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第108話

「……ん」 「ベッドに連れてってもいい? それともここでする?」  高梨はいつも、陽斗に了解を取ってから行為に移る。 「ベッドで……。生活空間はちょっとイヤかも」 「わかった」  高梨は陽斗の身体をヒョイと抱えあげるとリビングを出た。ふたりの身長差は十五センチほど。レア・アルファである高梨は、背広の上からはさほど感じられないが、筋肉がついた逞しい身体をしている。それはホテルで一晩すごしたときに見ていたのでよく知っていた。  しかし、高梨はあの夜、陽斗のフェロモンに負けて服を脱いで以来、この家にきてからは、一度も行為で服を乱していない。いつも肌をさらして喘がされるのは陽斗だけだ。それはなぜなのだろう。 高梨は陽斗を軽々と持ちあげたまま二階にあがり、陽斗の部屋のドアを片手で器用にあけて中に入ると、ベッドの上におろし、傍らにおいてあったアタッシュケースを引きよせた。 「今日はどうしてあげようか」  ケースの中には、ブジーやローター、ローションにコンドームなどが整然と並んでいる。自分の身体を何度も犯して泣かせた道具類を見ていると、無意識のうちに下肢の奥がジクジクしてきた。 「……あの」  ベッドの上で両足をすりあわせながら、陽斗が小さな声でたずねる。 「ん?」  隣に腰かけていた高梨が瞳を向けてきた。 「俺、いつも高梨さんにしてもらうでしょう。色々と」 「うん」

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