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22.恋する幼馴染

 奏汰 side 「うっ、ひっく、ひく」 「ほーら、泣くなよ奏」 「だっ、て、けんにいにかてっ、ない……!」 「そりゃ~お前、俺とお前でどんだけ体格の差があると思ってんだ」 「それ、でもっけんにいはおとなにかつじゃん!!」 「あ~まぁそれはだな、やってきた年月の差だな」 「こんなんじゃ、おれ、あいつのことまもってやれねぇ」 「だーいじょうぶだって」 「けん、にい?」 「お前まだ始めたばっかじゃん。それなのにこんだけ上達してんだ。センスあるよ、お前。だから、な、大丈夫」 「ほんと?」 「おう!俺が今まで嘘ついたことあったか?」 「な、い!!」 「おっし、ならほら、もう泣きやめー」 「わ、ちょあたまぐしゃぐしゃすんなよ!けんにいのバカ!」 「ははは、まずお前は強くなるより泣き虫を治さねーとな」  ピリリ 「なっ、つかしいゆめみたな……」  夢の中の俺はまだ小さくて、あれは多分剣道を始めたばかりの頃だったと思う。  なかなか勝てない事が悔しくて悔しくて、早く強くなりたいって気持ちだけが先走っていたあの頃いつも俺の手を引いて前を歩いてくれていたのは俺の憧れるヒーローみたいな存在。  そんな夢をみたからだろうか 「おっす、奏。休みだからって寝坊助だな~」  顔を洗い、リビングへ行けば先程まで夢の中に出てきていた人物がそこにいた。 「健兄?!何でここに……」 「いや、実はさ来年からこの辺の交番勤務になる事が決まってな、今日は書類の整理とか諸々提出しに来た帰りに久しぶりだっから叔母さんや叔父さん、奏の顔でも見っかな~って思って寄ったんだよ」 「何だよ、来るなら言ってくれよ!」  そう言いながら健兄の方へ歩いていけばキッチンの方から母さんが顔を出したながら文句を言う。 「そうよ、健人。あんた一人暮らし始めてから全然連絡してこないんだもの。便りがないのは元気な証拠って言うけれどそれにしても正月くらいしか顔を見せないのはどうかと思うわ。それにやっと顔を見せに来たと思えば何の連絡も無しだし、あんたが来るんだったら私もお父さんも出かける予定なんていれなかったのに……」 「ごめんって、ほら、叔母さん、叔父さん外で待ってるんだろ?奏も起きてきたし後は奏に相手してもらうからさ、それに来年からはこっち戻ってくるから頻繁に顔出すようにするし早く出かけなって」 「それもそうね、じゃあ奏汰、母さんと父さん夜には帰ってくるから、お留守番よろしくね~」 「おー。行ってらっしゃい」  そう言って慌ただしく玄関に向かう母さんに俺は、声をかけてその背中を見送った。

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