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ありがとうとごめんなさいの夜・5
改めて、なるべく驚かせないようにゆっくりと。俺はヘルムートのペニスを優しく握り、先端に軽いキスを繰り返しながら騙し騙し……少しずつ口の中へとそれを含んで行った。
「ふ……。あっ、ぁ……」
二度目は少し慣れたのか、今度は太腿で顔を挟まれることはなかった。
「あ、あ……あったかい、です……」
「――ん。そうだろ」
「ひっ、ぅ……、ふあぁ……変なしあわせの気持ち……」
何だそれ、と心の中で思わずツッコミを入れてしまったが、はふはふと息をしながらもヘルムートは心地好さそうに笑っている。
「んゃ、あっ……じんじんしてきました、千代晴っ……」
「……正常に感じてる証拠だ」
奥まで咥え込んで優しく舌を絡め、先端から垂れた体液を軽く吸い上げる。宇宙人が全員そうなのかは分からないが――ヘルムートの体液は、不思議な甘い味がした。
「やっ……! 何かが、急いでますっ……。あそこ、むずむずして……あう、ぅ……」
「自然に任せろ。何も怖いことじゃねえ」
「手、繋いでください……千代晴、……あ、ぁっ」
伸ばされたヘルムートの右手を握り、もう片方の手で限界間近のペニスを扱く。
「は、あぁっ……! ちよ、はる……!」
「………」
「あぁっ……!」
射精の瞬間に名前を呼ばれるとは。また俺のムスコが興奮してしまうじゃないかよ。
「ふわぁ……白いのたくさん出ました。本にあった、これが男の人の大事な種……おれもちゃんとした男です」
「精子も出すのに子供も産むって、変な生き物だよなぁ……。中出しすりゃその腹がデカくなってくのか」
「へへ。クーヘンでは赤ちゃん一つだけタマゴで産みますから、お腹膨らみません。産まれたばかりの赤ちゃん、初めは手のひらに乗るくらい小さくて可愛いです」
「えぇっ?」
「オマケにどんな姿してるか、孵化するまで分かりません。おれの兄様、お星さまに似たヒトデの赤ちゃん産まれました」
――何じゃそりゃ。
「子供の頃はヒトデでも、成長するとヒトの形に似てきます。おれも初めは……」
「は、初めは何だったんだ?」
聞きたいような、聞きたくないような。
俺はなぜかベッドに正座した状態で息を飲み、ヘルムートの次の言葉を待った。
「おれも初めは、とても可愛いクラゲちゃんみたいだったとお母さん言ってました。だからおれ泳ぐの得意です。赤ちゃんの時はお水の中で育てられました」
「クラゲ……」
俺は目を細くさせてしばし考えた。
あの海の嫌われ者であるクラゲが、いま目の前で頬を赤くさせているヘルムートに成長しただなんて……もはやオカルトだ。宇宙人には地球の常識が当てはまらないというのは何となく察するが、せめて人魚とかならまだ綺麗だったのになぁと思う。
「………」
「あ、……千代晴イヤでしたか? おれのこと、気味悪いですか?」
黙った俺を見て不安になったらしく、ヘルムートが焦っている。現物を見ていないから何とも言えないが、とにかく今存在しているヘルムートはヒトそのものだしオマケに美人だ。
──問題ない。俺はクラゲに欲情した訳じゃない。
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