385 / 431

【第35話】冬だけど…リアル怖い話(10)

 腹がいっぱいになって、そろそろおねむといったところか。半眼を閉じて生返事を繰り返す有夏。  その前で拳を固め、そう、幾ヶ瀬は宣言したのだ。 「霊は生命力に弱いらしいんだ。つまり、エッチなことを考えていると霊は寄ってこないんだ!」 「はぁ……」 「聞いてる!?」  叫ぶような問いかけに、有夏の目が薄く開く。 「聞いてる。ビックリした。幾ヶ瀬ってホンモノのバカなのかと思って」 「ホンモ……バッ……!?」  コイツにだけは言われたくないと思ったか、幾ヶ瀬のこめかみが一瞬ひくついた。  でも、負けない──なんて呟くや否や。  ふわり。  有夏を抱きしめた。  細い腰をそろりと撫でる。  小さく息を吐いたろうか。  幾ヶ瀬の肩に、頭を凭せかける有夏。 「……幾ヶ瀬、今なに考えてる?」 「れ……オ、オバケいなくなったかな、って」 「霊がいなくなったかどうかは……オマエだーーー!!」 「ぎゃああああっっっ!!」 「ダメじゃん!」と、軽やかな笑い声。

ともだちにシェアしよう!