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第27話

 色の籠った甘い言葉に俺の中で何かが弾けるような感覚がした。こいつは俺を好きでいる。愛してるとまで言った。伊織は俺を裏切らない。そんな気がした。 「コウちゃんを幸せに出来るのは俺だけだよ」  チュッと音を立て唇が重なる。雰囲気に飲みこまれてるだけなのかはわからない。けど、今の言葉は正直ジンとした。前にも言ったはずのある言葉だったけど、今の方が何十倍も真実味があった。 「伊織……」 「ん?」 「お前って不思議な奴だな」 「何それ?」 「ほ、褒めてるんだよ!」  クスッと笑った伊織のキスは唇や頬、顎に目元と顔中に降らせた後、首筋へと移動した。手は大胆にもスウェットの中に入り込み、勃起したものを擦っていく。 「あっ……んあっ!はっ!」 「コウちゃん……早くコウちゃんの全てが欲しい。コウちゃん……」  甘く掠れた声が耳元で囁くと、俺はそれだけでイってしまった。 「あぁぁ!」 「もしかしてイッちゃった?」  吐き出した欲望の塊が伊織の手にある。伊織は気にすることなくそのまま俺を扱きあげた。そうするとまた固さを取り戻した。もしかしなくても欲求不満なのかもしれないと思った。離婚して以来女と何もないんだ。だから伊織相手に反応するんだ。そう思うことにした。 「どうする?てかどうしたい?」 「は、離れてくれないか?」 「ん、わかった」  スッと下半身から手を引いた伊織。俺はよろよろと起き上がった。 「風呂入りなおしてくるから、お前は先に寝てろ」  足元がおぼつかないが、俺は部屋を出て風呂場に直行した。  あいつと再会して以来、俺のペースが完全に乱されている。いや、流されているのかもしれない。  スウェットのとパンツの下で固くぬるついたモノを見たとき、このままでは伊織とどうにかなってしまうと思った。 「んっ……!」  勃起したモノに手を置いた俺だが、脳裏に伊織の手が重なる。背後で囁く伊織の声や吐息、優しく啄むようなキスやねっとりと絡まる舌。それらが焼き付いて離れない。 「い……おり……」  まさか伊織の事を考えながらイク日が来るとは思いもしなかった。もう男同士とかそういう次元は超えた気がした。でも正直に伊織を恋愛対象としては見れない。その防波堤となってるのは俺の理性であり、もう一つ、トラウマ的なあの出来事だ。

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