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第20話 ワンコ生活 1.75日目

布団の上で遼太に抱き着かれて「かわいい」と「好き」を連発されて満更でもない俺だけど、いよいよ腹が減ってきた。 俺が「腹減った、何か食べたい」と言ったら遼太がニコニコと「ゴハン作ってあげる!」言い、適当に服を着てバタバタと階下のキッチンの方へ降りて行った。 すごい!!遼太にゴハンを作る機能が付いていたとはっ!! ちょっと意外で驚いたけど、遼太は良いお兄さんぽいから弟にゴハンを作ってあげるのかもしれない。 少し寒くなってきて俺もいつまでも裸でいるのはどうかと思い、昨日着てきた服を探したけど何故か見つからない。 とりあえず借りている大きいパジャマを着て階下に降りて、キッチンでゴハンを作ってくれている遼太に問いかけた。 「俺の服は?」と聞くとフライパンをふるいながら遼太が明るく「今、洗ってるから。」と言う。 洗っている…、別に洗わなくても良かったのに。 スマホも取り上げられてるし、自分の服も洗ってるから着れない…。 いい感じに監禁されているような? 準備とか用意のいいヤツなのは分かってたけど、俺を絶対帰さないというか、逃げさせないようにする意気込みを感じる。 俺を2.3日監禁してどうするんだろう? 監禁って言葉だと犯罪ぽいな、監禁じゃなくって保護されていると言うのが正しいのかな? 「何か手伝おうか」と言うと「炬燵に入って待ってて」と言われ、待ってること十数分後、農家らしく野菜がたっぷり入った焼うどんを作って持ってきてくれた。 はふはふ言いながら焼うどん食べる俺を何故かじっくりと見て来て、少し気まずい。 「どうしたの?」と聞くと「俺の家に友也がいるのが不思議だなと思って…」としみじみと呟く。 まあ、俺も遼太の家で焼きうどん御馳走になるとは思っていなかった、運命のいたずらかな?俺にしてみればラッキー寄りのいたずら、でもあまり見られると食べずらいし恥ずかしい。 無言で食べてるのも気まずいので炬燵に入りテーブルに顔をくっつけて俺を見ている遼太に話しかけた。 「こっ…れ、おいしい、野菜は遼太の家で作ったのか。」 「ウチで作ったのもあるけど、ご近所からの貰い物も入っている。」 「ご近所…、遼太は近所付き合いというか人付き合いが上手いからいいね。」 「そうかな?そんなことは考えたこともなかった。」 「そうだよ、遼太はみんなにモテているし羨ましいよ。」 「モテている?羨ましい?友也が俺を?そうなんだ。」 俺の言葉に嬉しそうな表情を見せる遼太、モテている人ってモテるのが普通すぎてモテている自覚があまりないのかもしれない。 遼太は学校では男女問わずにモテていて、いつも誰かと楽しく話している。 俺はというと、そんな明るく朗らかな遼太を羨ましく思うけど、実際に誰かと話すと煩わしく感じてしまい距離を置いてしまう。 心が病んでるのかな?俺は…。 でも、遼太と話すのは嫌ではないから不思議だ、遼太には人たらしの才能があるのかもしれない。 こんな病んでいるヤツと2.3日一緒に居ても面白いのかな?遼太は。 何故か多量に入っている白菜を齧っていたら、遼太が俺の横にピッタリとくっついて嬉しそうに言う。 「俺のコト、もっと好きになっていいよ。」 「ブっ!!」 恥ずかしげもなく男の俺に甘く言うから思わず吹き出してしまった。 こういうことを照れずに言えるからモテるんだろうなと思った。

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