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第10話 猫の迷い-後編-(10/20) ※R18

「!? おおおいちょっと! 人の部屋に何隠してんの!?」 「この際それは置いとこうぜ」 「置いとけるか! 誰かに見られたら私のだと思われる…!」 「あー堅い堅い。こんなとこで生活してっからか? こんなの男の部屋ならあって当然だって。神父の部屋にもあるぞ」 「うわっ…聞きたくなかった…」 軽くショックを受けたユーベルがテーブルに肘をついて頭を凭れる。 するとその視界に、見開かれたエロ本がすいっと侵入してきた。 一面に艶かしい女性の姿があって、恥じらいの眼差しがユーベルとかち合う。 「……何してんの」 「ほー、何とも思わないのか」 下から覗き込んで観察してくるアルを睨み付けても、彼には効果はないようだった。 むしろ反応を楽しんでいるようで、ニヤニヤとほくそ笑む様子が憎たらしい。 「何とも思わないわけじゃないよ」 「へー、じゃあ興奮すんの?」 「まぁ…」 改めて聞かれると、ユーベルは口篭った。 なんだってこんなデリケートな部分に触れてくるんだと、また溜め息をつきかけたところで、アルの手が別のデリケートな部分に触れてきて、ユーベルの膝がガタンと跳ねた。 「!?」 「あぁ、まったくもって反応ゼロだな」 「ちょ、ちょっと! えっ!? もう何なの! 人の性癖がそんなに面白いの!? すみませんね反応出来なくて!」 追い詰められたユーベルが勢いよく立ち上がって、バンと本を閉じる。 急なことでびっくりしたアルが目を丸くして、その尻尾までもが毛バタキのように膨らむ。 「あ……。…ごめん、大声出して」 我に返ったユーベルが、ゆるゆると腰を下ろす。 だから黙っていたのに、と額を押さえると、それから開き直ったように静かに笑って、呆気に取られているアルを見た。 「ふふ…おかしいでしょう?」 「あ…あぁ、いや…」 「いいよ、下手にフォローしなくて」 一度閉じた本を涼しい顔でパラパラと捲ったユーベルは、選びだした見開きのページをアルに見せつけた。 「こういうの、好き?」 「ん…まぁ」 開かれたページの女性と目が合って、動揺したアルの尻尾が揺れる。 ふぅん、と相槌を打ったユーベルが、今度は少し過激なページを選んでアルに見せる。 「これは?」 ギリギリのところまで衣服を破かれた女性が、悔しそうな目で睨み付けてくるこのページは、アルのお気に入りだった。 視線が釘付けになって、緊張で喉を鳴らす。

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