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第1話

「湊斗(みなと)君、いらっしゃい」 優しげな声が、椅子に座って待っていた湊斗に降ってくる。 「優一さん、どうも」 その声に促されて顔を上げると、いつも通り優しげな笑顔をたたえながら、優一が立っていた。高校生の頃から行きつけの美容院で、湊斗の担当を務めてくれているのがこの優一という男だ。 ゆるいパーマがかかった栗色の髪に優しげな微笑みで、女性客にも人気がある美容師として、たまに雑誌にも紹介されている。 彼に髪を切ってもらうと自分に自信がつく。高校生になって初めて入った美容院で、緊張していた湊斗の髪を切ってくれたのが優一だった。 そのころからずっと、湊斗の美容師は優一だけだ。 おしゃれや大学生活を楽しめているのも彼のおかげだと、湊斗は密かに思っていた。 「今日はこっちへどうぞ」 「え?こっちって……」 「VIPルームなんだけど……湊斗くんいつも来てくれるから、サービス」 「まじ?やった」 店の奥にあるその部屋は、扉が閉まっていて中を見たことがない。 高いメニューの施術に使うような部屋らしく、ほかの客と顔を合わせることのない、プライベート空間のような場所だった。 素朴な雰囲気の美容院なので、VIPルームといってもその雰囲気は変わらない。 ただ、いつもと違い閉め切られた空間で、誰とも顔を合わせないというのは悪くないと湊斗は思った。人気のある優一は、すぐに誰かに声をかけられたりしているからだ。 いつも通りスタイルは優一のおまかせをオーダーして、施術が始まった。 二人でたわいもない話をしながら、髪の毛が整えられていく。 施術が終わると、普段は出てこないいい香りのお茶が提供された。どうやら、こういうメニューもVIP特有のものらしい。 「すげー、いい匂い」 「気に入ってくれたなら良かったよ、じゃあ、マッサージもするね」 「マッサージ?」 「うん、VIP様だからね」 「はは、すげー」 冗談っぽい口調で笑って見せた優一に、湊斗もつられて笑う。普段も軽いマッサージはあるが、どうやらそれとは違うらしい。 出されたお茶を一口、二口とすすっている間に、優一の手が湊斗の肩に触れてくる。 温かくて長い指がゆっくりと湊斗の筋肉をほぐしていく感触に、湊斗はほう、とため息をついた。 至れり尽くせりとはこのことだ、と思うほどのサービスに、ただでさえ優一に会えば気分が良くなるのに、いつもに増して気分が上がる。 気分に連動するかのように体温が上がっていくのを感じた。 もしかしたら、お茶の成分かもしれない―― お腹の深くがじんわりと熱を帯び、それが身体全体にじわじわと広がっていくような感覚。気持ちがいいが、なんだかむず痒いような―― 「え、っ」 肩周りをマッサージしていた優一の手が、湊斗の身体の前側へと回ってくる。 二の腕をくっと握るようなマッサージで、半袖のシャツを着ている湊斗の肌に、直接優一の掌が当たる。 それがだんだんと肩の方まで上がり、優一の指が、そっと湊斗の胸元をひっかいた。 「んっ!」 その途端、身体が小さく跳ねる。 湊斗自身、自分の身体が理解できなかった。 たまたま大きく反応してしまっただけで、よくあることだ――美容院でそうなってしまったのは恥ずかしいが、優一も気にしていないようだし大丈夫――そう思おうとした湊斗だったが、次の瞬間、そうではないとわかる。 「ひっ、あっぁっ」 優一の手がカリカリと胸をひっかくように動くと、湊斗の身体は再び震えた。同時に、小さく漏れた声が部屋に響く。 「ん?どうかした?」 「あっ、え、いや、大丈夫です――っ!」 湊斗の反応を心配したのか、優一が湊斗の顔をのぞき込む。