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【第23話】ここも、いいところ(バカップル攻さんの述懐)(4)

「こ、この上、有夏にスペシャルな要素が加わったりしたら大変だよ! 大統領になっちゃうかもしれないよ?」 「はぁ……?」 「いやだ、有夏が大統領になったらどうしよう」 「どうしようって、お前がどうしようだよ。大統領とか中世ヨーロッパとか、ほんと訳の分かんねぇ奴だな」 「大統領にならない?」 「ならないんじゃないかな」 「じゃあ、中世ヨーロッパにならない?」 「……ちょっと意味が分かんないかな」  呆れたような口調だが、意外と声は柔らかい。  腰に手を回すと有夏はクスクス笑い出した。 「人のことより自分のこと考えろよ。心霊系ユーチューバーになる夢はどこに行ったんだよ」 「そ、それは……」  人のことより自分のことを考えろ──そっくり返してやりたい言葉だが、幾ヶ瀬はぐっと飲みこむ。  窓から射しこむ弱い青の光の中で、有夏が穏やかに笑っているから。 「いいかんじの心霊トンネルを見つけたって言ってたじゃねぇか。あれは?」 「……トンネルはちょっと。怖すぎるかなと思って」

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