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【第34話】夏だから…怖い話(3)

「冷たいお茶やスポーツドリンクなどを飲んで体を内側から冷やすことも忘れないで。でも飲み過ぎはいけないよ。お腹こわすからね。怪談などして気持ちを紛らわせるのも手だよね」 「何言ってんだよ。どこ見てんだよ」 「そうそう、団扇も忘れないで。何たって団扇使うと電気代はタダ……」 「幾ヶ瀬?」 「団扇は駅前とかで配ってたりもするからね。ひと夏で何枚も手に入ったりすることもあるもんね。有夏みたいに下敷きで代用するのもアリって……暑っつ!」  一声叫ぶと、リモコンを握り直す。自身で設定していた29℃を1度下げ、それからもう1つ下げて扇風機の前に陣取ること10数分。  目まぐるしい感じだが、結局幾ヶ瀬も暑さにやられていたようだ。  呆れたように見つめる有夏の前で、扇風機に向かって「アーーーっ」と叫びだした。 「いくせー? だいじょぶ?」 「アーーーっ」 「……だいじょぶ?」 「あぁぁ……」

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