優一に心配をかけたくなくて――それから、自分の状況を知られたくなくて、湊斗は首を振った。 それなら、と優一がまた、背後に戻る。 (おかしい、おかしいなんだこれ) どくん、どくん、と心臓の動きが強く感じられた。 じんわりと汗がにじみ、身体中が熱い。マッサージしてもらっているだけなのに、こんな反応おかしい――そう思うのに、再び始まった優一の手の動きに、またしても湊斗の身体は反応した。 胸筋をほぐすように手のひらがゆっくりと胸を揉み、刺激する。薄いシャツの上から胸をこすられて、乳首がそれに敏感に反応した。 押しつぶされて刺激されるたびに、甘い電流がぴりぴりと走り、ぷく、と先端が硬くとがり始める。勃起した乳首はシャツを押し上げ、それに優一の指が引っかかり、そっとはじかれる。きゅ、と指先でつまみ上げられて、膨らんだ胸の頂をなでられると、身体の奥深くが震えるような快感に湊斗は鼻を鳴らした。 自分の反応を優一に気付かれまいと身体に力をいれるが、無意識に腰が浮きそうになる。 身体中の神経がどんどんと研ぎ澄まされていくようで、乳首から与えられた快感がじわじわと下腹部にたまり、熱を帯びる。 「んはっ、ぁ、あっ」 押さえたくても、甘ったるくとろけた声が口からあふれる。 快感をなんとか逃そうと、ぎゅう、と手すりを握りしめるが、湊斗の意に反して与えられる刺激に身体はどんどん大きく反応した。 「っふぅっ!んん、はっあっ」 胸筋を揉みしだかれ、手のひらで乳首をこすられる。 痛いくらいに尖りきった乳首はシャツの上からでもすぐわかるほどに存在を主張し、それをはじかれると、たまらない快感に身体がびくびくと震えた。 いつの間にかじんじんと熱を帯びた下腹部が、こちらも触ってくれと疼いてたまらない。 身体中にたまった熱がぐるぐると行き場を探し、性器に集まってくるようだった。 「はい、おしまい、お疲れ様」 「え……?」 優一の手が、突然ぱっと離れていく。顔を上げると、鏡越しに自分に微笑む優一の姿が見えた。それに、顔を真っ赤にした自分の姿。 下腹部は盛り上がり、ズボン越しに反応した性器が存在を主張している。 「どうだった?なんだか調子悪そうだったから、マッサージは今日はこの辺でやめておくね」 「あ、え……」 「何か他に要望とかある?もっとこうしてほしい、とかあったら直せるし――」 「優一、さん……っ」 いつも通りの接客をこなす優一の手を、湊斗はたまらず掴んだ。 身体が熱くて仕方がない。熱がぐるぐると下腹部で暴れ回り、もうどうしていいかわからない。 いつも優しく微笑んでいる優一の顔が、困ったように湊斗を見る。 困らせている、でも、もう―――― 「もっと、マッサージ、してくださいっ……!」 引き寄せた手を、自分の下腹部へと押し当てる。びくん、びくんと震える性器に優一の手のひらがあたり、「ああ」と甘い吐息がこぼれた。 困ったように湊斗を見る優一の表情が、くっと歪み――雄の表情をして唇に弧を描かせた優一の姿に、湊斗はたまらず腰を揺らした。 ―――――――― 「はぅんんっ!は、あぁ……っ」 まるでM字開脚のように椅子の上で足を開いた湊斗の、ビンビンに猛ったペニスを優一の手が上下にしごきあげる。先端からこぼれた先走りがしごく度に淫らな水音を響かせ、滑りをよくしていた。 大きな手のひらに竿を上下にこすられると、気持ちが良くてたまらない。 無意識に湊斗の腰が上下に動き、鏡に映った自分の姿が淫らに揺れた。 あふれ出した透明な涎が竿を伝い、尻をなぞって椅子を汚している。 「湊斗くん、ずっとこんな風だったの?」 「うっんぁ!あっ、はっ」 「ねえ、教えて?マッサージされて、こんな風にしちゃってたの?」 