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第62話(これはヤバい!)白銀、緑視点

白銀視点 いつも通りわたしは学園の見廻りをして居るがいつも隣を歩く鈴矢が居ないので少し違和感がある。 わたしの属している所(風紀委員)の皆もわたしの後ろに着いて見廻りをして居るが誰も鈴矢がいつも居るわたしの右側を歩かない。 左側には見廻りをして居る時はいつもそこに居る夕がいつも通り居る。 緑に聞いたのだがわたしの右腕が鈴矢(まぁ、これはある意味本当だ)で左腕が夕と言われてるらしい。 (鈴矢は公私共にわたしの右腕として育てられたから分かるが何故左腕が夕なんだ?良くわたしの左側に居るからか?) 「白銀様どうかしましたか?」 「いや、何でもない。今日は特に問題無いみたいだな」 「はい。他の者達からも何かあったという報告は聞いていません」 「ならば今日はここまでで良いな、解散」 「はい」 「では、また」 他の者達がそれぞれの教室に帰って行くが夕だけはわたしに着いて来る。 だがこれはいつもの事でいつもは鈴矢も居る。 夕はいつも通りわたしを教室まで送ってくれようとしてくれてるのだろう。 (他の生徒も居るので二人きりでは無い。紅も夕に対して警戒し過ぎだ。夕がわたしに何かするわけが無いだろうに何を心配しているのだ?) 「白銀様?どうかしましたか?」 「いや、何でもない行くぞ」 「はい」 この後の一週間では特に夕に変化はなくいつも通りだった。 そして鈴矢が帰って来た日から2日後にある事故は起きた。 その日はまだ怪我が治っていない鈴矢に無理をさせない為に見廻りに参加させなかったので鈴矢以外と見廻りをしてそれも終わったところだった。 「紅の弟があんなに可愛い何て知らなかったです。前に紹介された時は仏頂面だったのに、、、白銀様は弟くんとは仲が良いんですか?」 「そうだな。あいつはわたしの可愛い弟みたいな者だからな。しかも良い子だから可愛くて仕方ない」 葵の話になるといつもの様な顔を作れなくなるが愛しい子の話をしているのだから仕方ないだろう。 「白銀様、、、(そんなに優しく微笑みを浮かべているのを見るのは初めてだ)、、美しい」 「何か言ったか夕?」 「いえ、何も」 「そうか?まぁ、それより早く帰るぞ。今日は葵と久しぶりに一緒に帰ッ!」 「白銀様!」 “ドサドサドサ” 「すみません!大丈夫ですか!おい!お前らは保健の先生を呼んで来い!」 「あ、、は、はい!」 階段を上がろうとした時、上から段ボールごと沢山の本が落ちて来た。 夕がわたしを助ける為にわたしを押し倒してわたしの上に乗って落ちて来る本からわたしを庇って気絶している。 庇ってくれた事には感謝している。 そのせいで気絶させてしまった事には申し訳なく思っている。 だが、気絶した時に顔をわたしの上に置くのはやめて欲しかった。 (顔がわたしの上に乗っているというかキスしているのだが、、、ただの事故だが紅以外とキスするのは嫌だ。だが夕と本が重くて動かない) 「おい!大丈夫か?本を直ぐに退けるからもう少し待ってろよ!」 「、、、おい、どうした?」 「それが後輩が誤って階段から本の入った段ボールを落としてしまって、しかも落とした所に人が居たみたいで助け出そうと、、、え?な、なんであなたがここに?」 「そんな事より早く助けないといけないだろ?俺が本を退けるからあんたは人がこっちに来ない様にしてくれ」 「わ、分かりました」 聞き覚えのある声の主が本を退けてくれるおかげで体が軽くなって行く様な気がするが、その声の主にわたしは今はとてつもなく会いたくなかった。 わたしの願いも虚しく声の主は顔の辺りにある最後の本を退けた。 「、、、白?」 「んっ」 「、、、ナニしてるんだ?」 「、、、。」 「、、、、白、今日は覚悟しろよ?」 「ッ!」 本を退けた声の主、、、紅はそう言ってわたしの上に乗っている夕を思いっきり蹴っ飛ばしてからわたしを抱き上げる。 “ドカッ、、、ドサドサ” 「な、何の音だ!って白銀様?」 「悪いけど俺はこいつを運ぶのに手いっぱいだから夕の方は頼むな?」 「夕様!はい、お任せ下さい!」 わたしは紅に抱き締められながら(お姫様抱っこで)運ばれて行く。 紅はいつも通り笑っていたが目は嫉妬と怒りで燃えていた。 (せっかく葵と久しぶりに一緒に帰れると思ったんだが、、、これは無理だな。むしろわたしが終わった。明日は生きているだろうか?) その後、紅にそのまま家に運ばれた。 ちなみに、葵にはちゃんと今日は一緒に帰れなくなったと紅が伝えた。 