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《-KING-》
世の中は
退屈で出来ている。
* * * * * * *
養護施設に入所した当時は、まだ
体も小さかった方で、さほど無茶はしなかった。
だがある日、先生に手を引かれてやって来た、俺よりも華奢な男のコ
『鉄雄』
が、やって来てから、俺の人生は一変した。
他の、男友達とも女友達とも違う、初めての感覚。
第一印象は『細ッ』『弱そう』それともう一つ
『綺麗な真っ白い肌』
だった。
子供ながらに、肌に触れたいと思ってしまったのは、俺がマセていただけだったのか。
今になっては確かめようも無いが、初体験を12歳で済ませてしまったくらいには、スケベに育った。
施設の頃、一度だけ鉄雄が虐められた事があった。
たった一つの持参品、当時流行っていたロボのおもちゃを、山形に取られたのだ。
山形は当時から背が高かったので、気も大きかったのだろう、やたらと威張りちらしていた。
俺は面倒な事が嫌いだったから、基本無視していたのだが、鉄雄が殴られて泣いているのを知った瞬間から、何かのスイッチが入ってしまった。
山形は、一度ボコボコにしてやったら大人しくなり、俺に一目置くようになった。
鉄雄とは取り返したロボを返してから、“友達”になった。
そうして16歳になり『職業訓練高』の生徒になった今も、相変わらず俺達は連んでいる。
山形を負かしたアノ日から、喧嘩ではほとんど負けた事が無い。
頭は悪いが、バイクの知識とテクニックにも自信はある。
基。頭の『回転』は早い方で、俺達のチームの連中はいつも俺を頼る。
そうやって気が付けば、チームのリーダーになっていた。
「金田ァ!」
山形はチームのサブリーダーだ。
「どうする!?」
常に俺の後ろに着く。
「ポリがすぐそこまで来てる!」
伝令係の甲斐が、その隣で叫ぶ。
「次の信号で二手に別れる!
春木屋で落ち合うぞ!」
「「了解!!」」
俺の指示を即座に伝えると
:「散 ッ!!」!
信号でバイクを横倒して方向転換し、別れる。
『うわァ!!』
パトカーのスピーカーから筒抜けになる警察の声と、急ブレーキの音とが同時に響く。
「ぁははははは!!」
バイクのエンジン音を超える程の大声で笑いながら、街中を滑走した。
チョロイ。
警察も。大人も。
それでも全部が俺の掌の上、って気分に酔えたのは、初めの数年間だけ。
こうも全て思い通りに事が運ぶと、逆にツマラナクて、タイクツにさえ感じる。
誰か俺に、刺激をくれ。
無心で走っていれば
「金田ァ!トバシすぎ!!」
後ろから甲斐の声が聞こえて来る。
あぁ。またヤッちまった。
マシンを改造しすぎて馬力を桁違いにしてしまったせいだ。
いつも他のメンバーを置き去りにしてしまう。
軽くスピードを緩めて、また1つ溜息を吐いて。
春木屋に向けてハンドルを切った。
* * * * * * *
「遅ぇぞ」
ドアを開けた瞬間飛んでくる山形の声。
「そっちのルートのが近道だろうが」
言い返しながら、仲間が集まっているカウンターへと向かう。
「アレ。持ってるか?」
「当然」
コレが無いと始まらない。
とりあえずマスターには迷惑が掛からない様、ポケットから出す事まではしなかった。
「なんだか外が騒がしいが、もしかしてお前らの仕業か?」
カウンターの向こうから声が掛かる。
「俺達に構うな」
ジロリ。睨んでも
「やっぱりかー
あんまり悪さばっかすんなよ~」
全く意に介さず、奥の客の注文を受けに行く。
「タコが」
