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※第19話⑤

湯船の縁に座らされ、由良さんの指がボディーソープを纏って、爪先から順に俺の身体を滑っていく。 指の間まで丁寧になぞられる感覚に、身体が甘く支配されていった。 …気持ちいいけれど、ちょっとまずいな。 「あの、…自分で洗います… 」 「嫌?気持ち良くない?」 「…嫌じゃない、気持ちいいです…。」 「なら問題ないね。」 愛おしげにそう言われては、もう何も返せない。 毎回こうだ。プレイやセックスのあと一緒に入ると、決まって彼は俺の身体を隅々まで洗う。 けれど今日は何かをした後ではないし、今日まで1ヶ月以上の時間を彼と触れ合うことを望みながら過ごしてきた。 だから、身体がその行為を愛撫と錯覚して、すでに下腹部に溜まっていた熱がどんどん重みを増していって。 ふと、彼は違うのかと疑問に思った。 ここまで平然とされていると、もしかしたら望まれていないのではないかと不安にすらなる。 「幹斗君、まだそんなに不安そうにして…。何かあるなら言って?」 由良さんに肩を撫でながら甘い声で耳朶をくすぐられて、身体が跳ね、余計に熱を帯びた。 さらに不安が加速する。どうしてそんなに余裕そうなのだろう。久しぶりでいっぱいいっぱいなのは俺だけ? 「…幹斗君っ!?」 正常なままの由良さんの中心に手を伸ばすと、彼は切羽詰まった声を上げた。 構わずに手を伸ばし、その先端に唇をつける。 丁寧に舌を這わせると、そこはすぐに硬くなった。 …よかった、反応してくれてる。 「なにしてるの。」 言いながら、手首を掴まれ、口と手から屹立を取り上げられた。 「ゆらさんは、したくない…?」 硬くなってくれて嬉しい、と思うのに、取り上げられて、不満が募る。 寂しい気持ちで彼を見上げると、彼は熱っぽいため息を吐いた。 「…煽ってるって分かって言っているのかな?」 苛立ちを含んだ声で由良さんが言う。 怒られてしまった、と思い、急に自分のしでかした行為を反省した。 これではまた、手放されてしまうではないか。 「…わがまま言って、ごめんなさい…。捨てないで…。」 ぐずぐずと、また泣いてしまった。泣いたら余計に迷惑をかけてしまうのに。 「ああ、怒っているわけじゃないよ。泣かないで。 ゴムもローションもないところでしたら幹斗君が辛いでしょう…?」 甘い声でささやいて、舌で涙を掬われる。 …いい。辛くていい。由良さんがいないのに比べたら、なにも辛くない。 「…したい…。」 立ち上がり、由良さんの体にぴったりと自分の身体を密着して、彼を乞う。 わがまま、許して。頑張ったから、今日だけ特別に。 「…壁に手をついて。」 数秒の沈黙の後、色を帯びた低い声で指示される。 夜を映したような藍の瞳は俺を映し、情欲を孕んでいるように見えた。 「はぁっ…、ぁっ… 」 言われた通りに壁に手をつくと、すぐに壺口をぬるりとした感触が這い始めた。 指ではどんなにボディーソープを絡ませたとしてもこういう感触にはならない。 見えない場所で行われていることを想像して、ひどく恥ずかしくなった。 「やぁっ、そこ、きたなっ… 」 「ちゃんと洗ったでしょう?」 「…っ…ぁっ… 」 その場所で声を発されると、ぞわりとした感触に襲われる。 時間をかけて潤され、今度は指先が充てられた。 「…んっ… 」 久しぶりに何かが入ってくる感覚を受け、そこは反射的に力が入り侵入を拒む。 すると、突然後ろからぎゅっと引き締まった体躯に抱き締められた。 肌が密着して、緊張が高まる。それとともに背中に熱塊が当たり、早くこれが欲しい、と願う。 ずっと使っていなかったんだ?と艶っぽく言われ、顔が真っ赤になった。 由良さん以外とするわけない、という憎まれ口は、かわいくないから叩かないでおく。 不意打ちで緩んだそこが侵入を許すと、すぐに気持ちいい部分を適確に刺激された。 「…ぁっ、…んんっ…、ぁぁっ… 」 声を堪えようとはするけれど、手で体重を支えているから口を塞ぐことができない。 結果少しずつ声が漏れていく。 「かわいい。」 甘い声が降ってくる。 そのままもう片方の手で敏感にされた胸の突起を弄られ、さらに快楽を与えられた。 2本、3本と指が増えていき、入り口を広げながら執拗に感じる部分を刺激される。 イきそうになると止められ、そのたびに行き場を失った熱が身体中を支配していく。何度か繰り返され、脳が酩酊してきたところでやっと入り口に由良さんの屹立が充てられた。 「痛かったら、すぐ言ってね。」 …やっと、挿れてもらえる…。 中をぴったりと擦りながら、熱い雄がゆっくりと挿入ってきた。 痛みなんてない。ただ気持ち良くて、 声にならない声を、熱いため息で逃がした。

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