「だっ、て……っああんっ」 耳元で吐息混じりの優一の声が、低くつぶやく。そっと耳に息を吹きかけられて、肌がぞくぞくと粟立った。ねっとりとした優一の舌が唾液を絡めて耳に侵入してくる。 くちゅ、と湿った水音が鼓膜を揺らし、脳が官能に溶けていく。 「はん、あ、だって、身体、あっつく、てぇっ……!」 「なんで身体熱くなっちゃったの?マッサージされてただけでしょ?」 「だっ、てえっ……ゆういちさん、がっ」 「うん、僕がどうしたの?」 耳元をぬらす唾液の音と、性器がしごかれる淫らな水音で部屋が埋め尽くされる。 性器の先端を細い指先でぐりぐりとほじくられて、たまらず湊斗は背を反り返した。 高い嬌声を上げながら、身体を椅子の上でくねらせる。 まるで涙のように身体の奥からあふれた先走りが竿を伝い、優一の指を濡らした。 「ねえ、教えて?」 「はっは、あ、ゆ、いちさん、があっ」 腰を揺らし、もっともっとと快感をねだる。 快感から、湊斗の白い太ももの筋肉が隆起し、その間に立ち上がる赤黒い性器がひどくいやらしい。 飲み込めなかった唾液が赤い唇を濡らし、口の端からこぼれて顎を伝っている。 気持ちがよくてたまらない。何も考えられなくなって、湊斗は自分の胸へと手を伸ばした。 勃起した乳首を自身でひっかき、シャツの上からつまみ上げる。 「ゆっ、ちさんがっああんっ!ここ、さわっ、てえっ……!」 コリコリとつまんだ乳首を刺激すると、激しい快感が体中を溶かしていく。 はじき、つまみ、押しつぶす度に、尖った乳首は耐えがたいほどの甘い痺れを湊斗に与えた。 快感が身体の中で膨れ上がり、頭がぼーっとする。だらしなく開いた唇からは甘い喘ぎ声ばかりがこぼれ落ち、VIPルームに性の匂いをまき散らせている。 「ここっ、きもちくてぇっ、はんんっあ、あっ……」 快感に夢中になって腰を振り、自ら乳首をしごく湊斗の姿は、ひどく淫らだった。 美容室の鏡に映る自分の姿を見ることもなく、湊斗は一心に快感をむさぼっている。 腰が揺れる度に椅子がきしんだ。とろとろに溢れた愛液は椅子に小さな水たまりを作っている。 「こんなっ、いつもこんなじゃあっ、ないっのにっんはあぁっきもちいっよおっ……!」 湊斗の腰はいつの間にか、セックス中のように高速に動き、かくかくと上下する。 愛液でぬるぬるの優一の手のひらにペニスを強く包まれて、まるで本当にセックスしているかのようだ。目をつぶって喘ぐ湊斗を笑いながら見ていた優一の手が、ふっと性器から離れていく。 突然刺激が消えたことに目を開いた湊斗が優一の方を伺うと、その瞳は劣情でぎらぎらと輝いていた。まるで腹を空かせた獣のような優一の顔に、湊斗は腰の奥がうずくのを感じた。 (あ、これ、やば……) 少しだけ戻った思考がそう声を上げたが、それも一瞬で消え去った。 優一の手が湊斗を椅子から引き上げ、鏡にもたれるように立たされる。 ビンビンに勃起したペニスが早く刺激がほしいとびくびく震え、床に先走りをしたたらせた。 「胸で気持ちよくなれるなんて、女の子みたいだね」 後ろから、優一の手が湊斗の乳首をつまむ。 「あっ」と上がった声は優一が言うようにまるで女のように高くとろけていて、腰の奥がきゅんと収縮した。 「女の子の湊斗くんは、こっちでも気持ちよくなろうか」 「え、あ、うそ……」 優一のもう一方の手が、湊斗の尻の谷間をそっとなぞる。 愛液でぬれた優一の指が後孔をカリカリと刺激すると、そこはきゅんっと収縮した。 乳首をつねられて身体にあまり力が入っていない。 そんな状態でく、と指を後孔に押しつけられると、孔はうまく抵抗することもできず、ゆっくりと指を飲み込んでいった。 