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【第27話】本日のリア充(3)

 事の起こりはこうである。  プラザ中崎1階の郵便ポストに入っていたチラシ。  早番から帰宅した幾ヶ瀬が、これを部屋に持ち帰ったことからほのぼの(自称)した事件はおこる。 『ヨガ教室オープン! これであなたもリア充になれる。男性も大歓迎』  チラシにはそう書かれていた。  ヨガの腹式呼吸の重要性や、教室の場所や営業時間、講師のプロフィールなど──細かい文字を食い入るように見ていた幾ヶ瀬が勢いよく顔をあげる。 「リア充になれるって、何て上から目線の売り言葉なの。むっ、今なら入会金無料だって! あっ、でも月謝が意外と高いな……いや待て。初月無料だと?」  立ち仕事で疲れた身体が、ヨガの神秘の癒しを求めているのだ。  無料という文句にも惹かれたことだろう。  ひとしきり騒いで、それから部屋の中はシンと静まり返った。

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