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18.恋する幼馴染

 奏汰 side  ピピピピ  携帯のアラームの音が部屋に鳴り響く。  手元に携帯を手繰り寄せようとするが中々見つからない、仕方がない、と小さくため息を吐きながら目を開けた瞬間飛び込んできたのは颯希の無防備な寝顔で、思わずガバッと勢い良く起き上がった。 「んぅ……」  そんな俺のリアクションによって起こった音にも小さく呻いただけで再びすーすーと、気持ち良さげに眠る颯希にそう言えばこいつは昔っから朝が弱かったよな……なんて考えが頭に浮かぶ。  俺はわりかし朝が強く寝起きが良い方だ。  逆に夜遅くまで起きていることが苦手だったりする。  小さい頃から早寝早起きが習慣づいていたし、小中は部活の朝練等もあったので早起きを心がけていれば自然と朝の6時には目が覚めるようになっていた。  大して颯希はかなり朝が弱い上に寝起きも悪い。  目覚ましがいくらなろうが中々起きてきやしないし、放っておけば休みの日なんかは昼まで眠り続ける。  なので隣で俺がどんな物音を立てようが中々目は覚めないということは分かっているのだが、つい、物音を立てないようそーっとベッドから抜け出す。  そうして、 ベッドの下に落ちていた携帯を手に取り、アラームが再びならないよう、設定を解除した。  そういや、こいつ昨日泊まってたんだったな……  目が覚めて隣に颯希がいた時はその距離の近さと無防備な寝顔に心臓が破裂するんじゃねえかって感じたが、ベッドから抜け出し、着替えて顔を洗っているうちに段々と冷静さを取り戻した俺はリビングへと足を運んだ。  そのリビングでは夜遅くまで酒盛りをしていたのであろう俺と颯希の両親がソファや床に倒れ込むようにして寝ており、踏まないように気をつけながら冷蔵庫へ向かい、冷蔵庫の中から牛乳を取り出しコップに注ぎ込んでそれを一気に飲み干した。  そうしていればソファで眠っていた母さんが目を覚ましたようで、「おはよう、奏汰。朝ごはんちょっと待ってくれる?」と言われたがそれに対して「いや、朝ごはんはいい。颯希とショッピングモール行くからそこで食ってくる」と応えれば、「そう?じゃあ、母さんもう少し寝ようかな」と言って、伸びをしながら寝室の方へ向かう母さんの背中を見送り、俺も自室へ戻る。  部屋のドアを開け、中に入り、ベッドの方へ視線を向ければ先程と変わらない姿でベッドの上に寝転ぶ颯希の姿が目に映った。 「おら、起きろ颯希」  そう、声をかけながら揺さぶるが呻くだけで中々目を覚まそうとしない颯希に「たくっ……」と、小さくため息を零しながら、更に強く揺さぶる。 「ん~、そぅちゃん……?」 「おー、そうちゃんだ」 「あれぇ?なんでそぅちゃんがここにいるの?」 「お前昨日泊まってっただろ」 「そだっけ~?」  一見きちんと会話が成り立っているように思えるが颯希の目は全く開かれておらず、未だ覚醒していないことを物語っている。 「今日は朝から出かけるんだろ。いい加減起きねーと殴っぞ」  そんな俺の言葉に 「んぁ、そうだっ、た~……」  そう言って目をパシパシしながらやっと颯希は起き上がった。 「おはよう、そうちゃん」  にへら、なんて効果音が出てくるような何とも間抜けな笑顔に不覚にもドキンだなんて、俺の心臓は跳ね上がる。  そうやって俺がドギマギしていれば、眠気には勝てなかったのか再びベッドに倒れ込んで幸せそうに寝息を立てる颯希の頭に今度は容赦なく手刀を落としてやった。

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