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⑩カレシが出来ました! ─雷─⑨
不機嫌クン再来の迅と、腕掴まれてドキドキな俺はすごーく意味深な距離感だ。
人の話し声に飛び上がりそうになったんだけど、それは遥か彼方からだった。
賑わってるモール内であんなに遠くの人の声が聞こえるなんて、どんだけ人居ねえんだ、この寝具売り場。 大丈夫か。
「てめぇ〝カワイイ〟って言われて図に乗ってんな? 他の男に色目使うなって言ったはずだろーが。 なに告られてんの? は? しかもOKしようとしてるし」
「おッ!? いや、俺オッケーなんてしてねぇよ! アイツがお友達でもいいって言うから……!」
いやいやそんな事言われても!!
モテただけだってさっきも反論した通り、俺が色目使ってモジ男を落としたわけじゃねぇんだってば!
……あぁ、ヤバイ。 迅さんの眉間の皺が〝こんにちは〟してる。 最近お目見えしてなかったから〝久しぶり!〟とも言ってる。
「あれはそういう意味じゃねぇ。 友達として付き合おうって意味だ。 すぐにヤッたりはしねぇけど、後々期待してるぜってこと」
「えぇッッ!? そうなのか……!! そ、そんなの説明してくんねぇと分かんねぇよ!」
「とにかく。 お前お仕置き決定だからな。 来い」
「えッ、でもそっち男子トイレ……ッ」
「多目的トイレでエロい事すんのはタブーなんだよ」
「今からエロいことすんのッッ!? 俺の目的は一つなんだけど……って、おい! 話を聞け!!」
いくら客足の寂しいココでも、そういうことはよくないと思う!!
〝友達から〟の魂胆に驚く間もなく抱っこされて、連れてかれたのは男子トイレの一番奥の個室。 もはや定番。
ていうか俺、膀胱が限界なんです、俺様迅様。
「目的? なんだよ、目的って」
「いやトイレと言えば目的は一つじゃん! モジ男に邪魔されて俺行けてねぇんだよ!」
せめて迅が外で待っててくれたら、洋式だろうが和式だろうが構わずやっちまえるんだけど!
何やら物騒な彼ピッピはズイッと個室にインして、カチャッと鍵までかけた。
うん、さすが巨大モールのトイレ。 ピカピカだ。
古ーい校舎の汚え男子トイレとは雲泥の差……じゃなくて、雷ギャル中は男子トイレには入れねぇし、かと言って女子トイレになんか入った日には俺の両手が後ろに回る。
だから先輩にも釘刺されて多目的トイレまでルンルンスキップしてたってのに、目の前にいきなりモジ男が飛び出してきやがったから、あっという間に脳内パンクして膀胱置き去りになってたんだよ。
「とりあえず俺ピンチだからさ! 迅、外出ろ! 今すぐ出ろ! うッ……出ろ出ろ言ってたら出そうになる……ッ」
「…………すれば?」
「えッ?」
「すりゃいいじゃん。 見てみろ、そこに便器あるぞ」
「バカか!? バカなのかッ!? そんなとこ迅に見せられるわけ……ッ」
「へぇ? 立ちションは平気で、これはムリ? どういう理屈?」
「いや理屈とかじゃねぇんだってば!! 俺がそんなの考えるわけねぇだろッ? あぁ、もうダメ、……ッ、漏れそう! 頼むから早く出ろって! 終わったらお仕置きでも何でも食らうから!」
「……そそるな」
「はッ!?」
我慢も限界で、俺はその場で足踏みして迅を追っ払おうと必死に説得を試みていた。
その振動でもヤバくなってきて、あのモジ男みてぇにモジモジし始めた俺を迅さんがジッと……見てる。
しかも目の奥がキランッと光ったのを、俺は見逃さなかった。
