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第3話(幼馴染み達と会う)
ボッチなう。
私、学園、私、教室。
1人ボッチです。
別に1人でもボッチでも私は元々友達はあまりいないし、他人と長く一緒にいると苦痛に感じる人間だったのでぜんぜん良い。
葵も兄さん関連以外あまり興味がないみたいだし元々あまり喋らないので1人でも気にしない。
私が気になったのは私は今1人なのに視線をすごく感じる事だ。
(しかし、嫌な感じがする。葵に成ったからかな?人の気配が分かるんだよね)
葵が今向けられてる視線は恐怖(極道だからこれを向けられる理由は分かる)、嫉妬、妬み、苛つき、憎しみなどの視線を感じる。
中でも嫉妬が一番多く感じる。
(あ~、確か嫉妬はモブによる葵虐め事件で何となく分かる)
モブが葵に嫌がらせ(私達は葵虐め事件と言っている)をする時よく言う言葉がある。
『こんな奴が、紅様(モブ達は紅や攻略キャラをほとんど様付けで呼んでいるw)の弟?全然似てない(似てない兄弟なんて沢山いるだろうが!それとも一卵性の双子の様にそっくり似てろって言うのか?何様だよ!ただのモブが!)』
『いつも仏頂面で怖い顔(お前らに葵の可愛い笑顔を見る資格が無いだけ)をしているのに弟だっていう理由だけで何で紅様にいつも可愛がられているのよ!(可愛い弟だからですが?何か?)』
『お前程度(はあ?)が紅様達に近ずくな!(向こうから近ずいて来ますが?)』
『紅様はお優しいからな!(紅が優しいってww)お前みたいな奴(お前程度が葵の何を知ってる!)でも弟だから可愛がってあげているだけだ!(葵だからです~。可愛がりたくて仕方ないんです~。)ああ、可哀想な紅様。どんなに嫌だったか(葵関係で紅が嫌がる事なんてあり得ませんけど?)』
等々、嫉妬をしてます的な事を言ってくる。
ちなみに()は、私達の感想です。
つまり、人気者の紅が弟ってだけで葵を構うのが気に入らないのだ。
視線が鬱陶しくて無意識に眉間にシワを寄せる。
(まぁ、まだ何もしてこないから良いかな?)
お昼になったので学食を食べるために学園食堂に向かう。
龍蓮花兄弟は学食派だ。
「あれ~?葵ちゃんじゃん!今からご飯?」
「鈴(りん)の兄さん?どうして此処に?」
「葵ちゃんが来たならもう大丈夫か。紅とウチの大将のいつものあれを食堂でしてんの。けど、葵ちゃんが来たならもう終わるから!ほら、入ろう?」
そう言って葵の手を握ったのは、原木 鈴矢(はらき りんや)と言って龍蓮花兄弟の幼馴染みの一人で非攻略キャラだ。
彼は紅とは敵対する派閥に属しているが鈴の兄さんと葵が呼んでいる通り彼自身は龍蓮花兄弟と仲が良いイケメンなお兄さんだ。
ただ彼の言う大将と紅がいつも言い争いをしているので、彼の属している派閥は紅と敵対している事になっている。
食堂に鈴の兄さんと入ると。
「紅!食堂を騒がせて悪いと思わないのか?コイツらと一緒に入って来たら皆が騒ぐのは分かっていただろうが!」
「別に?俺が誰と来ても俺の勝手だろ?みんな嬉しそうだし良いだろこれくらい」
「紅!お前まるで反省していないな!」
「ハイハイ、そこまでだ。なぁお二人さん?葵ちゃんが来たけどいいの?」
まさかの攻略キャラ四人全員いた。
(うわ~、五人全員集合してる。あ、二人共こっちに気づいた)
「葵!飯食べに来たのか?ほら、こっちに座れよ」
「葵?昼飯か?なら、わたしの隣に座れ空いているからな」
紅と言い争いをしていたのが、椿 白銀(つばき はくぎん)鈴の兄さんが言っていた大将とはこの人の事である。
彼は攻略キャラの一人で、龍蓮花兄弟の幼馴染みの一人でもある。