悪態を吐いてから、メンバーの方を振り向けば
「小一時間もすりゃ治まンだろ」
カウンターに肘を突いてグラスに注がれたコーラを飲み干す山形。
「一時間もこんなむさ苦しい所に居たかねぇな」
「むさ苦しいとは何だ、むさ苦しいとは!」
「人の話盗み聞いてんじゃねぇタコ!」
こうやって、言いたい事を言ってられるこの場所も、言いたい事を言わせてくれるマスターも好きだ。
だけど、コレじゃない。
俺の求めるのは、こんな“平和”な感じじゃなくて、もっと‥‥‥
「気分が削がれた。
行くぞ」
「あ。おい、待てよ金田ぁ!」
慌てて山形が追い掛けて来れば、他の奴らも釣られて動く。
あ~ぁ。つまらない。
バイク置き場に着けば、意外な奴がそこに居た。
「鉄雄?」
バイクのグリップ部を弄りながら、ブツブツとメーター部分を見つめて居る。
特殊仕様の俺のバイクは、普通のソレとは操作が違う。
「ピーキーすぎてお前には無理だろ」
歩みを進めると
「乗れるさ‥‥」
負け惜しみのような呟きを残して、大人しくバイクから離れて行く。
「鉄雄!」
そこに声を掛けてから、ポケットから出したカプセルを投げ渡した。
「サンキュ」
受け取ったそのまま、口に投げ込み歯で噛み砕く。
16で常習のそのカプセルは『不良少年』にとっての必需品。
続々集まるメンバーにも手渡してから、自分でもキメる。
良いね。この“頭の冴える”感覚。
気分も良くなった所で、再びバイクに跨る。
「おし!
今度は旧市街だ!!」
全員に号令を掛けると、真っ先に飛び出し先頭を走る。
キマッたメンバーも、恐怖心を克服したかのように徐々にスピードを上げて行く。
良いね。
こうでなくちゃ。
夜はこれからだ。
楽しもう。
* * * * * * *
旧市街のゲートを潜りさえすれば、そこは立入り禁止区域。
人も車も、誰も通らない、無法地帯だ。
ドウン!
エンジンを噴かして、頭一つ飛び出したのは、意外にも鉄雄だった。
「フロントは貰ったぜ!」
妙にハシャイでブッ飛ばして行く。
「はは。」
思わず笑いが込み上げる。
良いねぇ。
俺に張り合う奴なんて最近じゃ珍しい。
こんなに気持ちが高揚するのも久し振りだ。
さすが鉄雄。俺が見込んだだけの事はある。
ウズウズする気持ちを
「ヒャッホ――――ゥ!!」
雄叫びに変えて、エンジン全開フルスロットル。
鉄雄のケツを追い掛ける。
と、その直後
キキイィィィィ!!!
タイヤのスリップ音と共に
「ぅわぁぁぁぁ!!」
鉄雄の叫び声。
そして
ガシャァァン!!
鉄とアスファルトの衝突音。
一瞬の出来事で、何も出来なかった。
「鉄雄ぉぉぉ!!」
慌ててバイクを飛び降りると、人影に駆け寄る。
「鉄雄!大丈夫か!」
抱き起こして、念のためメットを外す。
「うぅ‥‥」
痛そうにしてはいるが、出血は無さそうでホッとする。
バイクに視線を移して確認すると、少し流されてガードレールにぶつかって止まってはいたが、だいぶ破損が激しそうだ。
エンジンオイルが漏れていないのが不思議なくらいで、もし漏れていたらとゾッとする。
「ありゃァ、廃車かもなァ‥‥」
呟くと
「鉄雄ぉ!金田ァ!
大丈夫かァ!?」
山形が追い付いて、バイクを置いて駆け寄って来る。
「あぁ。多分な」
抱き抱えた鉄雄に視線を移すと、こちらを見上げる視線とぶつかる。
「かね だ?」
意識もありそうだ。
「無茶しやがって」
それでも頭を打っているかもしれない。
どこかで診て貰えると助かるんだが。
「大丈夫か!?」
続々集まるメンバーの中から、甲斐が駆け寄って来る。
「頭打ってないか?
