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11.恋する警察官
昴 side
「おーす、昴元気にしてるか~?」
そう言っていつも通り俺を呼ぶこの人に俺は思い切ってずっと、出会った時からずっと疑問に感じていた気持ちをぶつけた。
「健斗さん……」
「んーなんだなんだ、その何か言いたそうな顔は、」
「えっと……」
「ほら、遠慮とかいらねえ何かあるなら聞いてやっから言ってみろよ」
「あの!何でこんなに俺に構ってくれるんですか…?確かにお母さんとの事があって色々お世話になりましたが今ではもう施設できちんと保護してもらってるし生活も普通の人並みにできるようやななりました。一警察官である健斗さんが俺を目にかける理由はもう無い、と思います」
そう段々尻すぼみになる自分の言葉を健斗さんは最後まで耳を傾けてくれそふさて俺の頭を思いっきり撫でながら
「んなのお前が好きだからに決まってんだろ」
と言った。
好き、そう言ってもらえた事が嬉しくて、俺だって、俺だってそんなの好きだって気持ちを伝えたくて
「俺も健斗さんの事お兄ちゃんがいたらこんななのかなって思うくらいに好きですよ」
と、返したら盛大にため息を吐かれた。
「え、何ですか!?その深い溜息、迷惑でしたか?兄みたいだなんて図々しかったですかね」
舞い上がって兄みたいだなんて言ってしまったけれど図々しかっただろうか…
何てぐるぐる悩んでいればガシッと力強く健斗さんに肩を掴まれる。
「ちっげぇよ!!あーあれだその俺の好きってのはそういうこっちゃ無くてだな」
「そーいうこと?? 」
「だから!お前のこと愛しちゃってんの、俺は!」
「は…はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?あ、あい、あああい!?」
「ブハッ」
一瞬理解が遅れたが健斗さんの突然の告白に俺は思わず普段出さないような大きな声で叫ぶ。
そんな俺に可笑しそうに笑いながら健斗さんは言う。
「落ち着けって、ははは」
「な、なななななに笑ってんすか!?てかあんたのせいだろ!!」
「だって仕方ねーじゃんお前のこと俺のもんにしてぇっめ思っちまったんだもん。」
「もんって......」
「まぁだからそういう事だから。俺がお前に構うのは俺が好きでやってることなのでお前が変に気を使う必要は全くありませーん」
「え、あ、はい......」
「んじゃ今日は帰るわ」
「え!?」
「えってなんだえって」
「いや、だってさっき来たばっかなのにもう帰っちゃうんですか?」
「お前なぁ......」
帰ろうとする健斗さんの腕をグイッと引っ張って言う俺に呆れられたように言葉をよこす健斗さんに焦ってしまう。
でも、だって仕方ないじゃないか!
健斗さんは兄みたいな存在で俺にとってヒーローでそんな風に考えた事なんて一度もなくて、でも、だけど!
「あ、あの俺!本当に健斗さんには感謝していて、お兄ちゃんみたいだって思ってて好きだってのも本当で、だけどそれ以上の感情が無いのかって言われたらわからなくて、俺まだそのあいっしてるだとか恋愛の好きと家族の好きの違いとか分かってなくてえっとだから、その…」
そうやって声を裏返しながらも一生懸命言葉を紡ぐ俺の腕を今度は健斗さんが引っ張って俺の体は健斗さんの体にすっぽりと抱きしめられる。
「けっ健斗さん!?」
「あーもうお前なんなの可愛すぎ、俺の事殺す気か」
「かっかわっ......!?」
「いーよ、別に今すぐどうにかしてーって訳じゃねえし、そりゃ、キスしてーなーとか色々お前で妄想することはあるけど」
「妄想?」
「あー、まぁお前もそのうち授業で習うだろ。とりあえず!別に今すぐ答えなんて出さなくていーよ」
「じゃっ、じゃあ.....待っててくれますか?俺のこの感情に名前がつくまで」
「元からそのつもりだ」
そんな俺の言葉にそうやって返してくれる健斗さんにホッとしてつい顔が緩んだ。
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