292 / 359
【第27話】本日のリア充(8)
肩に手を置いてゆっくり前に押していく。
「痛っ!」
「まぁまぁ」
押すというより、少しずつ体重をかけていく感覚か。
「こうやってゆっくり伸ばすと効果が出るんだって。チラシにそれっぽいことが書いてあった。はい、ゆっくり息を吐いてぇ!」
「それっぽいって、いい加減な……イダッ、イダダダダッ!」
ほんの少し押しただけで悲鳴が絶叫に変じたことに、幾ヶ瀬は呆れたようだ。
「体が硬いにもほどがあるよ、有夏? ほら、もうちょっと頑張って」
「イダダァァッッ! イダアァァァ!!」
有夏の目からピュッと水分が飛んだ。
「えっ? 有夏、泣いてるの?」
「な、泣いてなんかねぇ……」
ともだちにシェアしよう!