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【第12話】有夏邸 脱・GM屋敷!(6)

「お、怒ってなんかないよ……」 「ウソだ。怒ってる」  有夏チャン、ついと手を伸ばすと幾ヶ瀬のシャツの裾をつまんだ。 「ありか……」  ヘンタイメガネは明らかにキュンとしたようで、急に物言いが優しくなる。 「有夏、疲れてるよな。ごめんね、気付いてあげられなくて。このクソビッチ働かすから、有夏は休んでて」 「ん」  有夏チャン、にっこりほほ笑んで幾ヶ瀬の服から手を放す。  オイオイ、なかなか高度なテクを披露してくれるぜ。  モテテクってやつだな。チクショー!  それにしても有夏チャン、スラッとのびた白い腕が眩しいな。  長くてキレイな指……これは何ひとつ労働をしていない故の美しさだな。  よく見ると首も細っそ! 顔小っさ! 目ぇ大っき! 肌スベッスベ!  何だろな。美人で線も細いけど、女っぽくはないよな。  ちゃんとした好青年に見えるんだよ──黙ってたらの話だけど。  どっちかって言うとナヨナヨして見えるのはヘンタイメガネの方なんだな。  たまにオネェ入るし。  今だって有夏チャン甘やかす代わりにアタシに向かってキーッと怒鳴ってくるし。 「ちゃっちゃと手ぇ動かしてよ! ガムテやゴミはこの袋、ダンボールはサイズ別に玄関に並べて。ああ、潰してからでしょ。この無能!」 「はぁ、すんません」  やりづれぇな。  バイト先でもこんなに怒られんわ。

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