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落ち穂拾い的な そんな訳ない
「あの人達は?」
お茶を出すように言われて準備したけれど、やってきた家族らしい三人は大神さんと接点がありそうにない一般人っぽい人達だった。
「息子さんが実は『野良』……えっと、実はバース性がオメガみたいでね、今から弁護士の先生と話合って、今後の事を決めるんだよ」
「そう 」
忙しそうにする直江にはそれ以上尋ねる事ができず、何も言えないままお茶を出しに行くしかなかった。
ふぅと溜息を吐いて大神はネクタイを緩め、ベッドの端で背を向けて項垂れているセキにどうしたのかと声を掛けた。
「今日 来てた子ともえっちするんですか?」
「 なんだそれは」
「しょうがないのは分かってるから……でも、その後で俺ともえっちしてください」
また突拍子も無い事を言い出したと呆れを顔に滲ませながら、大神はセキの隣に座って俯いた顔を上げさせる。
「何を馬鹿な事を言っている?」
「あの子がヒートになったら、抱くんでしょ?」
「待て、話が見えん」
「前に、直江さんが……オメガには皆するって」
「『野良』は見つけ次第保護する、それだけだ。皆そうしている」
何を言っているんだ?と大神は怪訝そうだ。
「保護 だけ?」
「当たり前だろう」
もぞもぞ と大神の膝の上に向き合って座っても、大神は退けようとはしなかった。
むしろ腰に手を回して、どうした?と尋ね掛けてくる。
「や あの、勘違いしたみたいです」
多分、あの時、苛立っていた直江はあえて誤解しやすい言葉を選んだんだと、あかは納得して何度も首を振った。
「大神さんが……保護したオメガの皆にこんな事してるのかなって」
「そんなに暇じゃあない」
頬を包み込んで、ぐりぐりと掌を擦り付ける。
両手の中でむにむにと形を変えるあかの頬を見遣り、大神は口の端を歪めた。
「馬鹿な事ばっかり言ってないで、風呂に行ってこい。少し休むぞ」
「!」
膝の上であかがぴょこんと跳ね、恥ずかしそうにもじもじと体を揺すり始めた。
「じゃあ、あの、一緒に行きませんか?お背中流します」
赤くなりながらにこにこ言うあかの下心をどうしてやろうかと考えながら、大神は抱き締めたまま立ち上がった。
END.
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