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第十章・8

 外山は好色そうな目つきで、露希を眺めている。 「アッチの方は、どうだ。テクは仕込んだのか?」 「出来る限りのことは」 「Ωフェロモンは?」 「今は薬で抑えていますが、健在です」  うんうん、と外山は嬉しそうだ。 「今ここで、私が検品したいところだが。残念ながら時間が無い、いくぞ」 「はい」  すっ、と誠は立ち上がった。  露希はもう、この場から逃げ出したかった。 (でも僕が逃げたら、誠さんがきっと罰を受ける)  誠のため、の一心で、露希はふらりと立った。  

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