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「マジでさっきの女、デリカシーなかったわー」  あーあ、と天井を仰ぎ見ながら愚痴を吐き出す。本当はさほど気にもとめていない。  薄暗い自室の中。  ベッドに腰掛けて欠伸を一つ。  そんな俺の股間に顔を埋めて必死に奉仕中なのは、五つ年上の友人だ。  友人と言っても不純なフレンドであるこの男は、初瀬(はつせ)翔瑚(しょうご)──ショーゴ。 「ン、ゔ……」  芸能人の様にあたら整った男前な顔が、苦しそうに歪んでいる。  なんでと言うと、さらさらとイイ触り心地の黒くて短めの毛並みを鷲掴んで喉の奥を犯しているからだ。  だってトロいんだよ、コイツ。  食道の入口を先端で擦ってやると、黒い瞳がえずきながら縋るような視線で俺を突き刺す。ダメだぜ、そんな目で見ても。  俺は助けてやんねーよ?  戯言言う子は夢から覚ましてあげちゃう。あはは。おはようショーゴ。 「ゔ、んぐ……っ」 「ショーゴぉ、聞いてる? さっきの子ね。絡まれてたから気まぐれに助けてやったのよ。俺やさしーだろ?」 「はぁ……っうぇ……ふっ」 「そしたらお礼したいって言うからさ、その子のアパートにお呼ばれしてヤッたのよ。お礼ってそれしかないじゃん? したら、その子俺に惚れたんだって。本気なんだッテ。彼女面してきたのよ。ないって」  ヘルプを無視して根元まで食わせると、呼吸がままならない喉がギュウギュウと俺の肉茎を締めつける。  飽きたあたりで引き抜いてやれば、ジュボ、と妙な音がした。  粘液の糸が幾重にも引かれる様が、甘えたなショーゴが残念がっているようだ。  ショーゴ、虐められるのスキだから。  ショーゴは虐められることを構われていると思い、カワイソウな自分を慰めている。  それを本心で悦んでしまうドマゾのド変態に育った。本人は無視されるよりずっとイイと感じているらしい。 「っ、ん……(さき)……」 「で、吐き気したから速攻帰ってきたわけ。はは、お前が今舐めてた俺の、さっきまで女の中に入ってたのよ。美味しい?」  そんなショーゴにとって、淡々と告げる俺の愚痴はサイテーな毒に等しいだろう。  嘲笑しながらショーゴを見下ろすと、口元を唾液と俺の汁で濡らして子犬のように哀れな顔を晒していた。  女々しいなあ、男のくせに。  男前なツラが台無しだね。大人なのに二十歳そこそこの俺に泣かされてんのか。ウケるわ。カワイイショーゴ。  指の腹でショーゴの肉感的な唇を掻き分け、口の中に二本の指を押し込む。  温かくてぬるぬるしている。  柔らかで心地いい口内。その舌を突き刺すように、爪を立てた。 「ゔ、ッぁ」 「痛い? なあ俺、お前のじゃねえじゃん。なんの権利があって縛りつけようとしてんの? いちいち怒んなよ鬱陶しい」  愛想良く笑って言ってあげたのに言葉の愛想が最底辺だからか、泣きそう、が泣いてる、に変わる。  その目に浮かぶのは怯えだ。  かわいい目玉だこと。

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