俺の知り合いの医者に、診て貰えないか聞いてみようか?」
言いながらポケットからスマホを取り出す。
「あのスマホも、その医者に持たされたんだってよ」
山形が耳打ちする。
「へえ」
彼氏か
ただの売春か
どちらにせよ、甲斐が連絡を取っている間にバイクジャケットを脱いで、鉄雄を背負うと、その上からジャケットをロープ代わりに縛って身体を固定する。
「俺が病院に運ぶから
今日はもう解散だな。
皆は先に帰っててくれ」
そう伝達している内に、医者との連絡が付いたらしく、甲斐に誘導して貰いながら、
ソイツの病院へと向かった。
* * * * * * *
「うん。大丈夫そうだね」
念のため全身診て貰うと、転んだ時に打ち付けた左肩の、軽い骨折程度で済んだようだ。
処置して貰った左肩に、包帯が巻かれて行く。
「でも、しばらくバイクは禁止だよ」
「マジか‥‥」
溜息混じりに呟く鉄雄が、恨めしそうに包帯を眺める。
「ま。命があっただけ良かったと思え?」
甲斐が医者の隣でそう声を掛けるが、聞こえているのかいないのか。
「あ。治療費は良いから」
そう言って立ち上がると、甲斐の肩に手を回す医者。
「その代わり、今夜は甲斐君を俺に貸してね」
言いながら甲斐の方を見つめる眼に
「後片付け、手伝って貰わないと」
微笑む口唇に、
「う、ん」
甲斐の身体が変化して行く。
『手伝う』なんて言い訳がましい言い方しなくても。
初見の俺が見ても分かるほどに分かり易く
上気した頬と、潤む瞳と、しな垂れて行く身体。
二人は肉体関係だと、きっと誰でも確信出来るだろうに。
「‥‥じゃ。
帰るぞ鉄雄ぉ」
先に帰らせたメンバーは、すでに寮に着いてる頃だろう。
「ぉうん」
左肩は、きっとまだ痛みがあるだろうから、来た時と同じ様にジャケットで身体を固定して、バイクを走らせる。
「‥‥手間
掛けさせたな」
来た時と違って、今度は意識がハッキリしているせいか、帰りは自然と会話が増える。
「まぁ。
俺も、楽しめたしな」
そういえば、鉄雄とこんなに近くで話すのは、何年ぶりなんだろう?
「にしても、バイク
惜しい事したなぁ」
「どうせ古かっただろ
また新しいのパクれば良んだよ」
「それもそうか」
他愛もない会話に、うっかり笑みが溢れる。
違う違う。
俺が求めてんのは、癒しなんかじゃなくて‥‥
なんかじゃなくて‥‥?
何だと言うのだろう
ふと考え事をしていたせいで、また無意識にフルスロットル。
「なるほど
そう操作すんのか」
ピッタリ張り付いた背中から、鉄雄が首を伸ばして覗き込む。
よほど俺のバイクが好きなのか
それとも、この俺を
“超えたい”のか
鉄雄の野望を想像して、妙に身悶えた。
そうか。
俺は、俺の後ろを着いて来る様な奴じゃなくて、
俺を超えて前に出ようとする
“好敵手”が
欲しかったのかもしれない。
だから俺は、鉄雄を“特別”に思うのかと
妙な納得をしてしまった。
だとして、鉄雄が本当にそんな大それた“野望”を持っているのか?
それをどうやって、確かめれば良いのか
しばらく考えを巡らせていると、甲斐の姿が思い浮かんだ。
「鉄雄ぉ」
「ん?」
「片手じゃ何かと不便だろ?
