を持ち上げ打ちつけていく。揺さぶられても目を覚まさない三河はされるがままだった。 「んあっ」 「とてもいいよ三河くん。熱くて、イキそうだ」 うっとりした表情でナカに欲を吐き出した。寝ていても感じてくれていると嬉しい。 背中にたくさんキスして、再び鞄から玩具を取り出す。 「次はどんな調教をしようかな」

ともだちにシェアしよう!