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ありがとうとごめんなさいの夜
「はぁ、疲れた一日だった……!」
午後九時間近──。
アパートに戻った俺は、どっとベッドに倒れ込んだ。
ハラハラして、ヒヤッとして、ドキッとして安心して……こんなに濃厚な一日がこの二十五年間、あっただろうか。
「お仕事お疲れさまです、千代晴」
「お前もな。今日は色々あって疲れたけど、結果オーライだったな」
「………」
「暑かっただろ。飯の前にシャワー浴びた方がいいぞ」
「千代晴……」
ベッドに寝転がった俺の横で、ヘルムートが両手をもじもじと合わせながら立ち尽くしている。
「どうした?」
「おれ……」
その顔は赤く、珍しく汗もかいている。
そうして一瞬床から浮いたヘルムートが、ふわりとベッドの上に乗り――俺の体を跨いで座る格好となった。
「ヘル、……」
呆然とする俺の目の前で、ゆっくりと今日一日着ていたシャツを脱ぐヘルムート。
天井の照明に照らされた体が白く光り輝いている。俺はその美しさに息を飲み、何も言えずヘルムートを見上げることしかできない。
「おれ千代晴のこと大好きで、今日はいっぱいの迷惑をかけて、……大好きとごめんなさい、おれのカラダで両方一緒に伝えたいです」
「いや、……そんな必要ねえって……」
「千代晴、じっとしてていいです。セックス嫌でしたらお尻使いません、おれの気持ちだけ受け取って下さい」
ベルトにヘルムートの手がかかる。その顔はこれまでにないほど男らしく、真剣な青い目に俺の心臓が音をたてた。
「や、やめろって!」
「ん……」
「っ……!」
下着の上からヘルムートの手が触れ、情けないがビクついてしまった。
――クソ。
思わず心の中で舌打ちする。――マジでしゃぶらせるぞ、この野郎。
「……千代晴、おれで気持ち良くなってくれたら凄く幸せです……」
「ヘルムート、っ……」
下着越しにキスをされ、盛り上がった部分を薄い唇で挟まれる。久しぶり過ぎて体が言うことを聞かず、気付けば俺はされるがままの状態でヘルムートの綺麗な顔を見つめていた。
「千代晴、おっきくなってます……嬉しい」
「ていうかこんなことになるなら、先にシャワー浴びた方がいいんじゃねえの……」
「大丈夫。千代晴の汗の匂い好きです。……ごめんなさい。おれ、止まらないかもしれません……」
「ヘルムート……?」
赤くなった頬にとろけた瞳。まだ直接口で触れた訳でもないのに、唇の端からは涎が垂れている。
「千代晴の匂い……」
「………」
もしかしてコイツ、実はとんでもなくエロい奴なのでは。
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