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次に意識が浮上した時 瞳を開けると鮮やかな色が私を支配した 「…これは」 ずきずきと頭の痛みを感じながらあたりを見渡すと どうやら大きめの棺にいるようで 真横にある一人の綺麗な男が眠っていた コーネリアスだ 幼い頃の面影がどことなく残っている この人物は間違いなくコーネリアスだ 感覚が鈍い グーパーグーパーを繰り返すが私の体じゃないかのように動きが鈍い そんな手でコーネリアスの頬に触れてみた そっと撫でると眉根を潜ませそしてゆっくり瞼が開いた 私をぼんやりと見つめ意識がはっきりしたのか目を見開いた 「…ブルーノ…さま…」 「コーネリアス」 瞳は青で髪の色は黒 全く変わってないね。 「私は、死んだのかい?」 目が見えるんだ。この私が そんなことはまずあり得ない これはなにかの幻なのだろうか。 「…人間としての貴方は死にました」 その言葉を理解してしまった この世界には不思議な迷信みたいなものがあってね 人間や動物以外の存在がいる、ということだ それが確かか定かではないが存在するらしいんだ 私で言うと、まさにコーネリアス。彼がそれだ。 とても非現実的なんだ。この状況が。 私の現実はどこか遠いところへ逃げてしまったのかな 「きみは…」 「私は人間ではありません。死神です。そして私のせいで貴方も人間ではなくなってしまった。現に貴方が亡くなってからもう200年経ちました」 「死神…。200……ねん…?」 「ええ。信憑性に欠けると思いますが…ブルーノ様の目もそのせいでございます」 「…本当にその通りだ。まるでおとぎ話のようだね」 本当に自分はもう人間ではないのか。 とても不思議なことだ。じゃあ私はもう不老不死なのかな?とか死神として生きているコーネリアスだが私と初めて会った時は小さかった。本当はもう何千歳で本当は彼は自由に姿を変えられるのではないか、とか胸のうちで考えていたよ。 「…コーネリアス」 「なんでしょう」 「君は今いくつだい?」 「224歳になります」 「…ということは私が出会った頃のコーネリアスは死神として生まれて7年目の本当の子供だったんだね」 「…まぁ、そうなりますね。」 なんだろうか。とてもレアだな、と思ってしまう。 死神の幼少期なんて人間と同じで早く終わってしまうものなんだと分かったから。 その幼少期が過ぎると長い長い青年期を迎える。もう私が想像し得ない何千年の時間をその成人の姿で過ごし、その後じわじわと老いていく。 一人納得していると突然お腹からグルルルっと音がなった。……自分で言うのも何だが…とてもはしたないと私は思う。 「あぁ、申し訳ありません。主人の空腹にも気付くことが出来ず」 そういい、ゆっくりとした手付きで私の黒いシャツのボタンを上から順に外していく 「…? なにを…?」 「ブルーノ様の血を吸うんです。…私は死神と言っても吸血鬼とのハーフでして、特殊なんですよ。 私がブルーノ様をこの様にする際に私の血を貴方に飲ませました。ですからブルーノ様の体内には少なからず私の血が取り込まれている。 それが吸血行為によって反応して満腹作用を生み出す仕組みになっているのです」 「…なるほど。」 全てボタンを外され私の上に跨る 自分の食事とはいえ毎回これだと怖いなあ 片手で頬を撫でられる 無意識に少しの恐怖からかコーネリアスの着ているの燕尾服を掴んだ。 「…ブルーノ様」 「私が注射が嫌いなのは知っているだろ?…お願いだから痛くしないでくれ」 「ふふ。 可愛い人だ」 吐き捨てたように言えばこう返ってきた。 ついでに頬を撫でていた手はいつの間にか頭を撫でていて宥めている様だ。 「人事は尽くしますよ」 そういってぺろっと首筋を舐め上げる 「貴方の血は生前からとても魅力的な匂いがしてました」 耳元でポツリとつぶやいた。 次の瞬間激しい痛みに私は悶えた。 「あ''、ぁッは…イッ」 酷いね。嘘つきだ。苦しくて苦しくて仕方がない。 「…はぁはぁ」 それでも頭をなで続ける手に少しの気分が和らいでいた。 熱い。首がじんじんする。そして僅かに痛みとは別の感覚が私を支配した。…これはなんと言うべきか。快楽かもしれない。ゾクリと背中から這い上がる感覚。 「っ、ぁ」 私の微かな変化に気づいたのか一旦牙を離して丹念に傷口を舐めあげられる。 「…はぁ、コー、ネリアス」 耳元で彼が囁いたんだ 「申し訳ありません。貴方をこの様にしてしまい」 本当に困った坊やだ。 「…はは。手放すつもりなんて端から無いくせに」 嫌味っぽく呟けば「ええ、その通りで御座います」と返ってきた。

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