今日は、俺の部屋に泊まれよ」
「あ~ ぅん。
じゃぁ、甘えるわ~」
こうして今日は、俺にとって都合の良い日に変わって行った。
時間は深夜2時。
ひとまず部屋でバイクジャケットを脱いで薄着になると、鉄雄のジャケットも脱がせる。
いつも通り汗を流そうとシャワー室に向かうが、時間差で来たせいか、今日はメンバーすら誰も居ない。好都合だ。
まず自分が全裸になってから、鉄雄の脱衣を手伝う。
「痛て」
まぁ、骨折だもん、痛ぇよなーと思いながらも、次々と脱がせて行く。
「鉄雄、相変わず細ぇのな~」
そして相変わらず、色白で
『綺麗』 だと
思った。
驚き。
自分で思った以上に『俺、鉄雄なら抱けるわ』なんて感想を抱きつつ、一応気を使って個室シャワーに二人で入る。
と言っても、壁で区切られていて、腰の位置に開閉扉が気持ち程度にあるだけだ。
個室なんて名ばかりの、シャワーを浴びるだけの空間。
それでも二人で入ると、それなりに閉塞感を感じる。
「狭くね?」
そう訴える鉄雄に
「でも、片手じゃ泡立てる事も出来ないだろ?」
言い返してやれば
「ま ぁ」
渋々納得して、観念した様に背中を向ける。
手にしたスポンジを泡立てると、向けられた背中に当てがった。
スポンジを上下させながら、洗うふりして身体を眺める。
「鉄雄お前、マジで飯食ってる?」
脇の下、肋 が浮き出ている。
「食っても太らない体質なんだよ」
ちょっとキレ気味で言うのは、コンプレックスだからなのか
「あぁ、でも確かに
ケツは良い形してるわ」
ちゃんと筋肉質で、上向きに張っている。
俺の好きな形だ。
思わず素手で撫でたら
「おい!」
避けるように振り向く。
「オイオイ。全裸で向き合ったら
ホモカップルみたいじゃねぇか」
言いながら、わざと泡をたっぷり付けた手で、股間を撫で上げる。
「ちょッ!」
「逃さねぇって」
開閉扉側に回り込んで退路を塞いでから、壁に左肘を突く。
「な に
考えてんだよ‥‥ッ」
おぉおぉ。好い顔で睨むねぇ。
「鉄雄の事」
言いながら口付けて、握り込んだ股間を上下に扱く。
「んッ!」
勃起の早さに、溜まっていた事を察知して
「鉄雄ぉ
あいしてるよ~」
口唇を付けたまま愛の言葉を囁いて
「フ ザッケ」
怒りに開いた口唇を割って、舌を差し込んで吸い上げる。
「ん。んン‥ッ」
突いていた左肘を放して、その手で鉄雄の後頭部を支えるように、固定する。
逃げたくても逃げられない状態にしてから、鉄雄の舌を捏 ねる様に絡める。
その間もずっと股間を扱き続けているせいか、力が入らない鉄雄が悔しそうに眼を瞑る。
あんまり力いっぱい瞑るもんだから、涙まで滲んでいるようだ。
可哀想で、可愛い鉄雄。
このまま抱いたら、俺に服従してしまうんだろうか‥‥
それを確かめたくて、更に虐 める。
支えていた手を離すと、そのまま背中を撫で摩り、尻を掴む。
見た目通り弾力があって触り心地が良い。
「は。ぁン」
唾液の混じる水音と、股間を扱く水音と、
そこに更に加わるのは、奥の窪みへの
侵入音。
「んああぁッ」
ビクン!と反応して放出された迸りは、勢いの良さに俺の胸元まで汚して行く。
「鉄雄くん、元気イィ~~」
ふざけて言った言葉も待たずに、ガクガクと膝から崩れ落ちて行く。
転ばないようにと、背中にしがみついて来たせいで密着度は高まったまま、俺ごと床にへたり込んでしまう。
「痛ってッ」
無理して動かした左腕が、痛んだようだ。
「ほら
無理しないの」
床に、抱き合いながら向かい合って座る姿は、まるで正常位。
「俺に、任せな?」
開かれた足の間に再び泡だらけの指を這わせて、窪みを見つけて指を差し込む。
「ぁッ。いや‥‥ッ」
言葉とはうらはらの、甘い吐息が零れ出す。
「嘘つけ」
