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お可愛いΩ お可哀想なα 25
朝になって、銀花の機嫌がちょっとでも良くなってるかなって期待してたんだけど……
うん、まだ拗ねてる!
「おはよう」
珍しくオレより先に起きていた銀花にそう言うけど、もごもごっとした言葉を返してくるだけでそれが挨拶の返事なのかどうなのかはっきりとしなかった。
それが昨晩のお父さんそっくりで、似なくてもいいところが似るもんだな と口をとがらせる。
「……おはよう」
お父さんもやっぱり気まずそうだけど、お互い一晩寝てちょっと頭が冷えたのかな?
「おはよう……えっと、ベッドに運んでくれたのお父さんだよね?ありがと……」
真冬じゃないって言ってもちょっと寒くなってきている時期だったから、風邪でもひくかなって覚悟してた部分もあったんだけど、朝起きたらお父さんのベッドで毛布にくるまってぐっすり眠っていて、気付かない間にお父さんの部屋に運んでくれたんだなってことがわかった。
もう今は高校生だからそんなことはないんだけど、小さい頃は遊び疲れたらそうやって寝ている内に運んでくれたりしてたから、朝起きてなんとなく嬉しい気分なったのはちょっと内緒の話。
昨日はちょっとアレだったけど、今朝はお父さんの作ってくれた朝ご飯を食べてお弁当を持って……うん、よし!大丈夫!昨日よりは出だしがいいからきっといい日になる!
「……あ!オレ達明日から海の学校なんだけど…………」
プリントも渡したし連絡もしてあったはずだけど、念のためにそう言うとお父さんは小さく頷いて返してくれた。
「ああ、帰ってくる日には戻っているようにしておくから。準備しておく物は全部そろってるか?必要な物があるなら今日の内に買いに行っておくが」
頭の中で海の学校のしおりの持ち物欄と旅行鞄の中を照らし合わせてみて……うん、無いはず。
昨日の夜に銀花の分をチェックできてないからどうかな?
「オレの方はないと思う。この後、もう一回確認するけど……銀花の方の確認してないんだ。銀花、後で荷物 っ」
ばんってフォークがテーブルに叩きつけられて、唇の端をケチャップで汚した銀花がこちらを睨む。
昨日の訳のわからない八つ当たりが再燃したんだって思うよりも前に、ケチャップで服を汚さないかはらはらした気持ちの方が先に立って……
「りっかは構わないで!」
「えっあ だって、ケチャップ……」
ティッシュに伸ばした手を叩かれて、さすがに理不尽過ぎて腹が立つ!
「もー!もー知らないっ!銀花なんか知らない!人がせっかく心配してあげてるのに!」
「あげてるってなんだよ!偉そうに!別に頼んでないもん!おせっかい!」
「お せ っ」
オレがおせっかいを焼いているのは、放っておいたら銀花は朝も起きないし、お弁当も用意できないし、時間割だって間違えるし、制服もアイロン当てないし、足ビシャビシャのままお風呂から上がって滑って転ぶんだ!
それでいつも泣いて助けてって言うくせに!
お互いむっとして頬を膨らませて睨み合うけど、どっちかが折れそうな気配は微塵もない。
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