「あっ、あっあ……」 優一の細長い指が、湊斗のナカへと侵入してくる。 優一の指を汚していた先走りが潤滑油の役割をはたし、抵抗することなく内壁は異物を飲み込み、締め付けた。 「入っちゃったね」 「そっ、な……あっ!あ!」 呆然とする湊斗の耳を、再び優一がしゃぶる。 水音を立てて耳内をかき回されると、全身の力が抜け、性感が一気に体温を押し上げる。 そのすきにもう一本後孔に指を差し込まれ、くっとナカで折り曲げられて、初めての刺激に湊斗は「ひいっ」と鼻を鳴らした。 くちゅ、くちゅ、と音を立てて身体のナカをかき回され、怖いのに、なぜだかたまらなく気持ちがいい。 「うそっうそおっ!あ、そ、うそだっああっ」 まるで子供のように泣きそうになりながら声を上げる湊斗の身体は、しかし快感に震えて悶えた。 ナカをかき回され、引っかかれると、たまらない愉悦が身体中を駆け巡る。 いいところを押されて肉壁が収縮し、それでまたナカの指を締め付け、存在感に身体が震える。 二本の指をくいっとナカで折り曲げ押し上げられて、たまらず湊斗は首を振った。狂おしいほどの快感が腹の奥を熱くさせ、性器からはとめどなく愛液が垂れ落ちる。 いつの間にか湊斗はもっと奥に指が入るように腰を振り、気持ちいい場所へと誘う動きを見せた。 「ふぅっんっ、変にっなるうっ、んっ変っ、へんんっ」 「何が変なの?」 「あっきもちっ、それっそれきもちいっ!」 優一の指が根元まで埋まり、奥を小刻みに刺激する。 手のひら全体を揺らすように動かされると、それがたまらない愉悦となって湊斗を襲った。 にちゅっにちゅっと音がする度に、脳みそがとろけて狂ってしまいそうだ。 「はああっ、らっめえ、ゆういちさっ、あっあうう……っ」 もっともっとと言わんばかりに湊斗の腰がいやらしくくねり、指をきゅうきゅうとしゃぶりあげる。 熱くうねる内壁が男の精を搾り取ろうと収縮した。 「湊斗くんがこんなにエッチなんて……知らなかったよ」 「はんっんっ……こんなっ、初めてっ……!」 「そうなんだ?じゃあ、これも……初めてかな」 ぴと、と尻の谷間に何かが当てられる。 それは、熱くて硬かった。きゅ、と力をいれて尻で挟んでみると、びく、と小さく震える。 力強く猛った優一のペニスが、湊斗の尻に押し当てられていた。点を仰ぐ優一の肉棒が、優一の尻肉を上下にこする。 先端が涎でぬれ、くちゅ、と肌を滑ると水音がした。 「あっ、これ……っ」 「今からこれで、湊斗くんを気持ちよくしてあげる」 「はっ、はっ……」 ペニスの先端が、湊斗の後孔へとあてがわれる。 きゅん、と収縮した後孔はまるで男のソレを求めているようで、赤くぽってりと膨らんだ後孔の縁がペニスに吸い付いた。 湊斗が浅く息をする度に、期待で後孔がきゅんきゅんと震える。 「は、は……あ……」 腰骨を優一の手に強く捕まれて、ぐ、と硬いものが押しつけられる。 熱い――そう思った瞬間、男の肉棒が湊斗の肉を掻き開き、ナカへと侵入してきた。 「あああっ……!」 男根が後孔をぎちぎちに広げ、肉路を押し上げながら、身体の深くまで入り込んでくる。 止まることなくゆっくりと進み、湊斗は浅い息を繰り返しながら、体内に入ってくるものの存在に集中した。 太くて猛々しいペニスが、湊斗の敏感な部分をこすりながら誰も触れたことのない場所まで入り込んでくる。 目の前がチカチカして、うまく息ができない。 浅く呼吸を繰り返す湊斗の身体に異物がどんどんと飲み込まれ――根元まで入り込んだ時、ペニスの先端が湊斗の快感のスイッチをとんっと押し上げた。 その瞬間、今までに感じたことのない激しい快感が湊斗を包み込む。 「アッ!」 まるで自分の声じゃないような、甘くとろけた短い嬌声を上げ、湊斗の身体ははげしく震えた。 