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Dog eat Dog 25
ひゅー……と吐いた息が音を立て、熱い空気が喉を通って行く。
「ぁ ぁぁあああ つ、 」
首元に嵌められた首輪型のネックガードを引っ掻きながら転げ回ると、小さな笑い声が上から浴びせかけられて……怒鳴り返してやろうと思うのに、体を嬲る熱に翻弄されて言葉らしい言葉が紡げない。
これは、発情薬 だ。
胃……じゃない、もっと下の辺りが痛みに近い疼きを訴える。
「ィ っく、そ 」
空調の動き出す音が聞こえて、ゆっくりと動き始めた空気が体の表面をなぞっていく。それだけでカーペットに先走りが垂れて……
気を逸らすために身を捩ろうとしたところで、中田の足が手錠の鎖を踏みつけてきた。
「薬が、効いてきた?」
「 は、?そんなわ け、な ぃぃいいっ‼」
ぎゅ と股間を踏まれて語尾がひっくり返る。
中田の大きな足がオレのちんぽを踏みつけて、じわりと体重をかけて押さえ込んできた。勃起したソレの角度を無理矢理変えられる辛さと踏まれた痛みと、何より敏感なソコに触れて貰えたことに頭が喜んでいいのか怒っていいのかわからず、脳裏がスパークしてチカチカと明滅した。
「 ぁ゛ぁっ!あ゛、ひ、っ ぃあ 」
苦痛のはずなのにぞわぞわとする気持ち良さが体の中心から広がって……
手足を振り回しても金属音がするだけでろくな抵抗にならないままで、意識のしない痙攣で腹が波打つ。尻の間が潤む気持ちの悪さに泣きそうになりながら身を捩る。
「足で踏まれて、 感じてんの?」
揶揄うような笑いを含んで尋ねかけてくる中田は、虫けらでも見るような顔をしていて、ほんの少し前までオレに犯されてヒィヒィと泣いていた男には見えない。
「こことか、さっきふみさんが擦ってくれたトコなんだけど」
「 ────っ‼」
先端の柔らかで感じやすい部分を踏みつけられて……
ぱた とカーペットに白濁の液が落ちて、ちっぽけな水たまりを作ってみせる。
「 っ は、はぁ、は はぁ 」
出したのに熱が逃げないままで、小さな精液の表面に映る苦しそうな自分を見詰めた。
「この薬、いいできだろう?作ったやつ腕がいいんだ。―― 四月一日って言うんだけどね」
熱に浮かされているのに、聞くはずのない名前を聞いて冷水を浴びた気分になる。
「そん いつ そん……」
『すべて一人で制作後、この薬に関しての情報はすべて破棄してもらえるかな?』
そう。
作り終わったばかりじゃないか!
「 ──── っそっジジィ‼」
おかしな手書きの用紙、おかしな注文の仕方、胡散臭い 笑顔!
「 は、 は 冗談じゃ な、い…… 待て、オレ……せいえ 」
作るにはソレが必要なはずだ。
「いつ、 いつ 」
そんな、
「あっはっはっは!」
困惑でぶつぶつと呟き出したオレに向けて笑い声が落ちてきて、頗るいい笑顔が向けられた。男らしい、余裕のある、αらしいその笑顔に唾を吐いてやりたくなるが、今のこんな状態じゃ無理だ。
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