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第4話

「それにしてもゴールデン・プランナーの急成長っぷりは  目を見張るものがありますね~…  それもこれも金雀枝(えにしだ)社長の経営手腕の賜物(たまもの)といったところですか…」 「いえそんな…私の会社なんてまだまだですよ…  それよりも広尾さんのところは順調に傘下のグループ企業が増え  業績を伸ばしているそうじゃないですか…流石ですね。」 金雀枝と広尾がレストランの片隅でワイン片手に 談笑を装ったおべっか合戦を繰り広げているなか… (いぬい)はその話術と容姿を生かして積極的に他の招待客の輪に混じりながら 情報収集などを行い 加賀は忠犬かってくらい片時も金雀枝の傍を離れる事無く そのいかにもなボディーガードな風貌のせいで 若干周囲の客から好奇の目に晒されながらも その鋭い視線で周囲を警戒し続ける… そんな加賀の目に… 実はこのレストランに足を踏み入れた時から気になる三人の招待客がおり 加賀は特にその三人を注視していた… ―――あの三人…また金雀枝さんを見ている… 加賀が視線を向ければ 必ずといっていいほどその三人は金雀枝の事を見つめており 加賀の三人に対する警戒心は増す… ―――しかもあの三人…何かおかしい… 三人から感じる得体の知れない違和感に、加賀が眉間に皺を寄せる… そこに金雀枝が突然クイクイと加賀の服の袖を引っ張り―― 「?」 「ちょっとコレ持ってて。」 金雀枝は飲みかけのグラスを加賀に持たせると 申し訳なさそうな笑みを広尾に向けながら口を開く 「すみません広尾さん…私、ちょっとトイレに――」 「構いませんよ。トイレならレストランを出て右の通路進んで直ぐに  確かあったハズです。」 「わざわざどうも…それじゃあちょっと失礼して――」 金雀枝がそろそろとその場を動きだし、加賀もその後に続こうとするが―― 「…お前はトイレにまでついて来なくていいよ。すぐ戻るから…」 「!しかし――」 「それよりもそのグラス、給仕に戻しといてよ。じゃ!」 「ちょ、金雀枝さん!?」 そう言うと金雀枝は招待客の波を華麗にかわしながら あっという間にレストランの外へと出て行き… ―――はや… 金雀枝のその無駄のない身のこなしに、加賀が呆気にとられていると 加賀の目に例の三人がまるで金雀枝の後を追うように移動するのが見え―― 「ッ、」 ―――やはりアイツ等…金雀枝さんを…? 「…広尾さん、コレ頼みます。」 「え、」 加賀は有ろうことか主催である広尾にグラスを押し付けると 金雀枝の後を追って招待客の中へと飛び込んでいき… 「ええ…」 一人残された広尾は二人分のグラスを手に持ったまま 茫然とその場で立ち尽くす… ―――普通主催に飲みかけのグラス押し付けたりする~? 未だ招待客の波の中を、頭一つ分背の高い加賀が慌てながら避けていく様を 広尾は後ろから眺め続ける… 「でも…」 ―――いいなぁ~…ボディーガード…私も雇おうかな…    あ、私の場合は昔やってた某ドラマで見たような    グラマラスな女性ボディーガードがいいなぁ… まだもたもたと人波の中を漂う加賀の後頭部を見つめながら 広尾はクスッとその口元を緩めた…

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