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♥09.あてられたのは(6)

「いっ……! っあ、嘘……っ」  ジークの歯の根が寒いように震える。上擦った悲鳴が|室内《へや》に響く。  ギルベルトは息を詰め、更に奥へと進もうとする。一切慣らしていないのに、発情のせいか入口は意外に柔らかい。それでも|滑《ぬめ》りの割に中は狭く、それ以上の侵入は容易ではなさそうだった。  ……が、かえってそれが|悦《い》いとギルベルトは不遜な笑みを浮かべる。 「待、……ぃあっ――や、嫌だ……!」  ジークがギルベルトの腕を掴む。爪を立てられ、傷が出来る。それでもギルベルトは一向に力を緩めない。緩めないどころか、 (こういうのを、強引に引き裂くのも嫌いじゃねぇんだよな――)  ギルベルトは半ば恍惚と目を細め、口端を更に引き上げた。  けれども、次の瞬間、 「――っ!」  バァン! と大きな音がして、半端に開いたままだった窓が枠から外れ、部屋の中へと弾け飛んできた。 「は――はぁ?!」  さすがに動きを止めてそちらに目を遣ると、破損した窓はギルベルトが忍び込んできた箇所で、 「本当に……ここまでばかだとは思いませんでした」  次いでその枠を潜って現れたのは、まぶしいほどに真っ白なローブを身に纏った、白金髪の――。 「……ラ、ファエル……」  ギルベルトが呟いた男に違いなかった。  ラファエルは、さらさらと流れる癖のない長髪を掻き上げながら、あからさまに呆れた表情でため息をついた。 「まったく、僕にこんなところから入らせるなんて……」 「おっ……お前が勝手に入ってきたんだろ?!」  ギルベルトは先端を半端に埋めたまま、信じられないとばかりに声を荒げる。伝わってくる振動に、ジークの喉がひくりと鳴った。 「悠長に玄関回っていたら、あなたそのお粗末なものを完全に突っ込んでいたでしょう」 「そっ……だ、誰のなにがお粗末だ!」 「っい、あ……!」  言うなり、ギルベルトは見せつけるように強引に腰を落とそうとした。その動きに、ジークの口から悲鳴じみた声が上がる。

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