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ひざまずかせてキス 1

「直江。片付けておけ」 「    はい」  まじか……  ホント勘弁して欲しい!  オレには無理だ。  傍でナニされようと勝手だが、オレにまで触れないで欲しいし、人の体液がつくと思っただけで吐きそうだ。  ヌルつくあの存在がホント苦手で。 「  うわっ」  ゴム手袋越しにきたヌルッとした感触に飛び退いた。  ホントやりたくない。  でも大神さんの身の回りを任されている身としては、掃除しないわけにもいかないし。床と、ソファーと、その周りに飛び散ったいろいろなナニ。  幾ら換気してもそれ自体が濃いフェロモンを残していて、あまり長い間嗅ぐのも良くないしで……参った。  今頃大神さんは猫にまたたび状態で、機嫌良くあかが起きるのを待っている所だろう。 「はぁ  」  感触が分からないように出来るだけティッシュを重ねて拭い、掃除用のシートで拭き、消臭剤をかけ……  それでも残る臭いを感じるのは、オレが強めにα因子を持っているせいかもしれない。発情期の、しかも性的に興奮の絶頂にあったΩのフェロモンは強烈で、βのオレですらクラクラと目が回るような匂いだった。  じく とした太腿の痛みに眉間に皺が寄る。  そこは数時間前にα用の緊急抑制剤を打ったところで、少し腫れているような感触があった。 「打ったのが確か……」  腕時計を見て時間を計算する。  注射型の抑制剤の効果は劇的だったが、持続力は錠剤のほうが長い。  思ったよりも時間が経っていたことに気づいたのは、目が回るような感覚に陥ってからだった。  まずい  残っていたフェロモンに当てられたのだと、床の感触を膝に受けてわかった。より濃くなったフェロモンの臭いに、ここから離れなくてはと理性が言うも、下腹部に集まる熱に邪魔されてその場に蹲る。 「あ っ 、やば    ぃ 」  足と腹に挟まれて、ソコが圧迫されて痛みを訴えた。  苦痛を逃すために額をソファーにつけて呻いてみるも、そのソファーが一番フェロモンの臭いを染みつけているのだと、鼻を鳴らして気がついた。 「ぅ   」  ああ、もうこれは駄目だと観念して、スーツの前を寛げる。圧迫感がなくなって、これで少しは楽に  ならないのが、フェロモンに当てられてしまったα因子の厄介な部分だ。  空気が触れた感触すら感じてしまい、震えて立ち上がる先端から滴が落ちる。 「ふ、 ぁ、くっそ   」  悪態を吐いても何を言っても、吐き出さないことにはどうにもならないことを、自分が一番よく知っている。  α因子なんて……あったって面倒なだけだ。  荒い息を吐きながら、なんとかゴム手袋を引き寄せる。震えながらもそれをはめて、そろそろと後ろへと指を這わせた。  そちらを弄らないと、オレはイケない。

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