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落ち穂拾い的な 報告

「阿川しずるについて  一人で事務所に辿り着いた事を鑑みるに勘は悪くない。むしろ何者の手も借りずに辿り着けた事に対しては称賛に値する。  ただ強い怯えが見られた為、実戦を重ねて胆力を養うか、適性がないとしても良い。  特筆すべき点は、かなりのお人好しであり単純なので、今後これが足を引っ張る可能性が見られる。  その他の件に関してだが、こちらで対処できるような問題はない。ただし、深い物を探ろうとするならば「白」に依頼されたし。  けれど、彼には加護がついている様なので、一切の問題はないと思われる」 「   ────それから、なんやあったかな」 「んっ   この間来たお客の報告ですか?」  きし と赤い縄が軋む。 「個人的には、その前に来た人が面白かったです」 「ほぉ?  あー……直江やったっけ?」 「首輪に気づいて、人をゴミ屑のように見てきた目が良かったです   ぁ、」  ぶるぶると震えて、ハルキは膝を擦り合わせて悶えた。 「あー あいつはなんか、お綺麗すぎてあかんて書いたか?」 「 んっそうですぅ  それで、あのぉそろそろかまって貰えると、ナいてよろこびますけどぉ   」 「報告書が先や」 「ええええええ……イけず……」 「ああ、そうや。   」  加護について  と書き出し始めてから柊はやや思い悩むように指を揺らし、結局はそれを消して首を振った。 「   知らん方がええか」  そう言って柊は送信のボタンを押した。 END.

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