195 / 306

17(side翔瑚)※

 自分で自分の足を抱き抱えるよう命じられて、俺は抱きやすいように足を広げて膝裏に手を引っ掛けた。  大ぶりで緩やかだった突き上げが乱暴さを含み始め、ベッドの上で開脚したまま淫猥な肢体が快楽に弾む。 「はぁっ、う、咲、さ、んッ…ンッ…ンんッ……! ぁ、んッ…ぁあ……!」  バチュッ、バチュッ、と溶けた肉穴を掘削されるたびに空回りする粘膜が擦れ合う水音と切れ切れの喘ぎ声。  名前を呼んで鳴く。癖だ。  血管の浮いた怒張を根元まで深々と突き刺されて圧迫される内臓が苦しい。  食いちぎりそうに尻穴が締まるが強引に引き抜かれ、また限界まで貫かれる。  一突きごとに恥骨がぶつかって痛いくらい激しく犯されると、俺の中はひくひく痙攣して簡単にイク。  そうすると力が抜けて筋肉で張った腿から指が離れそうになるが、そのたびに裏ももをパンッ! と叩かれ破裂音と痺れが足先まで走り抜けた。  何度も何度も容赦のない平手を食らい、腫れていく白いもも。  裏ももに赤い痕が幾度も重なりヒリヒリジンジンと痺れ熱を持っても咲は叩くことをやめず、直腸の突き当たりをグリグリ抉りながら、収縮してうねる穴を楽しむ。 「ン゛ッ! あッ、そんなに叩いたら痛、ッひ、痛い咲、さき……っ」 「痛いの? でもお前の中はギューギュー俺を締めつけてるし使いどころのねー無駄なもんは性懲りもなくだらだら涎垂らして跳ねてっけど?」 「それは……っち、違う、つよ、強すぎるとちゃんと痛い……っ」 「ふーん? あっそう。そんじゃ、優しくする? 痛いのやめるよ。ショーゴが言うなら俺はしねーから、ね?」 「っひ、ん、っ……」  痛すぎると泣くと、腫れたもも裏をローションを継ぎ足した手でヌルりヌルりとマッサージされながら首を傾げて尋ねられた。  ドクン、と心臓が鼓動する。  体内を貫いたモノの全体を柔らかく包み込む秘所が、甘くきゅぅんと収縮した。  ──ズルい、聞き方。  無自覚に、無意識にそうする。  俺を命令されると感じる男に育てたのは、咲だ。なのにお前は俺の気持ちなんてわかっていないまま、そうやって煽るんだ。 「……嘘……嘘だ……」 「うふ」 「痛いのは、酷くされると好かれていない気がして悲しかった付き合う前からの思い込みで……嫌だと言うが……本当は今は、嫌だと言っている自分が気持ちいいんだ……」 「ショーゴ、悪い子だな」 「あぁ……」  ぐすん、ぐすん、と泣きながら嫌がる自分に興奮していたのだと告白する俺を、悪い子だと叱る咲。  抱えっぱなしの足を片方抱き寄せられ、頬を寄せてチュ、とキスをされた。  柔らかいくちびる。  咲の体温は低いから、火照った肌に優しく感じる。何度もねだってキスをする。  そのうちキスで感じ切った俺はモジモジと律動の再開を求めたが、咲は「マテ」と声をかけて俺の中からヌルリと出ていった。 「っ? 待つが……その、途中は、さみしいな……はやく帰ってきてくれ……」 「ふ、そこ挿れとくとこじゃねーのにね。待ってて、寂しんぼのショーゴちゃん」 「ん、ん……マテ、ちゃんとするぞ……」  濡れた後ろがキュッ、と窄まる。すぐにくぱりと拡がりまたすぐに閉じる。  欲しがっている。早くもう一度と、恥ずかしくてギュウと力を入れる。  咲は部屋に用意された貸し出しのオモチャの棚からいくつか選んで購入し、戻ってきた。 「あ、タダイマ?」 「ンッ……」  チュ、と唇にキス。ただいまのキス?  タイミングがおかしいというかやはりどこかズレているのに、俺は震え上がるほど歓喜している。  脚を開いて仰向けに寝そべる俺には見えにくいが、咲の手には細いチェーンで繋がった二つのクリップがあった。 「ふは、嘘つきショーゴ。全然いいよ、悪い子でも構わねーから。俺……ちゃんと愛してる。俺はお前がスキ」 「っ……ふ、嬉しい……俺も好きだ、愛してる、咲、一番……っ」 「続き、しようか」 「うん……っ」  どうするのかは想像がつく。  俺のどこかにそれを着けるのだ。  強く挟むクリップはとても痛いとわかるが、それでも〝愛情〟があるなら咲にもたらされる痛みはむしろ気持ちいいとすら思う。  期待に体が火照り、はっはっと乱れた呼吸が喉を震わせ、腹の中心を疼かせる。

ともだちにシェアしよう!