わたしがどんな目に遭ったかは聞かないでくれ。 ただ次の日は辛うじて生きていたとは言っておこう。 一日中動けなくなった事はあったがご飯も一人で食べられないくらい動けなくなったのは初めてだった。 緑視点 鈴矢先輩が入院した次の日の昼休みにボクは紅先輩に会いに紅先輩のクラスに行った。 紅先輩と少し話した後は作戦通り剣聖先輩に話しかけた。 「先輩、、、剣聖先輩って呼んでも良いですか?」 「好きに呼んで良いけど紅と話さないでいいの?」 「紅先輩は白銀先輩とお話してるから今話しかけるのはちょっと」 「まぁ、確かにあれに話しかけるのはな、、、」 紅先輩と白銀先輩はいつも通りケンカ?していた。 ケンカというよりは白銀先輩が紅先輩に説教しているだけなんだけど近づきたくはない。 (あれに平気で話しかける事が出来るのは鈴矢先輩と葵くらいじゃないかな?) 「もし良かったらボクと少しだけお話しませんか?嫌ならいいんですけど」 「、、、別に嫌じゃないけど」 「そうなんですか!良かった!前から剣聖先輩とお話してみたいって思ってたんですよ」 「そう、、、喜んでくれるなら良かったよ」 そう言っていつもクールな剣聖先輩がほんの一瞬だけ優しく微笑んだ。 (うわぁ、、、紅先輩が居なかったらボクヤバかったかも知れない。これはカッコいい。剣聖先輩があの三人の中で一番モテるの今ので分かった) 「それでその、、、鈴矢先輩の事は聞きましたか?」 「ああ、怪我して入院しているっていう怪我の事?」 「はい」 「、、、銃で撃たれたって紅に聞いた」 「ボクも聞きました。鈴矢先輩大丈夫ですかね?」 「大丈夫みたいだよ。一週間ぐらいしたら退院出来るみたいだって紅言ってたし」 「紅先輩の弟の葵もそれを聞いて安心してました」 「紅の弟、、、、そう」 葵の名前を出すと凄く嫌な事を聞いた様な顔をした。 (やっぱりこの人も影響を凄く受けてるんだ。紫先輩よりもあの人と一緒に居る時間が多いからよけいに強い影響を受けてるんだろうな) その後もちょくちょく話したけど特に怪しい所とかは無かった。 それから一週間後の作戦から3日すぎた昼休みに紅先輩の元に行くと3日ぶりに剣聖先輩が居た。 「緑、俺はもう帰るから後はよろしくな?」 「はい、分かりました紅先輩」 紅先輩が家に帰るのを見送った後に剣聖先輩に話しかけた。 「久しぶりですね剣聖先輩」 「ああ」 「今日はお一人ですか?」 「今日はゆっくりしたいからね」 「もしかしてお疲れですか?風邪とかには気をつけて下さいね?」 「そうだな、白銀も体調崩して今日は休んだみたいだからな」 「、、、ええ、そうですね。葵も心配してました」 白銀先輩が休んだのは紅先輩のせいなのでなんとも言えない。 しかも何で休むほどの事になったのかを白銀先輩に聞いた葵にボクも理由を聞いた。 (何ていうか白銀先輩、、、、御愁傷様です。ゆっくり休んでくださいね。まぁ、白銀先輩の為に紅先輩が家に帰って行ったのでゆっくり出来るかは分からないけど) 「葵、、、紅の弟の葵だよな?」 「そうですけど、どうかしましたか?」 「いや、紅の弟の葵には良く会うのか?」 「ええ、仲は良いですよ。それに可愛いですし」 「そうだよな、葵は可愛いよな。また会いたいな」 ボクは剣聖先輩の顔を見た瞬間、あ、ヤバいって思った。 剣聖先輩は頬を赤らめて何かを思い出しているような遠い目をしながら葵の事を話していた。 (これ、紅先輩にバレたらヤバいやつじゃ、、、剣聖先輩絶対に葵に惚れてる!いや、まぁ、仕方ないよ?あんな可愛い葵を見て惚れるなとか言えないけど、この様子はかなり惚れてるな) 「あの、葵の事を何処まで知ってるんですか?」 「紅の弟って事と、、、、鈴矢と付き合ってるって事」 「え!鈴矢先輩と付き合ってるって知ってるんですか!なんで?」 「前に紅と鈴矢が俺と夕と縁完が居る前で『大事にしろよ?』『当たり前じゃん。オレが大事にしないわけない』って言ってたから何の話だって聞いたら紅が鈴矢の奴が自分の弟と付き合う事になったんだって言ってたんだよ」 「紅先輩そんな事まで話してたの?貴方達の事かなり信頼してるんですね」 ボクがそう言うと剣聖先輩は少し照れた様な嬉しい様な顔をしてうっすら笑いながら言った。 「そうか、それは嬉しい事だな」 ボクはそれを見て確信した。 (剣聖先輩は大丈夫だ。絶対に紅先輩を裏切る様なもの悲しませる様な真似はしないだろうな。ただ、、、葵の事はどう紅先輩に報告しよう?)

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