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第42話 離さない……

「じゃ、そろそろお風呂入ろうか、雅文」  沢井は喜々として言うと、シーツに黒崎を包んで抱き上げる。 「えっ、待って、和浩さん。今夜はもう、その、エッチなことはダメだよ……」  無駄なことと分かってはいても一応は釘をさしておく。 「何言ってるんだ? 俺はおまえを洗ってやってるだけだろ。雅文の体がやらしいから、そんなふうに感じるだけなんじゃないか」 「和浩さんっ……」  真っ赤になって抗議しても、それは更に沢井を喜ばすだけだった。  じゃれ合いながらバスルームへと向かっているとき、不意に沢井が足をとめて、怖いくらい真剣な表情で言葉を紡いだ。 「愛してるよ、雅文。ずっと一緒にいてくれ」 「……和浩さん……」  やっと止まった涙がまた溢れて来る。  黒崎は沢井にしがみつく手に力を込めた。  和浩さん、俺もあなただけを愛してる。  あなたが俺を守ってくれるように、俺もあなたを守れるようになりたい……。  繋いだ手を決して離さないで、あなたと共に生きていく……。                            (了)  

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