なので攻略キャラの中で最初から葵を知ってるのは彼だけであり彼だけが葵に嫉妬を向けずむしろ紅バリに葵を可愛がっている。
彼の攻略中には葵の話が数多く出てくるうえ彼とのエンドには葵と紅と白銀の三人のエンド、葵溺愛エンドがある。
白銀はメイン攻略キャラであり紅の初恋の相手でもある。
葵も白銀の事が紅の次に大好きである。
白銀は、品のある美人さんで龍蓮花家と同盟関係にある極道一家の若頭(白銀の父)補佐役である。
ちなみに白銀は甘々お仕置きエッチ担当である。(紅は、白銀に対してだけ嫉妬深いのである)
「分かった、白兄(はくにぃ)の隣に座らせてもらう。鈴の兄さんも隣か?」
「あ!鈴てめえ、俺の葵の手を何で握ってる?離せ、触るな!」
「鈴矢、葵の手を離せ」
「ハイハイ、分かってますよ。まったく怖いお兄さん達だよね?葵ちゃん」
鈴の兄さんの手が離れてから私は白兄の隣の椅子に座りその隣に鈴の兄さんが座る。
先ほど言い忘れていたが鈴の兄さんは葵の初恋相手で今もなお葵は鈴の兄さんに恋をしている。
(葵すごい!かなりドキドキしているのに顔に一切出ない!)
私と葵の感情は繋がっているので葵の恋愛感情も私の感情である。
葵の初恋相手が分かるイベントは白兄と兄さんを放課後デートさせるために葵が家に一人で帰ろう(いつもは紅と一緒)とする話から始まる。
当然、葵に過保護な二人は反対するが鈴矢が絶対無事に家に送るという約束と葵のお願いに折れた(どちらかというと葵のお願いで折れた)二人がデートする事になったのだ。
紅と白銀のデートイベントを見た後まさかの葵達の方に移ったのである。
『葵ちゃん、ありがとねぇ。あの二人デートなんてしないからさぁ~』
『兄さん達はいつもオレの心配ばかりしている。たまには二人きりでデートをオレがさせたかっただけだ』
『葵ちゃんは二人の宝物だから心配するのは仕方ないよ』
『兄さん達は初恋の相手同士なのに何故あんなにお互い素直になれんのだろうな?』
『あの二人は好きだから素直に慣れないんじゃあないかなぁ。葵ちゃんは二人みたいになっちゃぁ駄目だよ?』
『ああ、分かった。鈴の兄さん』
《オレの初恋の相手は貴方だ鈴の兄さん。今でもこの心は変わらない》
こんな感じで葵の初恋相手が発覚したのである。
このイベントを見た私達姉妹は『葵、可愛い!可愛過ぎる~!』と、床を転げ回ってた。
鈴矢は、いろいろな情報を得るため男女どちらとも寝る(鈴矢は紅と同じ総攻め)けど誰にも心を許さない所があり、幼馴染み達はそこがとても似ている。
ちなみに鈴矢が葵をどう思っているのかは分からない。
「葵ちゃん、オレが食事頼んでくるから何が良い?」
「なら、頼む。オレはカレーを食べる」
「おう!ちょっと待ってな?」
鈴の兄さんが食事を持って来てくれるみたいだ。
前を向くと紫さんがいる。
どうやら私の真向かいの席には紫さんが座っていたみたいだ。
「こんにちは、紫さん」
「ああ。今まで見なかったけど葵も食堂で食べてたんだ?」
「そうですね。兄さん達とは良く会いますが紫さんとは今日が初めてじゃあないですか?」
「?何で敬語なんだ?普通に話して良い」
「それじゃあ、そうさせて貰おう。一応学園の中だからな先輩には敬語を使おうと思ったんだ。紫さんは兄さんと同い年だろう?」
「別にぼくは気にしないから、これからは普通に話して」
「分かった」
紫さんと少し話していると兄さんの隣の席に座っている攻略キャラの一人が兄さんに言う。
「紅先輩~、あの人誰?ボクも先生も知らないんだけど~?」
兄さんと紫さんの間に座っている学生の方が私の事を兄さんに聞いていた。
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