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「え~?……陰キャ君これしか持ってないのぉ?」 椎名はデカい不良男達と一緒に座り込んで、金を差し出しているクラスメイトをニヤニヤと口に棒付きキャンディを入れながら器用に煽る。 「おい、その辺にしとけよ~。この時間帯体育のロリコン岡島が通りかかりやすいんだから。お前このことバレたらあいつに襲われるかもだぜ?」 悪い子にはお仕置きだってな、と冗談で言うと椎名は強く眉間に皺を寄せて「うっぜ」と悪態をついてくる。 「あーなんか腹立った。そだ、今からコイツをサンドバッグにしてボクサーごっこしね?」 ケラケラと笑う彼に同調するいつメンの不良共。これがいつもの光景。 椎名は桜色の唇からキャンディを(無自覚なのだろうが)艶かしく、ちゅぽ…と離し男の顔に投げつけ、一蹴りをお見舞いした。 「あはっ。恨むなら俺じゃなくて、俺を怒らせたニシにしときなよ。」 「おいおい、俺を巻き込むなって…。」 俺は苦笑いで自然にリンチに応戦した。 ……五限の予鈴が鳴る。

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