笑みが、溢れる。
「鉄雄くん
スキモノね~」
「ち が」
また涙が滲む。
そんな姿までもが色っぽく、俺を煽る。
「だって コ レ
気持ちイんだろ?」
コレ。と言いながら、指を激しく出し入れしてやる。
「あ あ あ ッ ン ちが ぅ」
言葉がマトモに繋がってない。
否、繋がらなくしてるのは、俺か。
思った途端、また胸のウズウズが襲って来る。
こんなに気分が良いのは、本当に久し振りだ。
「鉄雄
すげー色っぽい」
上気した肌が色付いて、白かった肌を桃色に染め上げる。
俺の言葉に反応して、一瞬視線を上げた鉄雄の潤んだ瞳も、色気を更に引き立てた。
「たまんね‥‥」
思わず指を更に増やし、焦る様にソコを解す。
「ふぁ ん いッ たぁ ン」
優しく、抱いてやるつもりだった
オンナノコにスるみたいに
きっとコッチは初めてだろうから
時間を掛けて、ゆっくりと
「鉄雄
ごめん」
堕ちたのは
俺の方だった
「我慢
出来な ぃ」
抜き去った指の感触を消さない様に、その場所を俺の限界まで勃起したソレで埋める。
「ッッんああぁッッ」
苦痛に歪む鉄雄の顔を、それでも俺は目に焼き付けたくて、激しく腰を上下させながらも、酔いしれるように眺め続けた。
「ん あン ぁ は」
一応身体を洗ってシャワーを浴びて
「はぁ あ あぁ‥‥イイ‥‥」
新しい服に着替えて、部屋に戻って
「はぁ ン イッ くぅ」
もう、何度目かのセックス。
「俺 も」
折角流した汗も、今では全くの無駄で、全身ビショビショ。 ビチョビチョ。 グチョグチョ。
「はぁ。はぁ。はぁ。」
息も絶え絶えになりながらも、シ続けてしまったのは、鉄雄のが、馴染んでしまったから。
解 れ切ってしまったら、痛みから快感に変わるまでにそう時間は掛からず、
そうなったらもう
快楽に 溺れちゃうよねぇ~~
『えへ』なんて、顔が緩む。
「も
休憩 しよ」
ベッドで大の字になりながら、息を切らせて鉄雄が提案する。
「さんせーぃ」
その上にうつ伏せに覆い被さりながら答える俺に
「水」
一言で用件を伝える。
「へ?」
「喉渇いた」
コイツ。
俺に指図すんのか!?
普段ならそうやって、ココでキレて喧嘩になる所だろう。
なのに、だ。
鉄雄には全くそういう気が起きない。
「俺だってクタクタだってぇ」
それでもちょっとゴネてみて
「誰のせいで」
鉄雄のイヤミを聞いてから
「はい。只今」
チュッ。なんて口付けて
なんとか身体を起こして、全裸で冷蔵庫を開ける。
ヒンヤリ来る冷気が心地良い。
その中から水のペットボトルを2本取り出してベッドへ戻ると、鉄雄が上体を起こして待っていた。
何度も抱いた身体なのに、眼に映る度に勃起する。
「金田‥‥
絶倫かッ」
照れながらそう言って、ペットボトルを受け取ると、素早くキャップを開けてゴクゴクと飲んで行く。
上下する喉仏もエロくて眺めていると、口から溢れた水が顎を伝う。
反射的にソレを舌で掬 い辿って
「ちょッ」
照れた鉄雄に口付ける。
冷やした水を飲んだばかりの鉄雄の口腔内は、ひんやりと冷たくて気持ちイイ。
「ん ゥン‥‥」
舌を絡めて吸い付けば、また簡単にスイッチが入る。
知らなかった。
この世に、まだまだ
こんなに気持ち良い事があるなんて。
こんなに面白い事があるなんて。
そして朝になればきっと、いつも通りの鉄雄が居るのだろう。
俺に対して喧嘩腰の、俺の思い通りには動いてくれない、クソ生意気なガキが。
それで良い。
それが良い。
俺をヒリヒリさせるのは、いつも
お前だけが良いと
深い口付けと共に、本日何度目かのベッドへと沈んで行った。
~おわり~
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