「迅〜〜ッ、お願い、頼むから出て! バカ言ってねぇで、……ッ、頼む、もうヤバイんだってば……!!」
「やっちまえって。 俺は気にしねぇ。 ……ほら」
「あぁぁッ……ちょちょちょちょッッ、おい!!」
お前が気にしなくても俺が気にするんだ!と叫ぶ寸前、迅にくるっと体を反対向きにされて下っ腹を軽く押された。
我慢してるそれがパンパンに詰まったそこを刺激されて、もうダメだと思った。
「見せろ、雷にゃん」
「うぅぅ〜〜ッッ」
耳元で囁くなよ……、膝から崩れ落ちそうになるよ……。
雷ギャルの服は、エッチなミニスカ。 もちろん中にインナーパンツってやつを履いてるんだけど、それもパンツも一気に引き下ろされてチン○を握られた。
後ろから抱かれて、チン○を人質に取られて、抵抗なんかできなかった。
いかに漏らさねぇようにするかって、そんなの下腹に力入れて地面を踏ん張るしかなくて、強引ヘンタイ彼ピッピに変身した迅の腕を掴む事だけが今の俺にできる唯一だった。
便器に向かって勝手に発射の構えをしてる迅が、相変わらずのイケボで追い打ちをかける。
「雷にゃん、もうダメ、もう出そう、なんだろ?」
「うぇぇんッッ!! 俺どうしたらいいんだよぉぉッッ!!」
「出せって言ってんの。 準備は万端だ。 俺がしっかり握っといてやるから、狙いは外さねぇはず」
「お前が勝手に狙うなぁぁッッ!! ──あ、ッ……」
ヘンタイにそそのかされて、つい、……力んじまった。
「はぁぁ……ッ♡」
我慢に我慢を重ねての発射は、情けねぇ喘ぎ声まで上げさせられるんだ。
そんなどうでもいいことを考えながら、チン○から勢いよく発射していくそれは一度出始めたらもう止まらない。
狙いを定め続けてる迅の吐息を耳に感じて、赤面どころか頭ごと吹っ飛ぶんじゃねぇかくらい恥ずかしかった。
……こんなとこ、死んでも見られたくなかった。
迅、お前は間違ってる。 〝立ちションは平気で、これはムリ?〟だって?
ムリに決まってんだろぉぉーーッッ!!
「……最っっ悪……」
「は? 逆だろ」
「うるせぇ。 ヘンタイ」
恥ずかしくてたまんねぇ俺は、力が抜けて動けなかった。
トイレを流して、何にもしねぇ俺のパンツとインナーパンツを上げてる迅のされるがままになる。
最悪って言葉が軽い。 もっとズシッと重てぇ罵倒したい。
このまま家のベッドにワープして、ヘンタイ彼ピッピなんか放っといて、頭から布団被って、盛大にいじけたい気分だ。
「なんとでも。 俺は雷にゃんの放尿に付き添えて満足。 お仕置きチャラだ」
「えッ!? チャラ!?」
ワープ取り消し! いじけんのも取り消し!
何されるか分かんねぇ俺様迅様の〝お仕置き〟がチャラなら安いもん……いや全然安くはねぇけど、それはちょっと美味しい話だ!
キラキラッと目を輝かせた俺を見て、顔を覗き込んできた迅の眉間のシワは一つ残らずサヨナラしていた。
放尿シーン見られたのは夢だと思って忘れよう。 そうしよう。
迅が不機嫌クンじゃなくなってる。
俺は膀胱破裂とお漏らしの危機を回避した。
ポジティブ思考をフル活用すべし!
「もしかして期待してた? でもエロいコトは夜までおあずけな」
「ヒェッ……!?」
「出しながら喘いでんの、可愛かったよ。 雷にゃん」
「ふぁぁ……♡ そ、そっすか……?♡」
イケメンイケボ満点彼ピッピめ……ッ!
ソツなく俺を持ち上げやがって!
しょうがねぇから、チン○握って狙い定めやがったコト、今日だけは許してやるよ!
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