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恋する宇宙の便利屋さん
ヘルムートと初めてセックスをしてから一夜明けた、今日。
昼前、午前十一時。今日を含めて俺の休みはあと四日。
「ヘル、体の具合はどうだ。変わりねえか?」
「全然変わらないです。……ま、まだ一日も経ってないですし」
そもそも着床(と言っていいのか謎だが)したのかも分からない状態だ。地球人の女性の妊娠も判明するまで最低一カ月はかかるのだし、一夜明けただけでそわそわしているようでは父親なんて務まらない。
「ところでもし子供ができたとしたら、クラゲのお前からはクラゲの子が生まれるのか? それとも人間の俺の方が強く出るのか?」
「クラゲとは限らないですけど、クーヘンの星の子達は海のいきものの形してることが多いです。多分、お父さんのチカラが強いからだと思いますけど……」
「海の生き物ねぇ。そりゃ、クラゲちゃんとかヒトデちゃんなら可愛いけど……。もしもサメとか、それこそ父ちゃんみたいなクジラの子だったらどうするんだ」
「それは大丈夫ですよ。どんなに大きないきものも、タマゴから孵った時はみんな手のひらサイズです」
手のひらサイズのサメにクジラ、それらがどこまで成長するのか見当もつかないが……デカい海洋生物は嫌いじゃないので、俺としてはどうせならカッコいいサメやシャチが生まれて欲しいと思う。
「そうなると、ベビー用品も生まれるまでは買わない方がいいのか……。一体どのくらいからヒト型になってくんだ?」
「個体差ありますけど、おれの場合は二歳くらいまではクラゲだったと思います。三歳くらいからちょっとずつヒトの形に……」
「………」
想像するとかなりグロテスクだが、ファンタジーなクーヘン星人のことだから恐らく可愛いフォルムを保ったまま成長してくれることだろう。
「まあ、気負わずにさ。タマゴできてなくても、その……何度でもチャレンジすればいい訳だし」
「……千代晴、エッチな顔になってます」
「こればっかりは、俺も男だからなぁ……」
抱きしめたヘルムートの額に何度もキスをして、ぐいぐいと背後のソファに押し倒そうと体重をかけて行く。
「休みの日は、パートナーとゆっくり過ごすモンだろ」
「へへ。……千代晴から求めてくれるの、すごく嬉しいです……」
ソファに倒したヘルムートのシャツを捲り、薄い胸元と小さな乳首に舌を這わせて行く。
「あ、……んん、千代晴、……はふ……」
「ほんと柔らけえな。ぷにぷにのクラゲ肌」
「ち、違います……! あはは……」
嫌がる素振りも見せないヘルムートの体を堪能していると、突然──
「千代晴ちんっ!」
「うおっ……! な、何だっ?」
鍵を閉め、チェーンもかけていたはずのドアがいきなり開き、血相を変えたナハトが飛び込んで来た。見ればドアの鍵は壊れ、チェーンはぶち切れている。
「ナ、ナハトお前っ! これ交換すんの幾らかかると……!」
「そんなことより──って、あ……。ヘルちゃん乳首出てるよ」
「ひゃ」
「イヤーン、真っ昼間の情事!」
「うううるせえよっ、何しに来やがったお前!」
そうだ、とナハトが我に返った様子で捲し立てた。
「ねえねえ! お二階のイケメン、名前何ていうのか知ってる? めちゃくちゃカッコいいお兄さんいるじゃん! 千代晴ちんの友達っ?」
「は、はぁ……? 二階にイケメンなんていたっけか……」
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