ぶるぶると全身が震え、鏡についた手で必死に身体を支えようと力が入る。 身体の中のペニスを強く締め付けながら、湊斗の性器からは、白濁が飛び出していた。 「あっ!あっあっ!あーーーっ!」 自分の身体に何が起きているかわからず、湊斗はただただ嬌声をあげ、身体をくねらせる。 白い尻がきゅうう、と縮まり、膝をぶるぶると震わせながら、湊斗は悦楽に全身を痙攣させた。 身体の中で快感の波が走り回り、それが性器から吐出される。 目の前が真っ白になり、身体から力が抜け落ち――倒れないように、優一の身体が後ろから湊斗を抱きかかえた。 背中に優一の胴体がかぶさり、前傾姿勢になりながらも、再び鏡に手をつけるように動かされる。 胸元を優一の腕に抱きつかれるようにして支えられ、その安定感にほっとした瞬間だった。 「はあんっ!やっあぁつあっぁつ!あ――――っ!」 優一の腰が激しく前後に動き出し、身体の中をえぐられる。 達したばかりの内壁はびくびくと震え、与えられる刺激がたまらない。 腰が打ち付けられる度に肉を打つ音が部屋に響きわたり、湊斗が交尾中の猫のような嬌声を上げる。 「まっ!て!ああっ……!まって、まってえっ!」 湊斗の声は涙に濡れ、まるで悲鳴のように部屋に響く。 しかし、それに反して身体は与えられる刺激に悦び、ナカを穿つペニスにしゃぶりつき、涎をこぼしていた。 一番深い箇所を優一の肉棒が容赦なく責め立て、角度を変えて何度も繰り返し穿つ。 突かれる度に神経が焦げ落ちてしまいそうな激しい快感にわけがわからなくなって、湊斗も夢中で腰をくねらせた。 ぐりぐりと奥をこね回され、快感のスイッチが押されっぱなしになる。 おかしくなりそうな程の快感がせり上がってきて、腹の奥でぐるぐると渦を巻く。 「ああっ、め、だめっ……!おかしっ、あっあ、ア!」 快感にのたうち回り、逃げようとする腰を優一の手が強くつかみ、さらに深くまで挿入しようと、力まかせに激しくピストンされる。目の前が真っ白になり、突かれる度に星がチカチカと光る。 「あ!あっ!あ――――――っ!!!!」 指先までビリビリと快感が走り、ぐりっとナカを強く穿たれ――――白濁をぽた、ぽた、としたたらせながら、湊斗は二度目の絶頂に押し上げられた。 たまらない悦楽に表情を恍惚とさせ、背中を反り返らせる。 鏡に映る湊斗の顔はひどく淫らで、甘くとろけていた。 内壁が痙攣し、ペニスを搾り取ろうとうねりながら収縮する。 その動きに刺激されて、優一も背中を丸め、湊斗の身体の奥深くで白濁をほとばしらせた。 ―――――――― 「ありがとうございました――――」 扉を開けると、カランカラン、と扉に取り付けられたベルが鳴る。 外に出た湊斗の後ろから、優一もついてきた。 いつも通りの見送りだ、誰も不思議には思わないだろう。美容師とよく来る若い客、二人をよく知る他の従業員から見れば、それ以外の何物でもないであろう二人。 「じゃあ湊斗君、――――連絡、待ってるね」 優一が湊斗に向かって、いつもの朗らかな微笑みを見せた。 湊斗の手には、小さな白い紙が握られている。それは、優一の仕事用の名刺だが――――裏面には、プライベートの連絡先が手書きで記されている。 湊斗は何も答えない代わりに、こくりと一度、頷いた。 頬はまだうっすらと赤みが残っていて、目が潤んでいる。 「じゃあ、また」 「はい、――――また」 そう答えた湊斗は、小さく笑って見せた。 ぽってりとした唇が弧を描く。きゅ、と名刺を握りしめる手が優一にメッセージを送ったのは、それからすぐのことだった。

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