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帰宅
「…ただいま…」
「あれぇ?!お兄ちゃん!お泊まりは?」
玄関のドアを開けるとちょうどリビングに向かう所だった由奈に会う
「…あ〜…急に仕事入ったって…迷惑だろうから帰ってきた。」
俺がそう言うとジト目で寄ってくる妹
「ふ〜ん?本当に?由奈お兄ちゃんが考えてること全部わかるんだよ?お仕事とか嘘だぁ!!」
「…はいはい。」
俺と同じストレートのセミロングを揺らしながらぷりぷりしている由奈をスルーして自分の部屋に入る。
結局あの後、黒川さんにコンビニまで送って貰った。
言うまでもないが車内は無言、空気が重苦し過ぎて飛び降りたかった。行きの暖かい花畑の様な雰囲気とは真逆の冬の南極みたいに寒かったし、運転する黒川さんは怒ってはいなかっただろうけどいつものオーラに加え無言だったから五割増で怖かったし圧で死にそうだった。
「失礼なことしちゃったのかな…」
男にとって一世一代?のプロポーズ?を有耶無耶にした挙句、帰ると言って送ってもらった事に脳内反省会が始まる。でも出会って数日だぞ?困るのは当たり前じゃん!俺は悪くない、と思う。そう思いたい。
大体あの人、本当に色々ヤバいんだよ。急にうなじ噛んで番にした後は拉致って赤い糸が見えるとか言いながら結婚しようって…。今まで極力目立たないように生きていたはずなのに寄りによってヤクザ…神様…俺何かしましたかね…?
「…ありえねぇ〜…夢…だったらいいのに…」
ベッドにごろんと転がるとスマホがメッセージの受信を知らせる
普段あまりスマホを触らない人間なので珍しいなと思いながらメッセージ表示すると
『こんにちは。白林 優斗です。勝手に追加しちゃってごめんね。お節介だけど、廉、死にそうな声で電話してきたから心配でさ!少し考えてからまた話してやって。俺にも頼ってね!廉の事じゃなくても何でも相談して。』
と表示されていた。白林さん…いつ追加した?考えられるのは拉致られた時だろうけど。てか白林さんも一応ヤクザだよな?全然そんな感じしないよなぁ。普通に雑誌に載ってるモデルみたいな見た目なのになんで裏社会に…。早野さんもそうだ。小児科の先生みたいなのに。なんだかなぁ〜人は見かけによらずだよな。
「…。はぁ…夢じゃないのか…」
その日、帰ってきた俺に気を使ってか知らないが両親は何も聞かず、数日遅れの由奈の誕生日会をした
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