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【第34話】夏だから…怖い話(1)

 例によって、である。  暑い暑いと喚く有夏からエアコンのリモコンを取り上げて靴箱に隠す。  それが、幾ヶ瀬の夏であった。 (隠し場所は毎年変わる)  放っておいたら設定温度が18℃になっているのだから、電気代を考えるとやむを得ない措置であると思う。  リモコンにチャイルドロックをかけたものだから、馬鹿にされたと感じた有夏は余計にキレたわけだが。  ギリギリまで扇風機で我慢するという信念の幾ヶ瀬とは、毎年夏の初めに1度、全面戦争が勃発する。  秋になって振り返ると他愛のないものなのだが、戦争中は真剣だ。  口を開けば「エアコンエアコン」と連呼する有夏に対して、真剣に腹が立つものなのだ。  しかも理屈がこれだ。  ──ゲーム機が発熱するから部屋が暑くなるんだって!  訳の分からない言い草を呟きながら、リモコンを探してキッチンをかき回してくれた有夏。  今はベッドに転がってブツブツと恨み言を吐いていた。

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